オール・ザ・キングスメン

劇場公開日:

解説

「シンドラーのリスト」のスティーブン・ゼイリアン監督がショーン・ペン&ジュード・ロウ主演で放つ政治サスペンス。実在の政治家をモデルにしたロバート・ペン・ウォーレンの小説「すべての王の臣」を、1949年のアカデミー作品賞受賞作に続いて2度目の映画化。理想を胸に州知事に上りつめた叩きあげの政治家と彼を追う貴族階級出身の新聞記者の運命を描く。アンソニー・ホプキンス、ケイト・ウィンスレットら豪華キャストが脇を固める。

2006年製作/128分/アメリカ
原題または英題:All the King's Men
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
劇場公開日:2007年4月7日

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映画レビュー

3.0権力の腐敗

2024年8月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

元作はスタークの成り上がりから凋落までの全編を描くスペクタクルドラマでしたけれども。
本作の方は、スタークがバージニア州知事にまで登り詰め(更なる売名目的の?)自身の名を冠した病院を建設するあたりが、物語の中心に据えられています。
エッセンスを抽出したという意味では、本作の方がインパクトは大きいのですけれども。

しかし、それは、評論子が元作(1949年版)を観ていて、スタークをめぐる「全体像」が既にアタマに入っているからという理由も大きいと思います。
(両作とも未観の方には、元作=1949年版を先に観ることをお勧めします。)

彼が政界進出の、いわば「足がかり」として踏み台にした、小学校の非常階段の崩落事故。
その不明朗な政治的背景が、本作でははっきりと浮き彫りにされるのですけれども。

彼が今回、彼の名を冠した病院(黒人と白人貧民層の治療費は無料)を建てようとしていたことも、どうやら、事故が発生した小学校の工事と同じように、公共工事をいわば「錬金マシーン」として機能させようとする政治的な打算が見え隠れしていたようです。

郡の木っ端役人を務めていた頃は、権力(の腐敗ぶり)に批判的ですらあった当のスターク自身が、いったん権力の座についてしまうと、今度はその権力を維持し、あまつさえ更に拡大しようとする彼の姿からは、そのポピュリストぶりが覆うべくもない彼の政治姿勢と呼応して、かのアドルフ・ヒトラーすら彷彿とさせると言ったら、それは言い過ぎになるでしょうか。

いずれ、本作とも共通するのですけれども。
「権力は腐敗する。絶対権力は絶対に腐敗する。」というのはイギリスの歴史家ジョン・アクトンの名言と承知していますけれども。
その言葉そのものを体現するかのような本作は、いわゆる統治行為論に関する「Cinema de 憲法」としても好適な一本であり、佳作としての評価は揺るがないと、評論子は思います。

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talkie

4.0判事にも何か後ろめたいことがあるはずだ!・・・そう、人肉喰ってます

2021年6月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 1949年にアメリカで公開された『オール・ザ・キングスメン』の脚本・監督のロバート・ロッセンは『グッドナイト&グッドラック』でもお馴染みのハリウッドの“赤狩り”の犠牲になった人だ。オリジナル作品は民主主義であるはずのアメリカ暗部を描いていたため、日本でも公開されたのが70年代に入ってからとなった。今リメイク作では時代も人物設定も同じではあるものの、多少オブラートに包まれたかのようにウィリー・スターク知事(ショーン・ペン)の独裁者ぶりはおとなしくなっていたように感じました。しかし、その政治的・社会的なメッセージは重く、質を落とすことなく見応えのある映画となっています。

 オリジナルでは新聞記者ジャック・バーデンと元恋人アンの心理描写はそれほど克明ではなかったので、今回の鑑賞によってそれぞれの登場人物の関係が掴みやすくなってたのは良かった点です。一方、腐敗政治・独裁的知事の悪魔ぷりはそれほどでもなく、ショーン・ペンのヒトラー然とした鬼気迫る演説シーンが印象に残るだけでした。圧倒的な民衆の支持を得て、貧乏人のための政治を強調する演説。最初は歓迎すべき政治家だと感じるのですが、徐々に権力にしがみつく醜さが浮き彫りにされる展開には震えさえ起こるほどです。

 『ホリデイ』では兄妹の関係。この映画では元恋人同士のジュード・ロウとケイト・ウィンスレット。何が二人を深い関係から遠ざけてしまったのかは複雑なのでしょうけど、「やっておけばよかった」と後悔するジュード・ロウの姿には共感を覚えてしまいます。そしてケイト・ウィンスレットの兄役であるアダム(マーク・ラファロ)の旧友への想いや政治家への憎悪などはとてもわかりやすく描かれていました。

 今リメイク作ではショーン・ペンが主演となっているけど、旧友・恋人・判事(アンソニー・ホプキンス)に対する複雑な思いや政治に対する冷静な心理描写を考えると、むしろジュード・ロウが主演であるような気がします。ショーン・ペンは映画での活躍よりも、数々のブッシュ批判コメントのほうの活躍が目立ちます。もっと吼えて暴れてほしいと願うのは不謹慎でしょうか・・・

【2007年4月映画館にて】

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kossy

4.0丁寧さに欠けるもキャスティングの良さで何とかなった。

2020年7月26日
PCから投稿

原作:ロバート・ペン・ウォーレン小説『すべて王の臣』。モデルは、アメリカ合衆国の政治家”ヒューイ・ロング”、1935年9月暗殺。
地方の活動家が貧困層の為に立ち上がり、理想に燃えて政治家になるも、権力欲の虜となって自滅していく姿を描いた作品。
丁寧さに欠け、わからない部分が多々ありましたが、キャスティングがすばらしかったので良しとし
とこ...。

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miharyi

4.0ヒトラーを想像させる演説で貧困層の指示を得て州知事になったが、様々...

2020年3月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ヒトラーを想像させる演説で貧困層の指示を得て州知事になったが、様々な疑惑を産み出し破局を迎える。本来有るべき姿を見極め進むことの大切さを思わされる作品

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リンム

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