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1958年の作品とあって、今見てもきちんと評価できそうにない。
以前、上品なヤンキー達が指パッチンしてる映画『ウェスト・サイド・ストーリー』のレビューも書いたけど、同じ感じ。
なかなか現代の作品のように緻密に描かれておらず、特に登場人物の心の移り変わりの表現が粗すぎて、喧嘩してはすぐ仲直り、言い争ってはすぐ仲直り。何やこいつら?と白けた気持ちに。直前に見た『レント』の方は、完全に舞台(ブロードウェイ)を撮影してディスク化したものなので、そんな感じでも違和感なく見られるけど、映画として見ると、もっと描写が丁寧でも良いのに…と思ってしまう。
何か起きた時にジャジャーン!と突然デカい音が鳴るのも、舞台っぽさが残る昔ながらの演出。
そういやディズニーの『白雪姫』『シンデレラ』なんかもそんな雰囲気がまだありましたね。
娼婦マリーとの恋愛も、主人公はずっとマリーの生い立ちのせいにしているけど、マリーが「愛してるわ」と言っても「誰にでも言ってるだろ」だの「他の男の所にいたんだろ」など、主人公の方もめちゃくちゃ卑屈な性格で、問題あり。なのにずっとマリーが貧民街出身だから、自由人だからみたいな言い方をしてる。そらうまくいかんわ。
マリーも我儘過ぎて驚くけど、主人公もなかなかのもん。特にミリアムに出逢ってからはとんでもなく酷い。
障害のせいや親のことなどあるんだろうけど、ここまで拗らせてたら他人にはどうしようもない。
作中では何となく「憐れな男」感を出してるけど、何ならウザすぎて笑えてくる。マリーに関しては(マリーが本気だったとしても)お互い幼稚だったからなぁといえるけど、ミリアムはかなり節度を保ち、主人公のいじけた態度にも耐えて知性的に接していたにも関わらず、主人公の卑屈さが遥か上を行く。オワタ!
タイトルの「ムーラン・ルージュ」はパリの貧民街にあるキャバレーで、未だにあるらしいから凄い。昔は娼館も兼ねた安っぽいキャバレーだったようですが、作中で言われてる通り、今は「高級」キャバレーになっているそう。
主人公はムーラン・ルージュに入り浸り、ここの踊り子達の絵を描いている。
しかし、この踊り子達はとんでもなく下品。ビビる。
女達は意図的に醜く描かれてる感じはします。
踊り子達のガチオタらしきオッサンはあんなに可愛く描かれてるのに(?)。
ロートレックは実在の画家だけど、本作の内容は史実とは異なるようで、かなりお上品に纏められてる印象です。
本当は父親はめちゃくちゃ嫌な奴だったようだし、ロートレックが死ぬまで絶対にロートレックの絵の才能を認めなかった(ロートレックの最後の言葉が父親への侮蔑だったとさえ言われている)。
足の骨折も、当時から近親相姦のせいとわかっていたわけではないみたい。作中では描かれてないけど、骨折は一度ではなく、快活な性格なのに骨が遺伝的に脆かったせいで、何度も折ったせいで成長しなくなったとか。
マリーとは純愛(?)だったように描かれているけど、本当のところは娼婦と遊び放題だったらしいし、時代的に、そのままはちょっと描きにくかったんでしょうかね。もしくは監督が元々画家志望だったらしいから、個人的にロートレックを美化してるか。
死ぬ時の走馬灯すらも、愛した人ではなくムーラン・ルージュの踊り子達だけなのが何だか悲しい。輝かしいものがそれしかない人生だったのか。
名作なのは頷けるところですが、現代人が見て凄く楽しめるかというと…なのでこの評価。
古典作品が好きな人にはお勧めです。