菊豆(チュイトウ)

劇場公開日:2024年12月27日

解説・あらすじ

監督デビュー作「紅いコーリャン」でベルリン国際映画祭の金熊賞を受賞し、一躍注目を集めたチャン・イーモウが、「紅いコーリャン」同様に中国の農村を舞台に、ひとりの女性のたどる運命や愛、情念を色彩豊かに描いたメロドラマ。

1920年代の中国。染物屋の楊金山(ヤン・チンシャン)に金で買われて嫁いできた菊豆(チュイトウ)は、子どもが作れない金山が鬱憤を晴らすように虐待して死んだ前妻2人同様に、毎日のように彼から折檻を受けていた。金山の甥であり同居している楊天青(ヤン・ティエンチン)はそんな菊豆に同情し、彼女に思いを寄せる。それを知った菊豆は、やがて彼と不倫関係に落ちる。天青の子を身ごもった菊豆は、生まれた息子に天白(ティエンパイ)と名付け、金山の子として育てていく。そしてある時、脳卒中で倒れて身体が不自由になった金山に、菊豆は復讐するかのように、天白が金山の子でないことを打ち明ける。

日中合作で、製作総指揮に徳間康快。主人公・菊豆役は「紅いコーリャン」のコン・リー。第43回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。第63回アカデミー外国語映画賞ノミネート。2024年12月、「張芸諜 チャン・イーモウ 艶やかなる紅の世界」と題した特集上映にて、HDレストア版でリバイバル公開。

1990年製作/94分/中国・日本合作
原題または英題:菊豆 Ju Dou
配給:AMGエンタテインメント
劇場公開日:2024年12月27日

その他の公開日:1990年4月28日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第63回 アカデミー賞(1991年)

ノミネート

外国語映画賞  
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(C)1990, China Film Co-Production Corporation, Xi'an Film Studio, All rights reserved

映画レビュー

4.0 幸福を求める人間は勝手で愚かなのか、問う。

2025年9月21日
PCから投稿

金で妻を買う老人
老人の妻である女
染物工房で働く男の甥
そして生まれた子

小さな村と工房
狭い空間の物語

暴力と性と憎しみ
愛は意外な方向へ
受け継ぐ本性
始まりにも
終わりにも
幸福感は無い。

俯瞰で映される家の瓦
見上げた布色の素朴さ
憎しみとは無縁の風景

あの子は父から何を受け継いだのか。

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星組

3.0 百年前、🇨🇳、男尊女卑、奴隷制

2025年7月6日
iPhoneアプリから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
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りか

3.5 封建的因襲に押し潰されていく男女

2025年5月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

斬新

チャン・イーモウ監督が『ハイジャック 台湾海峡緊急指令』に続いて、『紅いコーリャン』では助監督を務めていたヤン・フォンリャン(楊鳳良)と共同監督した中日合作映画(今は無き東光徳間が出資に参加している)。

初公開時に観たが、封建的な因襲に押し潰されていく男女を描いた、とにかく陰々滅々とした気の滅入るような映画で、陽性の爆発力にあふれていた『紅いコーリャン』に比べるとかなり落ちる出来だと感じた。それは今観直しても変わらない。チャン・イーモウによると『紅いコーリャン』は中国の理想を描いたのに対して、本作は中国の現実を描いた映画とのこと。

ただ『紅いコーリャン』では構成要素の一部という印象だったコン・リーの存在感がぐっと前面に出てきたのは印象的で、そういう意味ではコン・リーを初めて「女優」として認識した作品だった。ただ、それはそれとして今になって観直すと主人公はむしろリー・パオティエン(李保田)のほうで、コン・リーはトップクレジットながらヒロイン役という印象。李保田は確かコン・リーの中央戯劇学院時代の担当教官だったんじゃなかったかな。

また原作では農家だった舞台を映像的に映えるために染物屋に変更し、また実際には存在しない大型染色道具が創造されているとのこと。このあたりはいかにもチャン・イーモウ。さらに『紅いコーリャン』に続き、当時の中国ではギリギリのエロティシズム描写も試みられている(日本人から見ればずいぶんおとなしいもんだが)。しかしと言うべきか、それゆえにと言うべきか、中国国内で賛否両論の大論争となった『紅いコーリャン』に続いて、本作はとうとう国内上映禁止になってしまったらしい。

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バラージ

3.0 禁断の恋と子供の心境

2025年5月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

驚く

既前妻を2人いたぶり殺し、新たに購入した(とセリフでは…)配偶者と血の繋がらない弟の恋路の話
僕も弟の立場だったらサッド感で助けていたと思うが、あの美貌を考えると恋するかもと思いながら拝見
今はいくら中国🇨🇳でもないやろ〜と思う反面、この時代の中国女性の人権はなかったんだナと悲しくなった
村社会を考えさせられる作品

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ろくさん