「ラスト7分11秒まで、真犯人は絶対わからない」というキャッチコピー。この手の映画は推理せずに素直に騙されるのが一番です。一般的に評価の高い『ユージュアル・サスペクツ』なんて、推理した犯人が見事に当ってしまったため、面白さを味わえなかったという苦い経験があったからです。だから、配給会社にはこうした宣伝文句をやめてもらいたい・・・
ちょっと前の推理モノに比べると、携帯電話やインターネットを多用し、時代に即した設定になってはいます。ただし、ブルース・ウィリスが大手広告代理店のCEOを演じてはいるけど、その業界の雰囲気は伝わってこないのが残念。暇をみつけてエロチャットできるくらいの会社だし、魅力的な有能社員が出てこないのも事実。綺麗なおねーちゃんも多いし、モデル斡旋業の会社じゃないのかと思ってしまうくらいです。
主人公のハル・ベリーは政治家のセックススキャンダルを暴こうとしていた新聞記者。せっかくのネタを上からの圧力で握りつぶされてしまうという社会派要素をも感じさせるのですが、ネタがネタだし、一流新聞というよりタブロイド紙だったような気もします。そんなとき、幼馴染の女性が水死体で発見されるという事件が起こる。「金によって・・・」というキーワードとともに、観客をもミスリーディングするミステリーへと発展するわけです。
とにかく罠が多い。怪しそうな人物がいっぱい登場するし、ハル・ベリー自身が名前を4つも持ってるくらい、多くの名前で混乱させられる。また、彼女と元恋人と被害者の三角関係。そして同僚であるジョバンニ・リビシのハル・ベリーへの密かな想いや性癖など・・・次第に怪しい人物は絞られてくるし、どんでん返しを体験した後にも「ずるい」と思わせない程度の伏線は用意してあるようでした。しかし、その結果が騙されるという満足感を生むものかどうかは・・・観た人しかわからない。