劇場公開日 2007年4月20日

ロッキー・ザ・ファイナル : 特集

2007年4月19日更新

「ロッキー・ザ・ファイナル」男泣きのツボ

★ オープニング、ビル・コンティ作曲「ロッキー」のテーマに拳を突き上げろ!

前作「ロッキー5/最後のドラマ」から16年。あの懐かしいビル・コンティ作曲の「ロッキー」の名メロディが聴こえてくる。♪パンパーパパパンパーパパパパーン♪その軽快なホーンの音とともにスクリーンにデカデカと登場するのは「ROCKY BALBOA」(原題)のタイトルの文字だ(シリーズ全作同様、右から左へスキャンするのがうれしい)。不思議な高揚感に身を委ねることができる。

おなじみのジャージ姿で懸垂
おなじみのジャージ姿で懸垂

タイトルの後は、前作のエンディングのリフレインがこれまでのパターンだったが、前作「5」からあまりに時間が経ち過ぎたためか、今度のクライマックスの相手となる“秒殺”メイソン・ディクソンのあまりの強さがファイトシーンとともに示される。それとは対称的に、われらがロッキーは、フィラデルフィアの小さなアパートで、朝ゆっくりとベッドから起き上がる。ベッドサイドにはエイドリアン(タリア・シャイア)の遺影があり、水槽の2匹のカメ、“カフ”と“リンク”に、窓辺の小鳥にエサをやる毎日。思えば「1」で、エイドリアンが勤めるペットショップで、彼女の勤務初日に買ったのがカメ2匹だった。それから庭に出て、鉄棒で懸垂を繰り返すロッキー。「1」と同じ霜降りグレーのジャージ姿なのがうれしい。

★ 亡きエイドリアンとの思い出に生きるロッキーの哀愁に涙、涙!

かつての栄光もいまや…。哀愁漂うロッキー
かつての栄光もいまや…。哀愁漂うロッキー

毎日、ロッキーは愛妻エイドリアンが眠る墓地を訪れ、お墓の前で静かに読書する。彼女の命日(墓石には彫られているのは2002年1月22日)ともなれば、彼女の兄で、精肉工場で働く親友ポーリー(バート・ヤング)とともに、数々の思い出の場所を訪れるのだ。2人で最初に住んだタスカラム通り1818番地(ロッキーは、足して9になる数字を験担ぎで好む)の小さなアパートや、「1」で初デートをしたアイススケート場跡を訪れる。2人が訪れた時、感謝祭のため早じまいをしており、従業員に無理を言って10分10ドル払い“貸し切り”で借りたのだった(撮影資金がなく、エキストラを呼べなかったため空っぽのリンクで撮影した)。「2」で雪の中、エイドリアンに結婚を申し込む動物園のトラの檻の前などもロマンティックな場所だが、今回は登場していない。

また、ロッキーが営業しているイタリア料理店の名前もまた、亡き妻を偲んで「エイドリアン」。壁には「3」のエンディングにも使われたファイトシーンを描いた壁画が飾っている。メキシコ人シェフが腕をふるうため、親友ポーリーは味に文句を言っているが、来た客にロッキーが、トレイナーのミッキー(バージェス・メレディス)やライバルのアポロ・クリード(カール・ウェザース)との思い出話を話してくれるとあって評判だ。またいつも風変わりな男スパイダー(元ボクサーのペドロ・ラベル)が店に出入りしている。この男、「1」の冒頭でロッキーがKO勝ちした相手である。

★ 情けない若者に喝を入れる、大人なロッキーの態度を見習え

「1」でわずかに登場した少女マリーが再登場
「1」でわずかに登場した少女マリーが再登場

ロッキーは、今でも昔のボクシングジムの近くの角のバーにたまに立ち寄ってビールを飲む。そこで、シングルマザーのウェイトレス、マリー(ジェラルディン・ヒューズ)と出会うが、彼女は「1」で、タバコを吸って不良とたむろしていた12歳の少女だったという設定になっている。当時はロッキーもヤクザの借金取り立てをするチンピラだったが、彼女に不良とのつき合いをやめるように説教。彼女のその時の返事は「このバカ野郎!」だった。今回、そのバーで若者たちに「酒をおごって!」としつこく迫られるが、マリーとのことをバカにされると迫力満点で詰め寄り、「謝れ」と一喝する。ひとりの少女が最後に、マリー同様に悪態をつくのがおかしい。

また大きすぎる父の存在に苦悩し、何かとグチをこぼす自分の息子ロバート“ロッキーJr.”(マイロ・ビンティミリア)にも、「自分の勝ちを信じるなら、パンチを恐れるな。他人を指さして自分の弱さをそいつのせいにするな。それは卑怯者がすることだ!」と一喝している。ちなみに、「5」でロッキーJr.を演じたのは、スタローンの実の息子セイジ・スタローンが演じていたが、今回は別の映画の現場にスタッフとして参加していて出演できなかった。

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