劇場公開日 2021年11月5日

「ベル天」ベルリン・天使の詩 Kjさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ベル天

2017年10月9日
iPhoneアプリから投稿

このような詩的な映画が社会現象になったバブル期、まるで踏み絵の如く流通したのは、この映画にとって不幸なことかもしれない。私自身は当時何度と試したが、いずれも爆睡。今回改めて見てビックリ、コロンボが出てる!って、そこまで持たなかったのか。とはいえ、今回もやはり眠い。終盤になるまで展開が少なく、詩が断片的に続く。図書館の無駄のない美しいデザインやニックケーブの音楽に引きつけられる。終盤の堕天使展開には目が醒める。
詩を解釈しないと読み解くことができない為、何度か見返しながら観ないといけない。読み返していくと退屈だったシーンに無駄がないことがわかる。しかし、未だに国語の試験のように扱うのは不粋。難解な映画があって良い。
ポスト全共闘世代は世代共通の世界観を共有するに至った訳ではない。しかし、知的な価値観を得ようとした世代でもあり、この難解な映画が社会現象を起こしたのも、その表れだろう。皮肉なことに、ベルリンの壁は崩壊したが、連帯は失われて平和に埋没する個の集合体が残されているのかもしれないが。

Kj