劇場公開日 2007年6月2日

大日本人 : 映画評論・批評

2007年5月29日更新

2007年6月2日より東劇ほかにてロードショー

これまでの松本人志の集大成

映画を観て驚いた。ひた隠しにされていた中身より、豪華スタッフに、だ。日本一多忙なカメラマン・山本英夫(「フラガール」)に、照明・小野晃(「ゆれる」)、そして音楽にはテイ・トウワだけでなく、クライマックス曲で押井守作品でお馴染みの川井憲次まで携わっている。松ちゃん、いや、松本人志監督の映画に掛ける本気度が伝わってくるようだ。中身も、一見、高圧電力で体を巨大化させた「大佐藤さん」(松本)が、“獣”たちと戦うふざけた内容だが、テーマは真っ当。松本監督の著書を一読した者ならより深く理解出来ると思うが、ヒーロー視していたはずの大佐藤を、今やすっかりないがしろにする日本人の飽きっぽさや、テレビ番組が大佐藤に密着しているという構成をとり、土足で他人の生活を覗き込む傲慢さなど、皮肉があちこちに散りばめられている。つまりこれは、少年時代の夢を叶えた怪獣映画+「ごっつええ感じ」ノリのギャグ+著書や雑誌連載で繰り返し述べてきた日本社会への不満と、これまでの松本監督の活動の集大成ではないだろうか?

もっとも本人の、本来の目的は「映画を壊したい」だったようだが、技術、物語、構成など、どれも斬新さをあまり感じなかった。北野武監督が映画の方程式を壊してきたように、松本監督のその意気込みに期待したいところである。

(中山治美)

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