大日本人のレビュー・感想・評価
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一縷の望みを賭けた結果…
北野武という例もあるんだし、もしかしたら…と一縷の望みに賭けて鑑賞。結果は清々しいくらいの大スカだった。
モキュメンタリーという手法も社会との折り合いに葛藤するヒーローという題材も、調理次第でいかようにもうまく仕上げられそうなものだが、本作には特段の目新しさはない。「次第に傲慢になるドキュメンタリー作家」とか「ヒーローを冷笑する大衆」とかいったよくあるステレオタイプを水平方向に押し広げるためだけにそれらの手法や題材を借りてきただけなんじゃないかと思う。
松本人志の醍醐味ともいえる気まずい間と、そこからくるシュールなコメディは、確かに瞬間的には笑える部分もあるのだけれど、その場限りのコントとして一瞬で蒸発してしまうものがほとんどだ。しかも後半になるとそうしたシュールさを場面転換の契機に用いようという意図があまりにも明け透けに前景化してくる。2時間のコントというよりは、それぞれが連関しない無数のコントが2時間ぶん、といった趣。コント一つ一つの面白い面白くない論争は差し控えるとして、映画としてはまったく面白くない。いっそ開き直って何編かの断章からなるオムニバス映画にでもしてくれればまだマシだったと思う。
あとはイメージの運用が絶望的に下手だった。たとえば冒頭、大佐藤の自宅でのインタビューシーン。大佐藤がふえちゃうワカメを食べながら「これいいんですよね、好きなときだけ大きくなって」的なことを言うのだが、「大日本人」という責務を背負う大佐藤の悲哀を表す暗喩としてはあまりにも軽率だし、感傷的すぎる。都庁前で二匹の獣が公然猥褻に及ぶ際に、ティッシュの画像が映し出され工場のピストン音が鳴り響くというのもかなり酷い。だったら二匹の公然猥褻を大佐藤が横から見ながら「アカンな〜」みたいな渋い顔を浮かべているさまをロングショットで捉えたほうがまだ面白い。
最後くらい突拍子もないオチをつけてくれるかと思いきや、これまた安易な『旧劇エヴァ』的メタ演出。アメリカからやってきたとみられるウルトラマンらしきニューヒーローが『ウルトラ6兄弟vs怪獣軍団』のごとき多勢に無勢の集団リンチで獣を圧倒する。大日本人では手も足も出なかった強敵が、彼らにかかってはまるで犬畜生のごとくいたぶられている。
もはや「大日本人」なる旧弊な自衛システムでは国家を守りきれない(&自衛隊も役に立たない)となれば、その空隙にアメリカが鉤括弧付きの「正義」を掲げて侵入してくることは当然の成り行きなのかもしれない…などと無理やり国政にこじつけてみたところで、そんなのは半世紀前に江藤淳が『成熟と喪失』で散々書き散らした戦後日本論の焼き増しに過ぎない、と言われてしまえば返す言葉もない。ただ下手に政治に走りすぎず、最後までシュールコメディ的な調子を貫徹したことは偉い。
エンドロールの茶番劇は松本人志という芸能人の性質を如実に表しているといっていい。円卓を囲むアメリカ・ウルトラマンの家族。まるで本編の中じゃ俺は映画的制約に抑制されてたんだと言わんばかりのキレと活発さで会話劇が展開される。そしてそこでは誰もが関西弁を喋っている。映画を作ってみようと思い立ち、あの手この手で変なことをやろうとしてみても、結局最後にはお笑い=吉本興行=関西弁に回帰してしまう、という松本の根本的な「関西お笑い芸人」性がここには色濃く滲出している。
彼が映画監督を廃業してしまったのは、もちろん興行的な理由もあるのだろうけど、それ以上に彼自身の根本的な性質が絶望的に映画監督に向いていなかったからなんじゃないかと邪推する。
期待値が大きすぎた
松本人志の作品は全て観ました。
これでわかったんです、世の中はあらゆる運によって成功するか否かが変わるんだと。
松本人志はお笑いで成功しました。
私はそのことを「松本人志ただ一人の才能のおかげだ」と思ってた時期もありました。
本人もそう思ってたんじゃないかしら?
でも違うんだなって年を重ねるごとに気づいたんです。
あらゆる運が重なって松本人志が大きなビジネスに繋がるように周りの協力もあったんだなって思います。
それはお笑いに関してはです。
松本人志のワードセンスは素晴らしいです。
でもそれはお笑いに関してはです。
それを面白がって出会った相方、放送作家、TV製作者などによって大きくなったんです。
金メダルを取ることができる競技者もしかりです。
本人が凄いのではなく、周りの環境のおかげが大きく占めてるんですよ。
本人もそらある程度は凄いんでしょうけど、もっと凄くてポテンシャルの高い人は世の中にゴロゴロいると思います。
ただ、それが世間に出てないだけ、ビジネスになってないだけだと思います。
閑話休題、つまり何が言いたいかって言うと、松本人志はたまたま運良くお笑いで成功した。
でもたまたま運悪く映画のセンスはなかったって話ですよ。
笑いが分かると言う文化
好きなのだが。物足りないのは二点。
DVD108円ゲットシリーズ。兼、シリーズ駄作を見よう。 駄作の名...
緊張→緩和の笑い構造が二重三重に見られる
どうしてこうなった…
一言で言うとつまらないです。
ギャグ映画としてもメッセージ映画としても…
松ちゃんは好きです。ごっつのコントは面白かったです。最近NHKでやってたMHKとかいうコントはつまらなかったです。
一周まわっちゃったんだろうな松ちゃん…
松ちゃんはインタビューでこの映画の酷評に対してわからん奴が多いとか言ってましたが
エンターテイメント性(ただ派手とか設定が奇抜とかじゃない)がないと客はわかろうとしてくれません。見てくれません。
最後の方にアメリカのヒーローみたいのがでてきた時、主人公の反応がザ日本人なんですが、これはいくら体が大きくても日本人は小日本人という痛烈な皮肉ですね。
しかし面白くなきゃどんなメッセージがあろうが自己満足です。
映像作品でも撮ればいいんです。
わからん奴が多いなんていうのはクリエイターとして最低ですよ。
クソ映画10選の一角
あの独特な世界観たまらないw
松本映画では初めて見たのは「しんぼる」でした。
まあまあ面白かったけど、断然「大日本人」が面白かったです(´ω`)
ドキュメントの様な構成でどーでもいいぼけたインタビュアーにツッコミの様な松っちゃんの対応。また、松っちゃん以外のあのとぎまぎとしたむずがゆくなるような回答(警備員は最高でしたw)
そして、ビジュアルがなんともいえないなんか見た事のある顔の獣とあっさり終わるアクション。最後のシーンは度肝を抜きましたwまた、特撮もわざとなのかだいぶcheapで、ハリウッド映画ばかり見てきた僕にとって新鮮な感じがして面白かったです。
⚠️ここからは実写でご覧下さい
この注意書きがいきなり書かれてたので、え!?と思っちゃいました。これから何が始まるのだ?と期待しましたが、まあ、期待を違う意味で良い方に裏切られました笑素晴らしいV(^_^)V
色んなメッセージがあの映画に秘められていてなかなか凝った作品だなと思いました。だから、世界に認められたのかと納得できました。
たまにはこういう映画を観たかった!
皆さんも…
"是非"
着眼点は面白い
松本人志の映画監督第一作目。
いわゆる変身巨大ヒーローの実態を、擬似ドキュメンタリー方式で追ったブラック・コメディ。
“獣”と呼ばれる巨大生物?怪獣?と戦い日本を守ってるのに、その存在自体叩かれまくっている“大日本人”こと大佐藤。
確かに、ウルトラマンが実際に存在したらドエラい迷惑。怪獣と一緒になって街を壊してるようなものだし。
(ちなみに、空から飛んできたウルトラマンが着地したら、その街は大地震で壊滅するという)
私生活も妻や娘には嫌われ、獣が現れないと哀愁漂うニート状態。
ヒーローは本当はつらいよ。
無神経な取材クルー、冷たいメディアや世論。
これは松本人志自身の不満や疑問だろう。
ラストは突然、チープな特撮の実写になり、呆然。
映画として面白いかと聞かれると即答しかねるが、着眼点は面白い。
おもしろかった。すっきりしました。
最近、あまりおもしろくない映画ばかり見ていたので、ストレスが溜まっていました。
でも、これは面白かった、すっきりしました。
この映画、マイケルムーアの映画みたいな、ドキュメンタリータッチで、取材している人がいるんですが、そのテーマが大日本人の松本さんの日常みたいな設定になってます。
ちょうど、インタビューしている人がツッコミで、松本さんがボケみたいな感じになっていて、けっこう笑えます。
いかにも小市民的な松本さんなのに、実は職業は正義のヒーローみたいなバカバカしさも楽しいです。
戦うところも、ほんとバカバカしくて笑えました。
そして、ドキュメンタリータッチを出す為に、有名な俳優さんは使わず、素人みたいな人ばかり出てきますが、みんな表情がすごくよく、無責任な発言ばかりして、これもけっこう笑わしてくれます。
いかにも関西系の笑いというか、タケシさんのように、完璧に作り込んだ、文章で読んでもおかしいようなギャグではなく、間の取り方や、言葉のおもしろさで笑わすんですが、それがドキュメンタリータッチになっているところで、映画的笑いになっていました。
最後は、我慢しきれなくなったのか、完璧にTVのバラエティー番組になっていたのが残念ですが、笑えたのでよいでしょう。
タケシさんのように、完璧に作り込んだ物ではないので、映画センスがあるかどうかはわかりませんが、私はおもしろかったので、どんどんこういうの作ってもらいたいです。
つまらない
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