博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったかのレビュー・感想・評価
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人類への警鐘
久々に鑑賞。人間の不完全さやエゴ、そこから人類は核戦争への突入を止められるか?までを強烈な風刺と笑えそうで笑えないコメディで描くキューブリック劇場。
『ジョニーが凱旋するとき』で騎兵隊を彷彿とさせる勇ましさ、なんらかの理由で狂ってしまった軍人、人類滅亡へのカウントダウン、元某国の技術者の勝手に動く右手、世界の運命を背負ってしまった自動販売機、馬乗りになり落ちていくカウボーイ…もう意味不明ながらもどんどんと作中に引き込まれていく。エンディングは静かでただただ美しい。
観終わって調べてみると狂ってしまった将軍役にスターリング・ヘイドン、本作の10年後にゴッド・ファーザーの悪徳警部役の方。確かにそうだと片膝を叩く。
更には本作は映画史に多大な影響を与えた事は間違いなく、直接他作に『博士の異常な愛情』と言う台詞が出る事もあり『アルマゲドン』でも強烈なインパクトのある場面があったな。
ちなみに、私のPCのデスクトップ背景は本作の会議場の場面だったりする。
核を持つ国に対し、 自国も核を持つことで、 お互いに核を牽制しあい...
核を持つ国に対し、
自国も核を持つことで、
お互いに核を牽制しあい、
核戦争が起こらないようにする仕組みはわかるが、
核に対する決定権を持つ人間が暴走した時が怖い。
現在のプーチンの暴走とは別に、
映画では、
共産国ではなく
民主主義の国が暴走するのが面白い。
(当然プーチンの暴走はあってはならない悪だ。
映画はプーチンとは別の娯楽として。
僕自身は共産主義より民主主義の方が優れていると思っているが、
民主主義も完ぺきではない。
格差社会への皮肉も見えるかもしれない)
スタンリー・キューブリック監督は戦争反対をコミカルに、
政治家たちに対する皮肉を込めて
作ったのかなと感じたが、
真面目一本の監督だと思っていたが、
監督の笑いのセンスも見れて良かった。
ミサイルと一緒に落ちながら
叫び狂っている人の演出おもしろかったし、
最後の爆破につぐ爆発の演出のシュールさ、
博士が掲げる少子化対策の演説など、
現代社会の問題に通じる内容でした。
当然戦争はない方が良い。
どうか現実の世界で核戦争が起こりませんように。
初めて触れたキューブリック
10代の頃、VHSをわざわざ購入した作品だった。どこで買ったかは忘れてしまったが、とても思い入れの強い映画です。U-NEXTで観かえしてみて、ピーターセラーズが三役もやってるのがいまだに信じられない!!!
僕たちは尋常でない時代を生きている。
この時代は、
人類の歴史上おそらく初めて人間という種の存在が疑わしいと感じ入ることになってしまった。
ほとんど同時に世界にわたって大多数の人間に破壊をもたらすほどの威力を持つ機械装置が存在しているのだ。
広島、長崎は間違いなくホロコーストだったわけで、誰もそれを口にしないだけだ。
人間の良心だけがこの機械装置に立ち向かえる。この映画は、実際にそうならなかったケースを描いている。
しかし、次の時はそうなるかもしれない・・・・・。
ユーモアあり、皮肉あり、いろいろ詰め込んだ映画。
個人的には銃撃シーンは見ごたえがあり、ずーっとみていたい。
将軍の大統領を前にしているのにもかかわらず、
感情さらけ出しまくっているところはおもしろい。
アメリカ大統領とソ連の首相の電話のシーンもおもしろおかしい。
けど、これがもし本当に起こったら、とても笑えない。
軍人も一般人も見た目ではわからない、
腹の中ではどんな思想をもっているかなんて知りようもない。
この映画を笑ってみられる時代が続けばいいなーと個人的な感想
核のボタン
子供って、
バスの降車ボタンや エレベーターのボタンを押すのが大好きなのだが
水爆のボタンを押そうとする大人たちの背中のスイッチをマジ、OFFらなきゃダメなんだよ。
チャップリンは第二次大戦の真っ最中に(!)あの「殺人狂時代」を世に叩きつけた。
ピーター・セラーズは、東西冷戦の一触即発=「キューバ危機」に乗せてこれを嗤った。
いまウクライナに攻め入っているプーチン大統領も、そして世界中の核保有国首脳らも、自らの愚かしさをこの映画で直視して欲しい。
恥じ入って欲しい。
とても面白い.抑止力として開発を進めていた核兵器が人間だったり機会...
とても面白い.抑止力として開発を進めていた核兵器が人間だったり機会だったりの誤作動で先制攻撃に使われるという逆説は昔から取り上げられてきたものだけれど,それをこれだけリアリティのある形にまとめたこともそうだし,それ以上に登場人物の臭みがすごすぎてとても面白かった.印象に残ったというか吹き出してしまったのは,米露の直通電話での政治と社交の入り混じった妙な会話だったり,公衆電話のためにコークの自販機を打つときの訴訟の話だったり,アメリカの文化を皮肉っているところが最高だった.タイトルに出ている博士は意外と登場の機会は少なくて,そして結構無茶苦茶なことを言っている.軍の長官も結構ゆがんだ利害関係を表現していたけれど,それと同じくらい問題解決にしか興味がないとああいった感じになるんだろうか.その問題解決の主張も,緩やかに権力者の利害を織り込んでいて,科学者の悪いところが絶妙に詰め込まれていたのもよかった.ソヴィエトの領事は最期のシーンで懐中時計のダイヤルを回していたけれど,あれがなんだったのかは結局よくわからない.そしてエンドロールの原子爆弾の炸裂の動画は,それが大量破壊兵器であるという倫理的な問題を抜きにすれば,とても素晴らしいものだった.
【米ソ冷戦時代に、キューブリックが核戦争が如何に容易に起こりうるかをシニカルブラックな視点で描いた恐ろしき映画。リアルな描写が説得力を大いに高めている作品でもある。】
ー 時は冷戦の真っ只中。アメリカの戦略空軍基地司令官で、反共産思想に犯されたリッパー将軍が、大統領ら主要幹部に無断でソ連への水爆投下を命じる。
だがソ連が保有する核の自爆装置は、水爆を受けると10カ月以内に世界を滅亡させると判明。
アメリカ大統領を筆頭とした首脳陣は危機回避の努力を続けるが、一機だけがソ連領域に侵入し、水爆は投下されてしまう…。ー
・核のボタンは、アメリカ大統領にしか押す権利はないはずだが、今作ではR作戦と言う、敵に攻撃された時には、下級司令官でも核戦争が起こせることを、シニカルブラックな視点で描いている。
・ピーター・セラーズは三役(リッパー将軍付きの核戦争を止めるために奔走する英国大佐、大統領、どこかオカシイ、実は核戦争を望んでいるのではないかというドイツ人のストレンジラヴ博士)を演じているが、特に車椅子に乗っている、ドイツ人のストレンジラヴ博士の姿、発言は強烈である。
ー 核戦争が起こる前に地下に空間を作り、男1人に女性10人を宛がう・・。-
<核による人類絶滅という物騒な題材を、キューブリックが核戦争が如何に容易に起こりうるかをシニカルブラックな視点で描いた恐ろしき映画。
地球終末時計による、地球滅亡時間が残り2分から100秒を切った現在、笑って観ることは出来ない恐ろしき作品である。>
これはわかり易い世紀の傑作です
キューブ君だからどうせまた訳わかんないんだろうと敬遠しててやっと観たら、テーマも風刺も直球過ぎて、全くわかり易くて驚きです。
冗談と皮肉のじゅうたん爆撃ですが、パットン将軍とクルーゾー警部のトチ狂った演技は圧倒的であっけにとられます。
キューブ君お得意の生活感ゼロの無機質な装置に、計算されたキッチリ構図、人をバカにしたジョニー帰還の行進曲、監督の上から目線と冗談に見せかけた底意地の悪さが完全に成功しました。 パチパチパチ
この作品以上の映画はできないと思える、笑えて背筋が凍る、最上級の風刺劇!!
人間の狂気、愚かさと機械化の危うさをこんな風にあぶりだすとは!
ん、でも今の国会・議員動静をみていると「風刺?現状?」と迷ってしまう。
こういう人々に私達の運命・未来を握られているのかと思うと、心の底からぞっとする。
でも選挙で当選させてしまっているのは私達なのだけれど(@_@;)。
冷戦時代を皮肉ったブラックコメディ。でも”冷戦時代”の話と言い切れるのか?
間違って発令された原爆投下指令。事態を阻止しようとする人々。
と書くと、多くのSF・スパイ映画で繰り返し取り上げられたストーリーなんだけど…。
この映画ほど、笑えてかつ不気味な映画はあるだろうか?
セラーズ氏やスコット氏の怪演に圧倒されてしまい途中から思考が停止する。
映画として見事。こだわりのキューブリック監督と聞くが、さもありなん。
台本だけを読めば本当にドタバタ喜劇。だけど、この場面の画をこういう構図にするか、こういう間(テンポ)や場面の切り替えで見せるか。ここにこのバックミュージックを入れるか。二重三重の懸け言葉的な構造をしつらえる(わざわざ「これはフィクションです」といれる反語的な誂え)。
空軍基地では、狂った命令が進行してんやわんやなはずなのに、それを阻止しようとする大佐の表情、あまり抑揚のない言いまわし。風貌はチャップリンの『独裁者』を想わせる。
迷走する会議室では、アクの濃いキャラが異常な発想を喚き散らす中、進行する最高指導者同士のなんじゃこりゃの会話。
作戦実行隊員たちの、懐疑的、困っちゃったなあという会話から、妙にハイテンションになっていく様。有名なロデオのシーン。
奇抜なんだけど、絶妙に挟まれるリアリティのある、隣のオジサン的な日常会話。
設定は奇抜だが「あるある感」満載の、役者はまじめにやっているのに笑いを誘うコント的な場面が続くが、役者の迫力が違う。そういうコント的な場面が続くのに、へたなスパイ映画よりもハラハラさせる展開。そしてバックミュージックのおかげで、時にその場面を妙に客観的に眺めさせられることによって、じわじわと拡がるすぐそこにある不安と焦り、恐怖。
映画の中だけでのバカ騒ぎに思えなくなってくる。他の似た題材の映画なら、映画館から出た時には「あれはしょせん映画の中の話」と収められるのに。
これらをすべて計算してやっているのだろう。なんという監督なんだ!。
邦題は、直訳すると微妙に違って誤訳とする向きもあるし、マッドサイエンティストは主役じゃないから変だという方もいらっしゃる。
けれど、映画を観終わって改めて邦題を読むと、シュールな映画のエッセンスを切り取った、これ以外にはない題だと思う。そう、なんだかんだいって原爆・水爆に関わることに異常な愛情を捧げている人々のドタバタ劇(そしてそれを危険視しながらもどこかで頼りにしてしまっている我々への皮肉)。
異常なのは博士だけ?将軍だけ?
映画の中で繰り広げられる茶番としたいけど、背筋が寒くなってくる…。
有名なラスト。「また逢いましょう」は甘くけだるく…。
ってタイトルほど博士絡んでこないよね?
全編白黒による核戦争の脅威を描いた映画
冒頭ではこんなことは起きないって米軍の注意書付き
一人の将校が気が狂い対ソ先制核攻撃に打って出る凶行を命令する
外部から止めるすべがなく攻撃に向かう爆撃機を止められない
米軍同士の戦争、米ソ相互の不信感、システムの欠陥、
システムに振り回されて無意味に死んでいく者たち、
それら障害を乗り越えられるかと思いきや
結局作戦を忠実に実行した人間によって人類の未来が閉ざされる
感情の存在しないシステムに対する不信感を感じる
ちょっとナチを感じさせる博士など今からすると時代錯誤だが
この映画が公開された頃は冷戦真っ只中だったし
ソビエトも当たり前のように敵対する勢力として描かれているのは当然なのかもしれない
しかし暗い時代を思い出させるような映画だったな
全くストーリーに影響なかったけど
爆撃機の機長がロディオでもするかのように
核弾頭と後下するシーンは観て笑ってしまった
どんなテンションなんだよwっていう
もう2度とこんな危険のある時代が戻ってこないことを祈ってます
キューブリック多彩だわぁ
米ソ冷戦をコミカルに描き、核の脅威を問題提起した作品なんだろうけど、テーマがテーマなだけにあまり楽しめなかったなぁ。キューブリック監督は大好き。「シャイニング」や「時計じかけのオレンジ」の方が分かりやすくて楽しかったかな。
スタンリーキューブリックの隠れた名作
空軍司令官が突如核攻撃の命令を独断で出したことによってとんでもない事態へと進んでいく話。
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この映画作られた時代ちょうど、アメリカとソ連が冷戦中で、お互い核兵器持ってるから手出すなよ!みたいな状況がずっと続いてた時。
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だからこの映画みたいな事がほんとに起きてたとしてもおかしくはないわけで、笑えるんだけど呑気に笑ってていいのかってちょっと怖くなる。
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後から知ったんだけど、おかしな妄想によって独断で核攻撃の司令を出した司令官と、兵器に詳しいおかしな博士同じ人が演じてる。
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どっちもクレイジーなんだけど、全く違う雰囲気で演技がとにかくすごいんよね。
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白黒だけど普通に見やすくて面白かった。
人類滅亡のスイッチを押すのは人間かロボットか
語り継がれる名作として何度か名前を聞いたことがあった「博士の異常な愛情」。ようやく鑑賞できました。
核兵器という人類史上最凶最悪の発明品を巡る様々な思想が織り成すブラックコメディ。敵の攻撃に報復として放たれた核攻撃が世界を滅ぼすかもしれない。人類滅亡のスイッチを押せる人間はいるのだろうか。
日本を代表するゲーム監督である小島秀夫氏も大いに影響を受けている今作、「メタルギアソリッド ピースウォーカー」というゲームのテーマがまさに「博士の異常な愛情」で描かれていた核の抑止力なのです。ゲームにおいてとあるキャラクターは「報復として核を撃てる人間はいない」という考えの元、それを証明するために様々な作戦を実行に移します。
この映画の公開の前年には米ソが核戦争になりかけた事件「キューバ危機」があり、アメリカが核の恐怖を味わいました。その恐怖も冷めないタイミングで公開されたセンセーショナルな今作。この作品が今日まで語り継がれる名作になったのは、このタイミングの良さもあると思います。
核の恐怖の中、人々はどのように行動するのか。極限状態での人間の心理もしっかり描かれていて、尚且つ「核兵器による抑止力」に対する問題提起にもなっていて、今の時代の人間が見ても面白い作品であったと思います。
オススメです!
やっぱり、コメディなんだよね?
自分にはあまりにも深刻なことを本当に間抜けにふざけて決めていて、それがコメディだと理解するのに時間がかかった。
この映画、難易度が高いのかさえも分からぬほど、難解である。如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか、まるで分らぬ。
キューブリックが天才なのは、分かった。
あの会議のシーン、シンゴジラ思い出した。てか全体的に似てるかな。
映画って何をもって評価するかって本当にわからない部分だけど、それでも時計じかけのオレンジ撮ってる人がこういう映画も作ってるって最高に面白いよね。
名作!
R攻撃・・プレイボーイ誌を読みながら飛んでいたB52のパイロット。攻撃目命令なんて受けたこともないのに、いきなりの核攻撃指令である。ソ連が攻撃を仕掛ける前に先手を打てという被害妄想によって、リッパー将軍の越権行為によって下された作戦。タージトン将軍は早速ペンタゴンに赴き作戦会議で発言する・・・
一方のリッパー将軍。核攻撃戦闘機を呼び戻す暗号を知っているのは彼だけなので、マンドレークが必死に聞き出そうとする。しかし、大統領側からもリッパーの基地を攻撃するよう指示があり、リッパーは死に混乱に陥り、暗号を解析したマンドレークが拉致される。電話線も切られてしまい公衆電話で大統領に電話をかけるところでは笑わせてくれる。なんとか暗号を伝えたものの、一機だけが連絡取れずに攻撃目標にまっしぐら・・・
マンドレーク大佐、大統領、ステレンジラブ博士の三役をこなすピーター・セラーズ。最後の博士が言う「地底生活」。ばかばかしいけど、その後の核戦争後を描いたSFでは必ず登場するんだから、この映画が残した功績は大きいのかもしれない。まぁ、その前に、ソ連大使がそれをも阻止しちゃうけど(笑)
過度のストレス下に置かれた人間の狂気が本当のテーマ
1962年のキューバ危機は核戦争一歩手前に行った
本当に核戦争が明日にも起こると覚悟した日が有ったのだ
死の恐怖への興奮が本作を産んだ
その興奮は狂気の形としてブラックユーモアの喜劇として形を成したのが本作だ
偶発核戦争の危険を具体的に告発するものではない
怖かった、忘れられない恐怖だったと
核戦争を巻き起こすのは狂気しかないはずだと
人類は狂気に巻き込まれることなく冷静になれとのメッセージ
それが本作だ
キューブリック監督は皮肉を効かせて見事にテーマを際立たせて見せてくれる
だが、そこまでの映画だ
非現実的な世界破壊兵器を持ち出して思考停止するのだ
つまり人間の狂気がテーマなのだ
偶発核戦争はそのための舞台にしか過ぎない
過度なストレスの末に狂気に至る物語として観るなら一級品の名作だろう
誰もが正しく、誰もが正気で、最高の知能で考え抜かれた仕組みであっても、それ故に逆に破滅への歯車を誰も止められない恐ろしさ
それをみたいのなら、シドニールメット監督の未知への飛行を観るべきだろう
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