「魔都大阪と最後の閃光」ブラック・レイン しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
魔都大阪と最後の閃光
Blu-rayで4回目の鑑賞(字幕)。
リドリー・スコット御大の作品で好きなものを3つ挙げろと言われたら、「エイリアン」、「オデッセイ」、そして本作と云うことになるくらい、大好きな作品であります。
ストーリーはアメリカと日本の刑事が文化の違いを超えて友情を育んでいくと云うものでしたが、特段珍しくないので、本作の魅力は物語を彩った舞台や出演陣に尽きるでしょう。
関西圏で大々的なロケーション撮影が敢行され、ハリウッド映画にありがちであるヘンテコな日本描写が皆無に近いことがとても印象的でした(いろいろ苦労も多かったとか)。
見慣れた大阪の景色が「ブレードランナー」的世界観に大変貌。御大の手に掛かれば街の印象がここまで変わってしまうのかと、初めて観た時に度肝を抜かれました。
御大の作家性もあるのかもしれませんが、外国人の視点で見た大阪はまるで魔窟で、怪しさや煩雑さが日本人の視点の5割増くらいになっているんじゃないかなと思いました。
マイケル・ダグラス、アンディ・ガルシア、高倉健、松田優作、若山富三郎…当時でこれ以上は考えられないであろう日米豪華キャストが集結。日米のスターたちがひとつの画面の中に収まっていると云うことのすごさに体が震え、それぞれから放たれるオーラの凄まじさに痺れまくりでした。
特に松田優作の怪演が印象的。この時すでに病を患っていたにも関わらず、治療より本作への出演を優先したそうな。病的な感じが佐藤のキャラを一層狂気的にし、彼以外には演じられなかったであろう唯一無二のものになっていたのは、決して過言では無い。本作が遺作となりましたが、最後の瞬間に眩いばかりの閃光を残しました。まさに伝説。合掌。
[余談]
関西人として、大阪などでハリウッド映画のロケが行われたと云うのがとても誇らしいですし、吉本新喜劇でお馴染みの島木譲二が出ていたのも嬉しい限りでした。
[以降の鑑賞記録]
2021/10/23:シネマスタジアム(サンテレビ)
御大のベスト3に本作と『エイリアン』は異論なしです!
私のもう1本は『誰かに見られてる』です。世の中では駄作と言われていますが、あえて。
島木譲二出てましたねぇ!ガッツ石松もいました。