二十四時間の情事

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

「君は広島で何も見なかった…何も」反戦映画の撮影で広島に来たフランス人の女優と建築技師らしい日本人の男のゆきずりの情事が、彼女の過去の禁じられた愛の記憶を甦らせる。「夜と霧」の戦争と忘却というテーマが劇映画に発展したようなレネ監督の長編第1作で、文学作家だったデュラスが初めて手掛けた映画作品。

1959年製作/91分/フランス・日本合作
原題または英題:HIROSHIMA MON AMOUR
配給:大映
劇場公開日:1959年6月17日

スタッフ・キャスト

監督
製作総指揮
サッシャ・カメンカ
白川武雄
製作
サミー・アルフォン
撮影
サッシャ・ビエルニー
高橋通夫
ピエール・グーピ
渡辺徹
音楽
ジョバンニ・フスコ
ジョルジュ・ドルリュー
美術
江坂実
マーヨ
ペトリ
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受賞歴

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映画レビュー

5.0七十二時間の広島サミット

2023年5月30日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1959年公開、日仏合作、白黒、フランス語作品

ものすごい傑作です
世界的映画賞をいくつも受賞したのは当然と思います

2023年5月G7 広島サミットが開催されました
核保有国も含め参加各国の首脳が原爆ドーム、平和記念公園、平和資料館を見学したのです

原水爆反対へのメッセージを、これまでにない強力なレベルで世界に発したと思います

更には戦争中のウクライナからゼレンスキー大統領が駆けつけ参加されたことで、この広島サミットは大変に意義のあるものになったと思います
ウクライナは、いつロシアから核攻撃受けるかも知れない状況にあるのですから

サラエボの一発の銃声が第一次世界大戦を引き起こしたように、ウクライナでの一発の核爆弾は、第三次世界大戦を引き起こすに間違いないのです

それはすぐさま全面的な核戦争にエスカレーションするでしょう
それは欧州だけでなく、米国もアジアも核の応酬を受けることになることでしょう

そのとき日本だけが局外にあれる訳はなく必ず巻き込まれると思います
日本に核が再び落ちる可能性は排除できないのです

だからこその広島サミットだったのです

本作の原題は「ヒロシマ、モナ・ムール(訳:広島、我が愛)」
本作のテーマは冒頭15分程までの会話にあり、原題の意味もそこにあります

長いですが少し書き起こします

君は広島で何もみていない
すべてみたわ

原爆病院だって見た、確かよ
広島にいるのよ
見ないですませられる?
君は病院を見ていない
何ひとつ見ていない
4回も資料館に行ったわ

中略

資料館で広島を見たわ
見学者の姿も見た
ふさぎこんで写真付きや展示を見る人々
写真、また写真
果てしなく続いている
写真、そしてたくさんの展示物
解説と展示物
それしかない

資料館に行って見たのよ
気が沈んだわ
鉄、焦げた鉄、砕けた鉄
土のようにもろい鉄
瓶のふたの塊
考えられる?
焼け残った皮膚が苦痛を物語る
燃えた石、砕けた石
女性達の髪も見たわ
一晩で抜け落ちたそうよ

平和公園は暑かった
爆発で一万度の熱
知ってるわ
太陽の熱があの広場に
無視できる?
人々の死を

君は何も見ていないよ

展示品は真に迫っていた
映画も真に迫っていたわ
映像は正直よ
だから見学者は涙を流すの
真実だもの
見学者は泣くしかないでしょ?
私も広島の運命に泣いたの

違うな
君が何に泣けるんだ?

ニュース映画も見たわ
被爆二日目の映像を

中略

君は見ていない
すべて思い込みだ

中略

私は広島を忘れないと思った
恋のように

広島サミットは3日間、二十四時間ならぬ七十二時間でした

サミットは半月前に閉幕し、参加各国の首脳は平和資料館の記憶を胸に帰国されました

ゼレンスキー大統領もまたウクライナに戻りました
サミットで各国の更なる支援を取り付けた今いよいよ反攻を開始すると断をくだしたといいます

君達は何も見ていない

本作のメッセージは、公開から64年もの時を超えて、21世紀に広島サミットが開催されることをまるで知っていたかのようです

各国首脳、そしてゼレンスキー大統領が献花した原爆死没者慰霊碑にはこう刻まれています

安らかに眠ってください
過ちは繰り返しませぬから

先ほどの台詞の続きにこんなくだりがあります

私は忘却を知っているわ
君は忘却を知らない

そうあって欲しいことを切に願います
表面的には男女の物語でありながら、本作は核戦争の恐ろしさを表面的な理解だけで分かった気になるな
恋のように一生忘れられない熱情で考えろというメッセージだったのです

本作公開は1959年6月
フランスが核実験を成功させて、四番目の核保有国になったのは1960年2月のこと
たった8ヶ月後のことだったのです
広島サミットでもフランスのマクロン大統領は、核のボタンが入っているカバンを部下に持たせ平和資料館に入って行きました

これが現実なのです
夢想的に平和を祈念しているだけでは平和は維持されないのです
私たちはそんな世界に生きているのです

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あき240

4.0『ひろしま』

2021年3月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 最初は男女の絡み映像なのだが、仮名ヌベール(リヴァ)が広島原爆の惨状を博物館などで見た光景を織り交ぜながらストーリーが進む。両者とも既婚であるが、家族を失った広島での出来事は忘れたいとばかりに岡田英次は淡々と愛を語る。残り撮影は1日、24時間後には帰国しなければならないヌベール。朝方、これでお別れとばかりに切り出すも、岡田は納得できない。撮影が終ると、すぐさま自宅へ招き入れ二回戦の始まりだ・・・

 徐々に別れがたくなってくる両者。今度はヌベールの過去が語られる。ドイツ人との禁断の恋。破局、銃殺、そして彼女自身非国民だと地下に閉じ込められたこと。辛い過去があったからこそ、岡田との恋にのめり込み、広島の惨状に涙できたのだ。

 原爆体験をフランス人目線からではあるが、世界に発信できたのは大きな功績。反戦反核映画と言えないこともないが、日本人目線からは当時の広島の様子、特に、不夜城となるくらい繁華街が活発だったりしていたことも興味深い。

 序盤に登場する広島の惨劇の映像は映画『ひろしま』からの映像だったと後から知った。

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kossy

2.5戦争の傷の芸術的表現

2020年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

総合:50点 ( ストーリー:50点|キャスト:65点|演出:60点|ビジュアル:60点|音楽:65点 )

 第二次大戦後の2人の出会いから、彼らの過去の戦争の傷に触れていくことで戦争の悲惨さを表現する。

 それはけだるく感傷的で孤独で、詩的でもあり芸術性を感じる。
 だが分かり辛いし、悠長で退屈する部分も多い。戦争の被害者の断末魔が、彼らのいる原爆で破壊された悲惨な広島というすぐ近くからではなく、何かもっと遠い彼方から聞こえてくる。現実の戦争の悲惨さに1つ芸術という緩衝材を挟むことで、直接的な表現が少なくなり難解で抽象的な概念になってしまっている。戦後何年もたって未だに生きる屍のような気力を亡くした女を通じて、彼女の内側に残された傷だけを味わっているよう。

 こういう表現方法の価値もわからないではないが、万人向けではない。ちょっと観るのに気力がいる。こんな作品もとりあえず経験として観ておいてもいいかというところ。
 ただし妖しい力もある。もし自分が心に傷を負い孤独でいる時に観たのならば、登場人物と共にどっぷりと自分自身もその雰囲気に沈んでしまいそう。そんな時に観たのではなくて良かったかもしれない。

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Cape God

1.0弄んでいるようにしか思えない

2018年3月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

寝られる

ヒロシマ・モナ・ムール

悲惨な出来事をアートというベールで包み込み、好き勝手に弄んでいるとしか思えない、かなり辛辣な表現になってしまったけれど、正直な感想をいうと、そうなってしまった。
原爆の悲惨さは、決して理解されないものなのかもしれない、そう思わざるを得ない。
そもそもこの映画を原爆を描いたものと捉えて鑑賞すること自体間違っているのかもしれない。単に広島とフランスの交わりを描いたに過ぎないわけで、そこに悲惨な出来事も当然のように絡んでくるだけに過ぎない。しかしながら、そう捉えたとしても余計に作品の価値を見いだせなくなってしまうだけのような気がする。
なかなか作品の意図が見えなかったので、評価もしづらい。

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SH