時計じかけのオレンジのレビュー・感想・評価
全191件中、181~191件目を表示
超衝撃、超暴力!
間違いなく今まで見た映画の中で衝撃的な映画でした。この衝撃を超える映画はないかもしれないです。
キューブリックの作品といえば、ユーモアのあるセリフ回し、とても効果的な音楽の挿入の仕方などが印象的でよく挙げられますが、この『時計じかけのオレンジ』では、他のどの作品よりもユーモア抜群、とくに、音楽の使い方は印象的でした。
この作品の中でも、ベートーベンの交響曲第9番に代表に、名シーンと言われるかたりべで主人公アレックスが「雨に唄えば」を歌いながらタップ・ダンスを踊るレイプシーンはかなりキチガイで狂気的です。この狂気でキチガイじみたシーンはおおく、ほとんどの暴力シーンはコミカルで、どこか楽しげで、雰囲気は明るく、アップテンポな音楽が使われます。(アレックスのナンパ後のプレイシーンなど。)まるで、超暴力に浸るアレックスは罪という概念を持ち合わせていないかのようにもみえます。 それとは対照的に、暴力シーン以外ではどこか控えめな雰囲気や、おどろおどろしい表現が多くありました。特に、アレックスがとある治療を受けた後では特に顕著でした。どこにも居場所のない絶望感はいきなりの衝撃でした。
このような表現のせいか、作品全体からどこか皮肉るようなジョークのような雰囲気を感じました。
考えさせられることも多く、人間の罪と罰、人間の本性をキューブリックは描き出していると思います。
アレックスは、あの治療で本当に罪という概念を覚えたのか、今までの罪を反省したのか、治療後の拒絶反応で苦しむアレックスは、女性の胸を掴もうとして苦しんだし、殴ろうとして苦しんでいたし、やっぱり、罪という概念を覚えたわけではなく、ただ、苦しいのが嫌だから暴力をやめています。本当にこれは、罰になっているのだろうか?かつての仲間からの裏切り、妻を殺された作家のやり返しや大臣の身勝手な治療と政治利用。
ラストシーンはかなりショッキングで、フラッシュの中での握手、アレックスの表情の変化、戯れのシーン、はこの後の出来事を予感させます。極めつけは、あのセリフ。鳥肌がたちました。
とにかく、文書にして書き表すのはとても難しい作品です。絶対に一見の価値はあります!
意外と暴力は普通。
『衝撃的』『物議を醸す』
凶悪体現者という駒
人間は理性と本能をあわせもつ。
本能に興じる個々の人間がその本能を強制的に刈り取られたとき、残るものは善良たる理性なのか?
とてもスタイリッシュでユーモラスな作品。
映像への強烈なこだわりを持つキューブリックだからこそ、ここまで描ききれたのだろうと思う。
画面の構図、配置、色合い…端から端まで隙がなく世界観をつくっている。
CGなぞない時代だからこそ、多角的に物事をとらえ練りに練って架空を構築できるのであろう。
主人公のアレックス自身がナレーターとなり物語を進める。
そこが主人公の持つ自由さ、身勝手さ、高慢さを観客に植え付けるのだが、実際は社会の1ピースとして社会という力に利用されているに過ぎない。
社会は(どれだけ汚れていても)正義でありモラルであり理性の象徴である。
一見傍若無人に暴れまわる本能、それを利用し飼いならし続ける物静かな理性。
この映画にはそんな皮肉が込められている気がします。
個人的なウィークポイントは、早回しのエロシーン。
ゆっくりでよかったのに。
あとは時代背景の説明不足かも。
作品自体もそうだし、奇抜なだけに見る側もこの時代の人々はこう感じていたんだろうなみたいなものが感じ取りにくく、現代の若者としては若干伝わりにくい部分があった気がします。
暴力は終わらない
まったくすごい映画に出会ってしまったと思う。
狂っている。
この映画の中での人物のキャラクターも、建物も、服装も、とにかく異様で最初は困惑した。特にアレックス含む4人組の服装は印象的。主人公のアレックスは、暴力とセックスとベートーベンを愛する15歳の少年。ホントに15歳か?彼の表情は常に狂気じみており、理性がない、悪魔のようで、挑発的で官能的だ。頭から離れない。また最高に魅力的。何をするにも手加減なく非情、爽快なまでの暴力の嵐。ともかく、雨に唄えば、を歌いながらのレイプシーンの破壊力が凄まじかった。この音楽だけでなく、第9や不気味なBGMも印象的で映画をますます狂気的にしている。
悪魔のような、彼が刑務所にブチ込まれてから、話が違う意味で面白くなってくる。もともとアレックスはかしこく、うまい具合に気に入られ瞬く間に世間に逆戻り。自分の中の悪魔を隠して一つ返事でコロコロ転がされるアレックスが滑稽だ。
そんな彼を見てると、以前、アレックスの暴力の下に隠れていた、誰の心にも存在する悪魔が次々顔を出してくるのがわかる。アレックスをルドヴィコ療法の実験台にしようとする連中、結局息子を見捨てた両親、昔の仲間達は今も昔も変わらず暴力の中に生きアレックスを痛めつけ、政治家は巧みに彼を操って政治のエサにし、アレックスの悪事を思い出した被害者たちは悪魔になる。
ルドヴィコ療法によって暴力行為に無防備となったアレックスは、こんなにもか、というほど痛めつけられ、大好きだった第9を聞きながら死を選ぶ。
そして、なんとも驚くべきことに、幾多もの暴力がアレックスの心の中に閉じ込められていた悪魔を呼び戻してしまう。看護師はそれを、平常だと言うのだ。なんということだろう、悪が肯定されてしまった。最後に彼は以前のように笑う。
暴力の中で暴力が生まれる。
被害者などおらず、正義なんてものはない。
狂わしいこの世界の中で、暴力は終わらない。
この映画に感銘を受けた人々は大勢いる。私もそうだし、完全に引き込まれてしまった。
どうだろう、
みんな、人間にはアレックスみたいな欲が渦巻いているんじゃないだろうか。
なんて思うと、ますますおぞましい映画だと感じる。
レビューじゃ伝えきれない…
2010/10/06 12:30 見始めたら… なんて、、 オパーィなんだ! オパーィ、そこにもオパーィ! 目まぐるしい程のオパーィに造語?ばかりでいまいち理解できないまま見進めていくと不思議とその世界にはまっていました。 早送り*スロー… 独特の言葉に音楽… 部屋などの小物一つ一つ… みなみチャン的な服来てたおばチャン宅にあった巨大チソーポの置物が一番欲しかったね(笑) 彼ゎ果たしてあの目ん玉飛び出そうな診療法で果たして公正したのか?ラストの不適な笑み、、 私が産まれるより随分前の映画ですが、それを感じさせなぃ!やはり名作ゎ名作だと思う。 最初から最後まで展開の読めない物語。 意味が分からない。それで終わってしまってゎ勿体ない! 好き嫌いハッキリ別れそうな映画ですが、私ゎ好きだったかな。 心に残った言葉はもちろん…インアウト!!ヒャハハ〜♥
キューブリックが暴き出す人間の野生的本能
暴力、セックス、モラル、理性、自由放任や全体主義といった社会的構造、あらゆる人間的で不偏の主題に対して強烈に風刺を効かせた傑作。
キューブリックの卓越した映像感覚で紡ぎ出される世の終わりのような退廃した世界は観るものに衝撃を与え、その不偏的世界観と現実世界との同一性を訴える。
また、リアルな暴力描写だがスタイリッシュに描くことで観客に暴力とモラルの一面的客観視を赦さない。
そして、彼は人間の心に存在する非人道的"超暴力"の本能を見逃さない。
言い換えれば、アレックスは全ての人間に存在する野生的本能の体現者であり、人間のモラルと言う欺瞞を暴く"超人間的存在"である。
台詞、音楽、そして大胆さと繊細さを兼ね備えた映像美、映画史に残る一作であることは言うまでもない。
<Z>指定確実。
めくるめく暴力世界
全191件中、181~191件目を表示