「50年前の映画とは思えない。」2001年宇宙の旅 いなかひとさんの映画レビュー(感想・評価)
50年前の映画とは思えない。
1968年公開されたSF映画の金字塔。私が中学一年生の時、観たいと思った映画で、53年経って初めて全編映画館のスクリーンで見ました。中学生の時に見ていたら、特撮に感動するばかりで内容などは理解できないでしょう。65歳となって今、内容が理解できると思いました。
私はこの映画で言われいる地球外知的生命体は、神の存在を表していると感じました。キューブリックは人間の奢りを警告していると解釈しました。翌年にはアポロ13号が月面に着陸しています。その時の全世界のフィバーぶりを身を持って体験しています。科学の発達により、宇宙旅行も夢ではないと思いました。神ではない人間に完璧などありません。同様に人間が作った以上コンピューター(AI)が間違うはずもないなんて、人間の思いあがりです。HALは暴走を始め、乗組員を殺してゆきます。唯一生き残った木星探索船の宇宙飛行士は、ある人と対面します。それは年老いた自分とまた、死に際の自分です。時間を自由に超越しています。これは神しかできないと能力です。その前にいろいろな色に彩られたワープしている場面が現れます。これは臨死体験者が述べているトンネルを表現していると思いました。また、ここではビッグバンから宇宙が始まってことを暗示していると解釈しました。時間と空間を超越しているのは、神しかありません。地球外知的生命体が残した思われるモニュメントは記号や文字はありません。キリスト教の神は言葉によって語りかけるけど、文字ではないはずです。映画では磁気となっています。
冒頭、真っ暗なスクリーンに現代音楽が流れます。これは宇宙の音を流していると思います。それからR・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」が流れます。原作はF・ニーチェで「神は死んだ」と唱えた人のです。現代哲学の出発点となった人です。
とにかく、美術スタッフまた音楽や音の取り扱いに感心しました。凄い作品だなと感激です。一度は、大きいスクリーンで体験すべきです。この映画は1968年キネ旬の第三位です。一位はなんだったのだろう。