「半世紀経っても未だに最前衛、最先端」2001年宇宙の旅 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
半世紀経っても未だに最前衛、最先端
キューブリックの後継者を自認する、クリストファー・ノーラン監督によるレストア版をIMAXで、しかも日本一の映像を誇る109エキスポシティで観賞
キューブリック監督の意図したであろう映像表現に21世紀に生きる我々が一番近づける方法で観賞する事ができました
本作公開より50年も経つのに、全く古さがない
未だ最先端、最前衛の映像表現と音響体験でした
IMAXの大きなスクリーンに投影される映像のクオリティ、そして肉体が共振する程の音響の効果がフルに発揮され、本作の特別な体験に没入することができ、大きな満足感を得ることができました
本作を超える映画は半世紀経過してもなお、未だにないとの再確認となりました
本作の解釈は過去50年され尽くされたかと思いますが、それでもなお現代的であり、21世紀になってHAL実現に近づいて来た現代でこそ重要性を増して来たと言えるでしょう
自分なりの解釈としては、モノリスは知能を促進させて木星近傍にあるスターゲートに越させる為のもの
冒頭の真っ暗な中で音楽が鳴るところから映画は始まっており、地球の誕生、MGMのロゴで有機質の誕生、メインタイトルで生命体の誕生、ここまでは暗転毎に数十億年が経過する
その後アフリカの太古の平原のシーンとなり、そこからは暗転毎に数万年から十数万年経過する
数万年、十数万年経過しても見た目はほとんど変化がない
しかし良く見てみると類人猿達が次第に集団を形成し、家族の萌芽が見えたりしていく進化の過程が伺える
いつしか水溜まりという資源を巡り集団間で威嚇程度ながら闘争も起こる
そして、ここにモノリスが出現することにより知能が急激に加速され、類人猿の集団間の闘争が一気に武器を使用したものになる
そう、放り投げた骨が衛星軌道上の核攻撃衛星に変貌するのだ
暗転毎の数万年の区切りでみれば、あの類人猿の姿からそこまでは一瞬のことなのだ
そして月の地下に隠したモノリスを見つけ出せる知能を持ったならば木星に来るように促している
それ故に類人猿は骨を宇宙に向けて高く高く放り上げるのだ
そして、木星に辿り着く事が出来るのは、人類なのか、人工知能なのかの闘争が行われるのが後半の物語だ
つまり、どちらの存在がより高次の存在に進化できるのかをかけた闘争が行われる
その意味では類人猿の集団同士の生存闘争と何ら変わらない
故にインターミッションは、類人猿間の闘争から、人類と人工知能との闘争の段階に至ったとの区切りとしてそこに入れられているのだ
その闘争が必然であり不可避と気づいたのは人工知能側であり、人類はその闘争の意味すら理解できていなかった
しかし、その戦いに人類は勝利をおさめる
HALの論理回路は光素子による透明な平たい直方体ブロックなのだが、モノリスを連想する形態ではなかろうか?
ロココ調の豪華な部屋はボーマン船長かHALの記憶を漁った五つ星のホテルを模したものだろう
何故なら宇宙ステーション内のヒルトンのロビーのシーンを見せることで、白い床は宇宙のホテルの記号であることを印象付けようとしているからだ
そこでは最早時間が観測者による客観性を失い、到着したボーマン、孤独にその部屋で暮らすボーマン、独り死に行くボーマンがそれぞれが同時に存在する
その量子的ゆらぎの有り様を白い部屋で表現したものだろう
スターチャイルドは、より高次の知性体に進化した存在は我々にはそのようにしか表現ができない世界だからあの胎児の姿で表現されているのだ
故に昔から言われるようにディスカバリー号の形は精子を模しているのだ
では卵子はどこか?
それはスターゲートを分け行った奥の奥に有ったあの白い部屋だ
もちろん子宮の内部であることを示している
そう、だからスターゲートは二つに左右か上下に別れているのだ
そこに左右に分け入り突入して我々はその先のより高次の存在へと受精して進化を遂げるのを目撃するのだ
つまり生命の誕生からより高次の存在への進化の物語、それが本作のテーマなのだ
あるいは、稀有壮大な妊活物語とも言えようか
kazz さん
質問ありがとうございます
モノリスを作ったものは何者?
何が目的?
それがご質問の主旨かと拝察します
後悔なぞ一切ないと思います
ウイルスを培養して人為的に突然変異させて、なにか有用なことに役立てようとしていたとして
ウイルスに対して人間はなんの感情も持たないのと同じように
ウイルスもまたなぜそうされたのか、なぜ自分が生み出されたのか、なぜ突然変異したのか
何もわかりはしないのです
だって、相手は数万年どころか数十億年の単位てで生命自体を生み出し操作する存在なのですから
あき240さん、共感とコメントありがとうありがとうございます。
宇宙ステーションで ロシア人女性科学者が、夫は深海の探索中で長期間会っていないという話をします。
人類は、地球のことすら理解できていないのに宇宙に乗り出していることを示唆しています。
モノリスを見たフロイド博士が手を伸ばして触る場面は、猿人たちの行動とまったく同じです。
神ならぬ進化を司る者は、人類に知能を与えたことを悔いたのではないでしょうか。