「惜しまれる役者魂ゆえの夭折」ブラック・レイン TRINITY:The Righthanded Devilさんの映画レビュー(感想・評価)
惜しまれる役者魂ゆえの夭折
『エイリアン』(1979)や『ブレードランナー』(1982)でも知られる名匠リドリー・スコット監督のクライム・アクションムービー。
ロケの多くを大阪(作中、元町の表記が見られるので、たぶん一部は神戸)で撮影。阪急梅田ターミナルの昔の風景が懐かしい。
『ブレードランナー』の時と同じく、夜間シーンにスモークを多用して異世界感を演出したスコット監督の感性は見事。既存のハリウッド映画によくある日本に対する勘違い場面がほとんど登場しないのにも拍手。
もっとも、日本の行政の映画撮影への非協力的態度(融通のきかなさ)に監督はたいそうご立腹だったそうだが、本作の影響で、のちに欧米の旅行パンフレットが映画まんまのイメージで大阪を紹介したせいで大阪の観光業界もお冠だったとか。
日本で撮影されたパートには多くの邦人俳優・タレントが出演(國村隼若い!)。
高倉健が警察官(松本警部補役)に扮しているが、彼の本来の立ち位置は東映任侠映画。
本物のヤクザが演技指導したり、組関係者が当たり前のように出入りする様子が常態化していた東映京都撮影所でキャリアアップした高倉自身、某組織の大物との親密な関係は公然の事実。一時期ハリウッド資本の作品に幾つか出演したものの、そのままアメリカ進出に至らなかったのはスキャンダルに厳しいハリウッドの身辺調査が及んだゆえか。
佐藤を演じた松田優作が癌が侵行するなか映画出演を優先し、本作が遺作となった話はあまりにも有名。あらためて見ると、彼の鬼魄のせいかマイケル・ダグラスの演技が軽く感じてしまう。
若山富三郎演じる大親分菅井の「もうちっと長生きしたいんと違うんかい」とのセリフに、「あんたほど長生きするつもりはねえよ」と松田演ずる佐藤が返す場面があまりにも皮肉。
NHK-BSにて視聴。