みんな元気

劇場公開日:1990年12月15日

解説・あらすじ

 「甘い生活」のマルチェロ・マストロヤンニとフランス人女優ミシェル・モルガン、往年の名優が共演。シチリアに住む70歳のマテオは、バカンスにも帰ってこない5人の子どもたちを訪ねてイタリア各地を旅する。しかしそこには、父のために幸せを取り繕う子どもたちの姿があった。ジュゼッペ・トルナトーレ監督の前作「ニュー・シネマ・パラダイス」でトト少年を演じたサルバトーレ・カシオが、息子の幼少期を演じている。

1990年製作/127分/イタリア・フランス合作
原題または英題:Stanno tutti bene
劇場公開日:1990年12月15日

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映画レビュー

4.0 【子供は父親の前では幸せな振りをする。それは心配を掛けたくないから。けれど、父親は子供達に逢えば、隠し事は分かるのである。今作は一生懸命に生きる子供達を訪ねる父親の姿を描いた映画である。】

2025年11月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 先日、今作のリメイク作であるロバート・デ・ニーロ主演の同名作を観て良かったので、オリジナルを鑑賞した。普通は逆だろうけれど。で、ヤッパリ良かったのである。
  私は、優れたるオリジナル作品からリメイク作品が作られるのは、映画の正の連鎖と思っている。故に、リメイクはオリジナルには敵わないというトーンのレビューは書かない。
  どちらにも良さがあると思うからである。-

■シチリアに住む老人・マッテオ(マルチェロ・マストロヤンニ)には、イタリア全土に散らばり暮らしている5人の子供たち、アルヴァーロ、政治家の秘書のカニオ、女優のトスカ、音楽家のグリエルモ、電話会社の役員であるノルマがいた。
 毎年夏には必ず帰ってくる子供たちが、今年の夏に限っては誰も姿を見せなかった。そこでマッテオは自分から子供たちを訪ねて驚かせてやろうと思い立ち、予告なしにイタリア本土各地に住む子供達を次々に尋ねるが、その中で子供達が彼に隠していた事を知って行くのである。そして、一番心配だったアルヴァーロには、会えず仕舞いになるのである。

◆感想

・マッテオが子供達を予告なく訪ねると、彼らが父親に隠していた事が明らかになって行く。カニオは政治家ではなく秘書であり、トスカには子供がいて、音楽家のグリエルモは大太鼓、電話会社の役員であるノルマは実は電報受付係であった。

・更に、ノルマの家に泊まった時に聞こえて来た彼女と夫との会話”パパの前で、幸せな振りをするのは、もう辛い”と言う声。
 それを聞いて、彼は夜中に一人家を出るのである。

■印象的なのは、マッテオが掛けているムッチャ目が大きく見える老眼鏡(彼が”近くしか見えない事”の暗示であろう。)や、彼が電話をする際に、周囲の人達が止まっている演出や、矢張りアルヴァーロの子供時代を演じた子役ー”トト”-である。インパクト大だなあ。
 あとは、デ・ニーロバージョンが、オリジナルに可なり忠実に作られている所かな。

・マッテオが”皆で食事をしよう!”と言っても、出席はカニオと、グリエルモだけである。そこで二人は一番父親には言えなかった事実、”アルヴァーロが自殺した事”を告げるのである。新聞には僅かの記事で、しかも名前が間違っていた事を・・。

・けれども、マッテオはシチリア島に戻り、(それまで、生きているように彼が話して来た)妻の墓碑の前で、”みんな元気だったよ。”と報告するのである。

<今作は、イロイロと有りつつも、一生懸命に生きる子供達を訪ねる父親の姿を描いたロードムービーなのである。>

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NOBU

3.5 近くが見えづらい遠視の眼鏡なんて、エスプリの効いた演出

2025年11月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

シチリアに住む老人マッテオには、イタリア全土に散らばって暮らしている5人の自慢の子供たちがいた。毎年夏には必ず子供たちはシチリアに帰ってくるが、今年の夏に限っては誰も姿を見せなかった。そこでマッテオは自分から子供たちを訪ねて驚かせてやろうと思い立つ。ナポリ。ローマ、フィレンツェと旅する老人の目に映ったものは果たして何だったのだろうか・・・。旅を終えて、我が家に戻ったマッテオは、妻の墓前で旅の報告をして子供たちの近況を伝えるのだった(Amazon Primeより)。

イタリアのシチリア島と聞くとなんとなくマフィアを想像してしまうが、AIによると日本にとっての小豆島のようなものだという。温暖な気候、山がちな地形、海の風景がその理由だとか。つまり、本作はマッテオが瀬戸内海の小豆島から東京や大阪、名古屋に住む子どもたちに会いに行く、おじいちゃんロードムービーといったところだろうか。

人生なんてスペクトラムの連続である。日によって、場所によって、焦点によって光も影も生み得るし、影寄りに光も、光寄りの影もある。5人も兄弟がいれば、その組み合わせは流動的なスペクトラムの球体のように不定だろう。パパが楽しみにしている年1回の帰省に、地のスペクトラムや影を持ち込むことはなく、よって、パパは光ばかり放つ輝かしい子どもたちを誇る。

アメリカや日本映画に慣れ親しんでいる側からすると、良かれと思ってやってきた子育てが、長い年月をかけてしっぺ返しを食らうようなストーリー展開やなによる結末には若干救いがないように感じる。近くが見えづらい遠視の眼鏡なんて、エスプリの効いた演出。

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えすけん

3.5 シチリア物語

2025年11月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレの監督第2作だったので劇場公開時に観た。確か当時のパンフレットだったか映画誌だったかにおけるトルナトーレへのインタビューで、当人に対して小津安二郎の『東京物語』との類似を指摘し、影響を受けたのかを質問していたが、トルナトーレは『東京物語』を知らず、逆に小津に対して興味津々だったという記事を読んだ記憶がある(僕も当時は『東京物語』は未見だった)。映画自体はなかなか面白かったが、やはり『ニュー・シネマ・パラダイス』には及ばないという印象でした。

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バラージ

4.5 名優マストロヤンニの人生賛歌

2025年10月29日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

幸せ

癒される

どんな人生も、愛おしい。
それにしても、マストロヤンニさんのお声が渋くて素敵。

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akkt0624

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