劇場公開日:1962年1月1日
解説・あらすじ
名作「用心棒」の続編ともいえる作品で、前作では桑畑を名乗った三十郎が椿三十郎として活躍。キャラクターとしてはより人間味が増し、ユーモアと知略を駆使し、上役の不正を暴こうと立ち上がった9人の若侍をその凄腕で助けていく。加山雄三をはじめとした血気にはやる若侍たちをうまく制御し、敵方の用心棒仲代達矢と知恵比べをしつつ、有名なラストの決闘シーンへと物語は導かれていく。
1962年製作/96分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1962年1月1日
劇場公開日:1962年1月1日
名作「用心棒」の続編ともいえる作品で、前作では桑畑を名乗った三十郎が椿三十郎として活躍。キャラクターとしてはより人間味が増し、ユーモアと知略を駆使し、上役の不正を暴こうと立ち上がった9人の若侍をその凄腕で助けていく。加山雄三をはじめとした血気にはやる若侍たちをうまく制御し、敵方の用心棒仲代達矢と知恵比べをしつつ、有名なラストの決闘シーンへと物語は導かれていく。
1962年製作/96分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1962年1月1日
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2018年3月6日『椿三十郎』は『用心棒』の続編的な位置づけにあるが、その思想構造はまったく異なる。前作が無法地帯における“力”の再配分を描いたのに対し、本作はすでに確立された秩序、その内部に巣食う腐敗と無思慮を描き出す。舞台は明確に1962年、安保闘争後の戦後日本を反映しており、黒澤作品としては例外的に、露骨に時事と政治を射程に入れた寓話的作品である。
若侍たちの「理想」は、60年代の学生運動に重なる。正義感に燃え、行動に走るが、現実の複雑さを見誤り、結果として多くの犠牲を招く。一方で敵対勢力の室戸(仲代達矢)は、力と策略による冷徹なリアリズムで支配を目論む。
その両者の間にふらりと現れるのが三十郎である。彼は暴力と倫理のはざまで揺れる“問い”そのものだ。『用心棒』では無秩序の外から力をもって秩序をもたらす「完全なアウトサイダー」だったが、今作の三十郎は体制内部に一時的に関わりながらも、決して内部に取り込まれることはない。
彼は教育者として若侍たちを導きながらも、同時に自らの暴力に嫌悪し、「斬りすぎだな」と呟く。彼が「答え」になりえないことを誰よりもよく知っているのだ。もし彼が体制に留まれば、いずれ自らも腐敗する。そのため、彼は去るしかない。「異物」であり続けるために。彼は常に構造の外から介入する存在=問いとしてのヒーローなのだ。
そして、本作でもっとも注目すべきは、“城代”の描き方である。彼の顔が最後まで見せられない構成は、まるでサスペンスのようだ。そしてその素顔がついに明かされる瞬間、観客は「えっ、こんな人物が?」という驚きを覚えるだろう。しかし、この「地味な中年男性」こそが黒澤が示した「統治者の理想像」なのである。
その顔立ちは当時の総理・岸信介を彷彿とさせる。おそらく意図的な造形である。若侍(理想主義者)でもなく、室戸(冷徹な現実主義者)でもない。倫理と知略を併せ持ち、感情を抑え、覚悟ある沈黙と無私の統治感覚で秩序を保つ──その姿には、力ではなく姿勢で国を導く「静かなリーダー像」が映し出されている。
『用心棒』がカオスに秩序をもたらす“力の映画”だったのに対し、『椿三十郎』は、秩序の中に潜む腐敗に対し、倫理と戦略で切り込む“問いの映画”である。黒澤はここで、日本人が忘れた思想──儒教、孫子の兵法、仏教、武士道、神道──を再提示している。
そして最後の一騎打ちは、ただのアクションではない。
三十郎と室戸の斬り合いには武士道の美学が流れている。「納得して死ぬこと」それは、日本人の倫理観の核心である。
いま、日本に必要なのは、果たして三十郎か、それとも城代か?
日本人が忘れたもの。
それでも、必要としているもの。
それが、ここにはそれが描かれている。
4K UHD Blu-ray (クラリテリオン版)で鑑賞
95点
人権が尊重された類まれな作品。
椿三十郎と言えばどうしてもJAWSのクイント船長とダブってしまい、両者とも勇ましく、豪快で頼もしく信念があり、その堂々とした様に見入ってしまいます。
唯一の違いは扱い方でありまして、クイント船長は無残にぼろ雑巾の様に亡くなります。
之は欧米人には死に対しての哀れみが日本人程無い点にあるのだと思います。一方、地位もない椿三十郎に対して人間としての尊厳を認めてくれる周りの人々の気高さに心底心打たれます。
此の作品は間違いなく史上最高の映画であり、他に類を見ない至極の名作であり、全ての登場人物が見事でして、それぞれの個性を映画史上類を見ないレベルで生き生きと描いております。
又、白い椿が流れる様の美しさは人間の本来あるべき永遠の感動と同時に儚さの象徴でもあります。
三十郎の捨て台詞「あばよ!」には感極まって泣いてしまいました。
椿三十郎
2007年椿三十郎(1962)
1962年用心棒
1961年