あゝ野麦峠・新緑篇

劇場公開日:

解説

大正末期から昭和初期にかけて、製糸工場で働く女工たちが過酷な労働の日々のなかから、女として、人間として目覚めていく姿を描く。脚本は「アッシイたちの街」の山内久、監督は前作と同様の山本薩夫、撮影は「夢・夢のあと」の小林節雄がそれぞれ担当。

1982年製作/136分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1982年2月16日

ストーリー

大正八年五月。岡谷の金丸林組製糸工場から中谷タケが逃げた。しかしタケは捕まり、峠を一緒に越えた幼なじみの宮田常治の目の前で、見番をする今井丈吉に犯されてしまった。それはタケに想いを寄せていた常治を良心の呵責もない、冷血な人間に変えてしまった。近代化が進み、多条繰糸機の導入で腕のいい女工が必要になり、常治は他工場の優等工女を引き抜くことで出世を計った。彼は高倉製糸から生田朝子を自分と夫婦になる約束で引き抜いた。常治と朝子の仲はタケにとっては辛かった。自暴自棄となったタケは、丈吉の玩具になっていった。屈折した心の中で自分は身も根性も汚れてしまったと思った。常治に腕の立つ工女たちを引き抜かれた製糸会社のいやがらせで常治は重傷を負った。朝子は常治にまっとうな人間として一緒に生きてくれと懇願するが、常治の心は冷たく、そんな常治をみて、朝子は金丸林組製糸工場を去った。昭和二年三月。金融恐慌は製糸業界をも襲い、不況から脱却するために金丸製糸工場では競争意識をあおる報奨金制度、劣等工女を屈辱するような精神的懲罰を加えたりし、利益率を上げていった。タケは耐えきれなく、岡谷の町でカフェーの女給となるが、仲間の動向は見つめていた。成績の良くない工女が、辱めに耐えきれず自らの命を絶ったことから、工女たちは待遇改善の嘆願書を提出する。町中をデモ行進しストライキに入った工女たちを、会社側は官憲の力を利用してねじ伏せようとした。工女たちの団結を切りくずそうと奔走していた常治は、もみあいの中で重傷を負い、タケと朝子に見とられて息を引きとってしまう。争議は工女たちの敗北に終わるが、工女たちはそれぞれ新たな生き方を求めて岡谷を去り、力強い足取りで野麦峠を越えていった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

詳細情報を表示

映画レビュー

映画レビュー募集中!

この作品にレビューはまだ投稿されていません。
皆さまのレビューをお待ちしています。
みんなに感想を伝えましょう!

レビューを書く