ー 先日、今作のリメイク作であるロバート・デ・ニーロ主演の同名作を観て良かったので、オリジナルを鑑賞した。普通は逆だろうけれど。で、ヤッパリ良かったのである。
私は、優れたるオリジナル作品からリメイク作品が作られるのは、映画の正の連鎖と思っている。故に、リメイクはオリジナルには敵わないというトーンのレビューは書かない。
どちらにも良さがあると思うからである。-
■シチリアに住む老人・マッテオ(マルチェロ・マストロヤンニ)には、イタリア全土に散らばり暮らしている5人の子供たち、アルヴァーロ、政治家の秘書のカニオ、女優のトスカ、音楽家のグリエルモ、電話会社の役員であるノルマがいた。
毎年夏には必ず帰ってくる子供たちが、今年の夏に限っては誰も姿を見せなかった。そこでマッテオは自分から子供たちを訪ねて驚かせてやろうと思い立ち、予告なしにイタリア本土各地に住む子供達を次々に尋ねるが、その中で子供達が彼に隠していた事を知って行くのである。そして、一番心配だったアルヴァーロには、会えず仕舞いになるのである。
◆感想
・マッテオが子供達を予告なく訪ねると、彼らが父親に隠していた事が明らかになって行く。カニオは政治家ではなく秘書であり、トスカには子供がいて、音楽家のグリエルモは大太鼓、電話会社の役員であるノルマは実は電報受付係であった。
・更に、ノルマの家に泊まった時に聞こえて来た彼女と夫との会話”パパの前で、幸せな振りをするのは、もう辛い”と言う声。
それを聞いて、彼は夜中に一人家を出るのである。
■印象的なのは、マッテオが掛けているムッチャ目が大きく見える老眼鏡(彼が”近くしか見えない事”の暗示であろう。)や、彼が電話をする際に、周囲の人達が止まっている演出や、矢張りアルヴァーロの子供時代を演じた子役ー”トト”-である。インパクト大だなあ。
あとは、デ・ニーロバージョンが、オリジナルに可なり忠実に作られている所かな。
・マッテオが”皆で食事をしよう!”と言っても、出席はカニオと、グリエルモだけである。そこで二人は一番父親には言えなかった事実、”アルヴァーロが自殺した事”を告げるのである。新聞には僅かの記事で、しかも名前が間違っていた事を・・。
・けれども、マッテオはシチリア島に戻り、(それまで、生きているように彼が話して来た)妻の墓碑の前で、”みんな元気だったよ。”と報告するのである。
<今作は、イロイロと有りつつも、一生懸命に生きる子供達を訪ねる父親の姿を描いたロードムービーなのである。>