硫黄島からの手紙のレビュー・感想・評価
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数奇な運命
イーストウッド監督は公開に際して「勝ち負けを描く戦闘映画ではなく生身の人間を描きたかった、どちらの側であっても、命を落とした人々は敬意を受けるに余りある存在であるということ、映画は彼らに対する私のトリビュートなのです」と語っている。馬術のバロン西は有名だが栗林中将がハーバードに学んでいたとは知らなかった、米国にも知人の多い二人が硫黄島で散って行ったという運命の数奇さも製作の動機になったのだろう。
清水上等兵(加瀬亮)が米国人捕虜の母からの手紙の内容が自分の母からのものと同じだったことに衝撃を受ける、鬼畜米英と習ってきたのに彼らもまた自分と同じ人間であると気づくのだった、しかし投降するも米兵に射殺されてしまう戦争の現実。いたずらに感傷に走らず淡々と戦場を描いていく群像劇の傑作、民間人の視点で描いた硫黄島の死闘の裏側は脚本家のアイリス・ヤマシタさんの着想、謙さんのアドバイスも相当あったらしいがハリウッドが日本映画より日本映画らしい力作を作ってしまったことに驚きを隠せない、クリント・イーストウッド監督は日本人の心を鷲掴みにしてしまったことでしょう。
葛藤抱える兵士の信念、胸締め付けられる
戦況分析続け斬新な戦略練る上官の、部下を見守る優しい眼差しや相手の立場に立って敵味方関係なく状況判断下す姿に胸打たれる
戦地へ配属された兵士の過去が描かれ、大切な人への切ない思いが綴られた手紙や、難航極めながらも攻め続け、信念持った兵士の無念にじませる心情が胸に突き刺さる
アカデミー賞サウンド編集賞・ゴールデングローブ賞外国語映画賞受賞作
日本軍側に焦点当て戦時下の緊迫した情勢や人間関係を考えさせられる、クリント・イーストウッド渾身の一作
今平和に生きれていることに感謝
初めて日本人の地上戦を描いた映画を見ました。
今まで空爆のイメージが強かったのですが、戦争(地上戦)とはこんな生々しく恐ろしいものだったと戦争へのイメージが変わりました。
他、沖縄や樺太などでも地上戦があったと認識しています。訪れる際はその地での歴史もしっかり学びたいと思います。
他国の戦争への価値観も他の映画などを通じて学びたいと思いました。
今、平和な環境に生きていられることに感謝
やりたいことに挑戦できることに感謝
好きな人のそばにいられることに感謝
戦争の歴史を忘れず、
変なプライドは持たず、精一杯生きたいです。
話題性だけの作品
監督は日本語を理解してないので演技にはタッチしてないのでしょうね。
みんな自由に演じてるので、役というより俳優そのものという感じです。
それで、映画というより学芸会みたいだ、ということです。
涙は流しても、笑顔は作らない。戦争がどれだけ愚かで卑劣な行為かが分かる。
1945年2月、日本本土を守る最重要拠点となった硫黄島で起きた戦争を
描いた「硫黄島からの手紙」を観ました。
日本兵 2万2786名に対し、アメリカ軍の兵士は11万名。
圧倒的な戦力差にも関わらず栗林中将(渡辺謙)を中心に驚異の粘りを見せ、
36日間の猛攻の末、日本兵が壊滅するまでが描かれています。
硫黄島の戦いと呼ばれ、アメリカ兵の死傷者が日本兵の死傷者数を
上回る稀有な戦いとなりました。
映画は彩度を落とし、戦場の重苦しさや命の儚さを表しています。
アメリカ軍が上陸してくるシーンにただならぬ恐怖を感じました。
大量の戦艦・戦闘機が押し寄せ、兵器の恐ろしさに圧倒されました。
日本兵は、銃弾・火炎放射・爆撃など陸・海・空のあらゆるところからの集中砲火を
受けることになります。
とてもじゃないが勝てる見込みはありません。
人が物のように吹っ飛び、命を失っていきます。
それでも圧倒的戦力の前に立ちふさがったのです。
その時の心境なんて戦後に生まれた僕には想像もつきません。
ただ、戦場がどれほど恐ろしい場所か、
戦争がどれほど卑劣な行為なのかは分かりました。
そもそも硫黄島自体が過酷な場所でした。
その名の通り硫黄が立ち込め、地下道を掘ると有毒ガスが充満していたそうです。
飲み水も自力で確保できず、本土からの物資と雨水に頼っていたとのこと。
さらに上官が目を光らせ、下手な発言もできない超体育会系な社会だったのです。
こんな場所でいつ死ぬかもわからない行為をしていたのですから、
戦争って誰にとって得なのか疑問に感じました。
ストーリーは現代に戻り、兵士たちが立て籠もっていた洞窟から
多数の手紙を発見します。
その内容のほとんどが本土に残した家族の心配でした。
どんな心境だったのでしょう。
もう二度と会うことができないと確信し、それでも家族のことを思い、
届くかどうかも分からない手紙を書き残す。
手紙を書くことが心の支えになっていたのでしょうか。
書かずにはいられなかったのでしょうか。
手紙の内容がナレーションのように読まれ、映画は終わります。
戦争で涙を流すことはあっても、笑顔を作ることはありません。
戦争の恐ろしさが、ずしりと心にのしかかる映画でした。
作品としての素晴らしさは色々あると思う。 これが戦争というもので、...
作品としての素晴らしさは色々あると思う。
これが戦争というもので、きちんと観なければいけないとは思うのだけど、とにかくむごい。むごすぎる。
他の方のレビューに「人が虫けらのように死ぬ」とあったが、ほんとその通り。様々な死に方で、バタバタ死んでゆく。
2時間半つらかったーーーー
呼吸が浅くなる映画。精神的にとか表現上とかじゃなく、本当に息が苦しくなった作品。
基本的に、何言ってるか聞こえないシーンが多い。それがまたストレスとなるので、ただただ辛い。
最後に出てくる負傷した米兵はライアン・フィリップではありません。
『父親たちの星条旗』を復習せず、『硫黄島の砂』(1949)やTVドラマ『硫黄島~戦場の郵便配達』によって理解力を高めました。どれもこれも秀作ばかりなので、このクリント・イーストウッド作品をどう表現していいものかわからなくなるほどなのですが、アメリカ人が硫黄島での戦闘を日本人の視点で描いたこと以外に、現代的な視点を取り入れた人間本来の姿をリアルに表現していたことに驚かされました。
まずは圧倒的な兵力で攻めてきたアメリカ軍の軍勢に驚いた日本兵西郷(二宮和也)と同じく、戦艦が押し寄せてくるシーンに腰を抜かしてしまいそうになりました。自分だったら糞と一緒に山をころげ落ちるかもしれないな~と思いつつ、その後の艦砲射撃の迫力に体が硬直し、浮遊感さえ味わってしまいました。そして、擂鉢山の頂に星条旗を掲げられた裏の場面で、日本軍が体の一部を蝕まれたかのような感覚に包まれたのです。戦争に負けたことのないアメリカが描く敗戦国日本であるはずなのに、全く違った印象を持ってしまう。これも「勝ち負けを描いたものではない」という境地に達した監督だからこそ為しえたことなのでしょう。
戦争の醜さ、不条理といったことも日米双方の視点で平等に描かれていることにも気づきます。日本側に「衛生兵を狙え」とか「死んだフリ」とかの卑怯な手口の描写もあれば、投降した兵士を撃ち殺す米兵も描いている。また、軍法会議にもかけないで部下を殺そうとする上官もいれば、玉砕が美徳とされていた当時の精神論に対抗するかのように「命を大切にせよ」と嗜める司令官もいる。そして、「天皇陛下万歳」と士気をあげる一方で、玉砕よりも命が大切、愛国心などよりも家族が大切なのだと栗林や西郷を通して訴えてくるのです。玉砕が美徳じゃないといったことも、手榴弾による自決の映像がグロかったことでわかります。
戦争の英雄なんていないんだという前作と同様に、栗林中将(渡辺謙)も英雄のようには描かれてなかったし、バロン西(伊原剛)にしても「アメリカ人だって家族を愛する普通の人間なんだ」と訴えているようで、英雄ではありませんでした。また、元憲兵だった清水(加瀬亮)の存在も日本の戦争映画では異色かもしれません。まるで今の北朝鮮のように自由のなかった当時の日本の風潮が一人の新米憲兵の目を通して描かれているのです。
どちらかというと、人の死によって号泣させる映画ではないのかもしれません。日本軍がとった作戦や戦闘の経過、日本兵たちの様々な思い、手紙を通じて知りえた事実を冷静に受け止め、追悼の念を込めた映画なのです。ずっと流れていた音楽がレクイエムのように聞えてきました・・・
うーん、画面が見にくいし、声が聞き取れない…
戦争美化的な要素があるのでは、と警戒しながら見たが、杞憂だった。
ただ、映像がセピア色に加工されていて、白黒映画の「第三の男」のように、何が映っているのかよくわからないところが多々あった。
音声も聞き取りづらく、英語の箇所の日本語字幕が一番わかりやすかったので、日本語にも日本語字幕を付けてもらいたいレベル。
題名からイメージしていた家族との兵士の繋がりはほとんど明らかにされず、西郷の妻子のことしかよくわからない。
渡辺謙は主役だったのだろうか?彼の家族への手紙の一部は紹介されているが、家族自体は明らかにならず、彼の立ち位置もよくわからないまま。
印象的なのは、戦闘中に投降しても米兵に撃ち殺されたということ。生き残って帰ってきた人というのは、本当に戦闘終了まで生き残って捕虜になった人しかいないのだろうか?
西郷が大宮でパン屋をやっていたというが、戦時中にパン屋って洒落てるな、と思ってなかなか感情移入できず、惜しいことをした。
Amazonでみる。
Amazonで見ることができた。時間が取れなくて途切れ途切れに、丸一日かかった。iPhoneの小さい画面。劇場でみるのとはわけが違うとは思うが、自分用に記録する。
硫黄島の戦争のことは、ほとんど知らなかった。
なぜこれがクリントイーストウッドによって映画化されたかもわからない。アメリカ側の「父親たちの星条旗」とと対になる作品らしい。ということは、二本まとめて見なくてはならないことになる。
本作の主人公、二宮和也がいい。元パン屋で、顔を見ぬ我が子が一人。戦争とは無縁のような男だ。「ブラックペアン」とはちょっと違うが、すこしニヒルなところはあるような気もする。
あとは、ほぼ軍人がでてくる。中村獅童、井原剛志、加瀬亮。このような男たちが、遠い島まで戦争にきて、よく知りもしないアメリカ軍と戦っていたのだということが、いまさらだが、認識させられるのだ。軍人と言っても、職業軍人は一握り。あとはパン屋であったり、農家であったり、特高警察くずれであったりの寄せ集めなのだ。そして職業軍人であっても、水や食糧や武器もなく、風呂に何日も入らなければおかしくなってくる。
画面はモノクロームで、当時に思いをはせるために適した映像効果になっている。
可もあり不可もあり
皆さん仰るようにアメリカ製の映画で描かれる日本人像としては異例とも言えるほどナチュラルに感じた。
あまり演技がうまいとは思わないが、嵐の二宮が演じるキャラクターは飾らず、偏りのない等身大の青年であったのが良かった。
戦闘シーンをはじめ細かな演出に違和感を感じる事が多く、あまり劇中世界に没入できなかったのが低評価の主要因。
あとラストシーンで二宮がシャベル振り回していたのは
何だか物を盗られて子供みたいに怒って足掻く非力な日本人と、質・量ともに勝る武器を持って多勢でいなすアメリカとの太平洋戦争そのものの風刺みたいに思えた。
制作者はそんなこと意図してないにせよ、そんな風に見えたという個人的な解釈のひとつなのであしからず。
余談だけど、映画を観て戦争について考えるというのは不十分だと考えていて
映画は少なからず制作者やスポンサー等の意図やバイアスが反映されるので
それを観てそのまま戦争とは、、、と考え出すのは早計かと。
あくまで動機付けと位置付けて、映画をトリガーにして色々調べるってのが必要なのかなと。
写実的な太平洋戦争描写
日本軍が後退を余儀なくされる経過などはあまり描写されていないものの、空襲や上陸作戦、夜戦など、ハリウッド映画ならではの迫力シーンとともに、主に日本軍の戦闘員目線でのリアルな葛藤、狂気、絶望がとても丁寧に描かれている。
バンザイ突撃や集団自決なども、アメリカ人からみた正気を失った異国の野蛮人による理解不能な行動としてではなく、あくまで、追い詰められた日本人の視点を保っており、アメリカの価値観や正義を押し付けるような描写でないのは好感がもてた。
いっぽうで馬や犬を通して、往時の戦争や軍人の無差別な容赦の無さをさりげなく浮かび上がらせるなどの小技も冴えている。
それにしても、戦争してはいけないとは言うは易しで、戦争がなかった時代はほとんどなかったことを考えると、よほど知恵を絞らないと戦争を防ぐことはできないのだろう、人類は...
中東や半島情勢をみれば過去のものでもなければ他人事でもない。
反戦映画とは何か。
みんな虫けらのように死んでいった。手榴弾を抱えて、虫けらのように死んでいった。
決して、戦争賛美の映画ではない。
手榴弾で集団自決するシーンは、鳥肌が立った。
実際の戦争では、もっと惨たらしい死が大量に生み出されていたのだろう。「ヒト」から一瞬で「モノ」に変わる惨たらしい死。
「戦争はしてはいけない」ということを、改めて実感させてくれる映画であると思う。
戦争で死んでいった大多数の人は、虫けらのように死んでいった。
その死には何の意味もなかった。
戦争での「意味なき死」を描く映画は、強力な反戦映画になりうる。
重く、深く、刻みこむ。
洋画として見たはずが、蓋を開ければ完全に邦画じゃないか!と感じられた。
それほどにクリント・イーストウッド監督の戦争への偏った意見や思想が反映されず、徹底的に日本側から見た戦争を描いている。
だからこそ日本人の私の心へ深く沁み入る作品となった。
派手さやヒーロー性などエンターテイメントを完全に排除しており、そのリアリティさが逆に理不尽で壮絶な戦争の現実を一層色濃く映し出していた。
是非二部作である「父親たちの星条旗」も見なければならない。
悲痛な感情がこみ上げる事もあれば、ただただ思考を停止させて苦しみをシャットアウトしたくなるような場面もある。
しかし、たった70年前に実際の島で行われていた戦である。
今目の前にある日常が如何にアンバランスな奇跡の上に成り立っているのか思い知らされる。
折角の情報社会。
「知る」「調べる」「考える」
始まる前から負け戦だったこの戦い。
それでも戦争をせざるを得なかった時代背景や政治的な問題。
そのスタートを知り、調べ、考え続ける事こそ当時のような物理的な殺し合いのない「平和」を維持するという事だと思います。
どうか1分1秒でも、アンテナを張り巡らせて。
この時期に鑑賞して良かったです。
硫黄島2部大作・・
クリント・イーストウッド監督による硫黄島2部大作。日米双方からの視点で描いている。アメリカ側の視点から「父親たちの星条旗」日本側の立場から本作品である。硫黄島の過酷な戦い・・太平洋戦争末期に米軍の総攻撃に洞穴を掘って地中から応戦した。日本軍の一兵に嵐の二宮和也。人情味のある栗林中将に渡辺謙。果して硫黄島はどうなるのか!?これ以上はネタバレになるので・・歴史的には硫黄島はアメリカの基地となり日本本土を空襲した。2006年のアメリカ映画。
日本人描写が良い
外国人監督が撮った映画とは思えない。日米双方の視点から硫黄島の戦い描くという企画であったとしても、ここまで日本人を表現できるのってすごい。間とか空気とか暗黙の了解のような感じは、まったく日本映画のようだった。
二宮君の演技がとてもいい。生き残るためには手段を選ばないというタイプでもないし、どのような状況に陥っても自分の意志を貫くという訳でもない。弱音も吐くし長いものにもまかれる。普通の青年を背伸びせずナチュラルに演じており、時代を超えた物語である事を感じさせないほどの共感を持てた。
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