「汚物まみれの歴史」ブラックブック 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
汚物まみれの歴史
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下品過ぎると言われハリウッドを追われたバーホーベン監督。そんな彼が祖国オランダに帰って作った本作。大戦時ナチス占領下オランダのレジスタンスを描く。
「かつてハリウッドは、変態監督というレッテルをオレに貼った。この作品で、それを剥がして欲しいね!」
と監督は言っていたらしいが、大丈夫、全然剥がれてない。
歴史物の重厚さよりもバーホーベンらしさが際立った本作、「戦争昼メロだ!」と真面目なアメリカ人批評家を怒らせたりしている。レジスタンス物にオッパイも糞もいらないと思うが、入れてしまう所がバーホーベン。オランダ映画史上最高の製作費をかけた大作にもかかわらず、不謹慎な作風は健在。
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面白くて不謹慎なのと同時に、非常に真面目な映画だったと思う。
悪役がただただ欲まみれでスケベで底の浅いところが逆に怖い。状況が人を狂わせたっていうより、そもそもが欲塗れなんだっていう告発。
そして戦時だけではなくドイツ降伏後も続く憎しみ、裏切り。主人公が汚物をかぶるシーンが何とも印象的。
もう一つ印象的だったのは、ナチス高官の愛人ロニーの変わり身の早さ。時を経てキブツ観光するツラの皮の厚さ。こういう人物を悪びれず描けるのはバーホーベンならでは。
歴史の悲しさを通り越して、人そのものの習性を見つめた本作、見応えがあった。
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