硫黄島からの手紙のレビュー・感想・評価
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日本軍の中に共存する狂気、合目的性、素朴さを見事に描き出すことで、戦争の酷さを感じさせる傑作
クリント・イーストウッド監督・制作の2016年公開の言語は日本語の米国映画。原作は「玉砕総指揮官の絵手紙」(栗林忠道著、吉田津由子)。原案がアイリス・ヤマシタ(日系アメリカ人2世)とポール・ハギス(アカデミー脚本賞受賞者、制作総指揮を兼任)、脚本がアイリス・ヤマシタ。撮影はトム・スターン。
主演は渡辺謙、二宮和也、伊原剛志、加藤亮、中村獅童も出演。
舞台となる島の景観を意識してか、色調をを少し抑えた映像が実に美しくて、とても気に入った。
アメリカ留学経験あり赴任早々体罰禁止し、闘い方も合理的なものに変えた栗原陸軍中将を演ずる渡辺謙は流石の演技で、長期間戦えたことに説得力満点。一方、世界に誇れるこの様な知的且つ戦略的で指導力有する人材が中央で指導的位置におかれないことに陸軍組織の致命的欠陥を感じた。
恥ずかしながら見ている時二宮と分からず、パン屋だった陸軍応召兵演ずる二宮和也が擦れていない普通のヒト感を満載に示して素晴らしかった。嵐とは結び付かず、天才的な若手俳優が出現したと思った。まあ今となれば演技に定評有るが、その軍人らしからぬ素朴な人間らしさが強く印象に残る演技であった。イーストウッド監督の演技指導も多分良かったのだろう。
そして、中村獅童演ずる海軍大尉は撤退した部下を殺害しようとし玉砕を信奉するある種、典型的な日本軍指揮官を表現。地雷を持って死体のふりをして戦車の下に潜り込もうとしたが長時間の恐怖からか放心状態となり投降する姿が、日本軍の狂気を見事に表現していた。
外国制作の映画で日本軍に違和感がこれほど全くない映画は、初めて見た。監督の情報収集及び事前学習の凄みを感じた。
歴史的事実として硫黄島の戦いは、米軍の死傷者が28686名で、日本軍のそれを上回る稀有の戦い。予定では5日で攻略が1ヶ月以上を要し、米軍が日本本土上陸を避ける一要因にもなったらしい。この大激戦を米国側だけでなく、敵側の日本からの視点からも映画を制作したイーストウッド、スピルバーグ(製作の一人)、ポール・ハギスら米国製作陣に大拍手を送りたい。
好みでいうと、はまらなかった
星条旗~から続けて観て。
引き続き簡単な感想が難しい内容。この広く深いテーマにどっぷり浸からないことにはろくな感想も出てきそうにない。。
なので戦争映画として好みでいうと、はまらなかった、ということになる。それぞれのエピソードもどこかありきたりでさらっとしてるし、ずしーんと胸に響くものがなかった。星条旗~で思った戦争映画として今一歩な印象から変わることもなく。ただ、これはそもそもの期待値が高かったからで、作品としてくだらないとかでは決してない。なので以上。
戦争
誰もが幸せにならないのに。
人が人を殺す 決して望んだ訳じゃないのに自分の意志に関わらず戦わなくてはならない人生
クリントンイーストウッド監督
アメリカの俳優でもあり監督
二宮が出演しているのに観ていなかった
渡辺謙と話するところは今風な感じがした
この映画で何を言いたかったのかアメリカ兵を介抱した時アメリカ兵の手紙が私と同じ内容の手紙を書いていると清水が言った。人は国籍に違いはあっても人の心は同じであることを伝えたかったのだろうか。
最近ONODAの映画を観た監督がフランスの人で小野田さんの生き方に焦点をあてた作品で戦争の犠牲者として捉えた映画だった。
日本人の監督とまた違った感覚が今風なのかもしれない
今なお戦いが起きている。いつになっても戦いは終わらないのかもしれない。人間に欲がある限り 戦争は…
生きることの意味
指揮系統が徐々に崩壊していく様子にリアルを感じた。
孤立無援の中、水、糧食、補給品等不足し、指揮系統も混乱して、まともに作戦も立てられず、徐々に崩壊していく部隊を指揮する栗林中将の苦悩がよく理解できました。
印象に残ったのは、西中佐が助けた捕虜の米兵が持っていた母親からの手紙で、家族の身を案じる思いは世界共通だなと胸が熱くなりました。
また、自ら進んで投降した清水が米兵の都合によって殺されてしまった場面では、これはこれで人間らしい状況判断だなと思い、綺麗事だけでは片付けられない戦争の悲惨さを感じました。
装備、規模、国は違えど、やはり人間同士の争いなので、情もあれば非道もある。
それを手紙を通して表している本作品は秀逸な作品でした。
そして、やはり渡辺謙さんは演技が上手い!
話し方、トーン、立居振る舞いが全て自然!
やはり彼は日本を代表する俳優であると改めて思い知りました。
両方見なきゃダメ
父親と手紙、両方でワンセットですから両方観ましょう。
一旦戦場に出てしまえば、大義名分や建前は消滅して、ひたすら目の前の敵を倒す、仲間がやられたら悲しい、自分は死にたくない、の一心に集中され、弾に当たったら誰でも死ぬ、という意味では「米兵も日本兵も同じ」と言ったイースト君はその確信通り、どちらにも肩入れせず、善いも悪いも語らず、反戦も声高に叫ばず淡々と凄惨な戦闘風景の描写に努めたんでしょう。
その意味で、二作は表裏ではなく、同じ方向を向いた並列作品です。
敢えて比較すれば、父親は戦闘以降の話、手紙は戦闘以前の話に焦点をあてています。物語としては、父親が旗を掲げた六人は誰だ問題に終始しているのに対して、手紙は様々な階級の軍人の硫黄島に至るまでの人生が丁寧に描かれていてドラマチックです。手紙の方がオスカー候補になったのはよくわかります。
私も手紙は五点、父親は四点です。父親だけなら五点だったかも。
ただ、手紙の方はさすがのイースト君も日本語のニュアンスは演出できなかったと思うので、セリフのトーンがバラバラのきらいがありました。まあ、それは小さいことです。
戦争映画といえば…
やっぱり戦争なんてするべきじゃない
クリント・イーストウッドが、ほぼ全編日本語で映画を一本撮ったことは、素直にすごいと思う。
ただ、その日本語が聞き取りづらい…。
私の耳が悪いのかもしれないけど、1割くらい何言ってるかわからないところがあった。
二宮くん演じる西郷が、ほぼ現代日本語でしゃべってるのは正解だった気がする。
彼の、反抗的で正直なキャラクターが際立ってた。
日本軍が米軍に投降した時に、一瞬米軍を天使のように描くのかと思ってがっかりしたら、そうではなかった。
父親たちの星条旗と同様、戦争は一方が善で一方が悪なわけではないこと、現場の兵士たちは、心身ともに極限状態まで疲弊しながら、自分の信じるもののために、大切な人のために、ただ必死だったのだと伝えたかったのだろう。
日本人が見ても違和感が少ない、日本が舞台の映画。
でも、日本人には作れないだろう感覚が混ざってる。
2つはあまりつながらない
賛美せず、いたずらに英雄を作らないという点では、そうあるべきだと思います。映画として2部作とするのであれば、あえての仕掛けがあってもよかったのではとも思ってしまいますが、それは素人考えなんでしょうね。きっとそういう声がありながらも抑制をきかせたことに価値があるのかもしれません。
硫黄島の激闘(日本目線)
演技が軽くリアリティに欠ける
アメリカ人が撮った純ジャパンな映画
戦争の真実に誠実なイーストウッド監督
日本の敗戦が濃厚だった頃の、南洋の最前線で最後まで諦めず敵と戦う日本兵の姿を、クリント・イーストウッド監督が紳士的に描く。本来、この脚本ならば日本人監督が撮るべきものを、全編日本語の台詞にも関わらず遣り遂げたことが意味することは、イーストウッド監督の懐の深さであり、戦争に対する見識の高さであろう。モノトーンに近いカラーの色彩が代表するように、内容も演出も編集も冷静な視点が行き届いた生真面目さが特長になっている。戦後も60年以上経つと、これまでの一方的な反戦思想だけでは全てを語ることが出来ない。戦死していったひとりひとりの事情に配慮した客観的な再考が必要とされる。日本映画の欠陥を指摘されたようで、映画を離れて考えなくてはいけない作品だ。
俳優では、唯一加瀬亮の演技に感銘を受ける。
圧倒的リアリティ。
観なくてはいけない映画
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