戦場のメリークリスマスのレビュー・感想・評価
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もう二度と(映画館で)見られないと聞いたので。
今年40本目(合計693本目/今月(2023年2月度)6本目)。
どうも版権上の問題があるようで(よほどの事情があるのでない限り)映画館で見られるのはこれが最後(4Kリマスター版も含め)というところです。
当時の日本軍(第二次世界大戦)に関することなど、やや日本史よりの知識を要求してくる部分はありますが、中学歴史で習う範囲かな…と思います。
問題は4Kリマスター版だということで、それは画像がきれいになったことを意味しますが、音声についてはそのままなので、何を言いたいかわからない部分がいくつかあります(5日時点では、一般版「戦場のメリークリスマス」はプライム会員なら無料で見られますので、どうしてもわからない部分はそこで補うしかない)。
この当時の日本と外国の文化の違い、交流の在り方という点が含まれているのは良かったです。
ややBL(ボーイズラブ)的な要素があるかな、とは思いましたが、この当時の事情から男性「しか」原則として戦場にはいなかったというのはこれも事実で、ここは「極端にわたる範囲でない限り」、史実としてもそれはある程度推知できることであり、そこは減点なしかな…という気がします。
アマゾンプライム会員さんであれば一般版(4Kリマスター版でないもの)は見ることができるので、あうあわないの判断には使えますので参考にどうぞ。
やや若干気になった点もあったものの、極端に引くことも難しいので、減点なしにしています(上述通り、版権上の関係で「最後の上映ですよ」ということで見に行けたことの満足感のほうが大きい)。
私が生まれる前の映画、初めて見たけど最高でした。
2023年の再上映で軽い気持ちで見てみたところ今まで見た映画で一番好きな作品になりました。
ハマりすぎて映画館で2回、サブスクでも何度も見ました。
湿度の高い南国のまるで世の中から切り離されたような異様な場所は一つの国のようでそこでしか成り立たない秩序がある。そこいる人たちはみんな育った環境も受けてきた教育も理念も立場も全然違う。でもみんな人間。一人一人の人間。
映像、音楽、ストーリー、キャラクター、キャスト全てが最高で奇跡のような映画だと思います。映像の美しさ、色彩の使い方がたまらなく好きで、Merry Christmas Mr.Lawrenceの文字の出し方がかっこよすぎる。音楽の使い方も斬新で刺さるし独特なセットも素晴らしい、衣装もとても好きです。キャストも他はありえないハマり役ばかり。何をとっても最高です。
「この映画、よくわからない」って感想が多くて正直びっくりしました。でも、じゃあ自分が完全にわかってるのかと聞かれたらわかってないとは思います。ただ、人の感情は矛盾を孕んでいて白黒はっきりしてないと思うのでこれが正しい、間違ってるって話ではなくて、登場人物の気持ちを考えた時にいろんなことを思うその全てが正解なんだと思ってます。実際私も見るたびにいろんな視点や考えが出てきます。それが面白いです。そして苦しいです。大好きです。
外されている、常に外されているという鑑賞。 俯瞰的な観点がない。支...
稀有な傑作を観る最後のチャンスなのか
理解はできないが、今もなお新鮮な映画体験
疑いなく傑作!
この作品にかぎらないが
鑑賞側に解釈を委ねる今どきでは作れない映画
ヨノイの台詞に字幕を
初めて観ました。
高校生の頃に観た「御法度」も刺激的だったのだけど、自分が一歳の時に、もう世界観と言うかキャラの構図は出来上がってたのかと驚きました。
大島渚って凄いなと!
どなたかのレビューで低俗なBLとして見るなと
描かれてましたが、
やはりそれはBLに対する嫌悪から来るイメージで、
充分にBLだと僕は思いました。
昨今の盛り上がってるBLをすでに40年前にやってた
と言う先見の明、それが僕にはすごい事に見えました。
BLをどう捉えるかにもよるしBLの中にも様々な
ジャンルがあると思うのだけど、
男が男に惚れる。それがBLだと思うので、
2人の中に流れる空気。
ヨノイのウブな童貞感。
妖艶なボウイ。
BLとして素晴らしいと思いました。
ただテーマは反戦だと思うので、
そちらの観点から観ると何やってんだ?と言う感じは
ありました。
坂本龍一の日本語はほぼほぼ聞き取れず、
日本語にも字幕を付けて欲しかった。
あと1か月で2022年のクリスマスです。
メリークリスマス、ミスターローレンス。
ホモは知的なんだよ。
タイトルは大島渚監督のお言葉。(ボキャブラ天国より)
氏は遺作でも衆道を取り扱っておられましたが、肉体的、精神的な恋愛や性愛というよりは
性を超越した、人間愛的な域まで達しておられたような気がしますね。以上、タイトル回収。
さて、、
なんと気高く、混沌として、美しいシナリオと、美しい画と、美しい音楽と、美しい俳優が、
月光のブルーライトの下に集ったのであろう。
最高の映画作品ですね。
東洋と西洋、肉体と精神、罪と罰、生と死、愛と憎、正気と狂気、正常と異常、天使と悪魔、神と仏、仏と鬼、神と神、人と人、文化と文化、
様々な形で、対になる価値観の境界線がゆらぎ、感情が飛び越えようとするのを、理性が押しとどめようとする。
そして抑制しきれず、暴発し、溢れる。
伝い、零れる。
土と砂が、それを受け止める。
極限状態の閉じたコミュニティは、まるで小さな日本であるし、
誰を誰になぞらえるかで、意味も見え方も大きく変わってくる。
しかし変わらないのは、誰もが罪がないにも関わらず、裁かれる罪人であるということ。
それは人間に原罪があるからなのか。
彼らはなにを信じ、なにと戦い、なにに踊らされ、なにに裏切られ、なにに裁かれるのか。
かつてこの国を支配していた偽りの神と
この世界と人間をつくった創造神がいて、
(その神は時間と空間を渡る際に、仏と呼ばれたりもしたけれど、)
神の子である人間たちの
その戦争責任も含め、この物語は、様々な「?」を投げかけてくる。
われら、人間とはなにか。なんなのか。
これこそが、この映画のテーマに他ならない。
極限状態であぶりだされる、人間そのものの姿。
人間と人間は混じりあい、わかりあい、許しあうことができるのか。
誰もが正しく、誰もが間違っている。
敗戦した世界線で生きている、現代の我々の価値観からすれば、間違ったことも
戦勝した世界線では、正しいのかもしれないし
まして、世界の両端からやってきた、異なる種族の異なる価値観同士だもの、
互いを正しく理解することは不可能だし、
また、間違ったすれ違いでも、きっとなにかを伝達してくれる。
愛という言葉の概念すら(ましてや同性愛である)、文化によって違うこの世界において
彼が与えたキスと、彼が受けたキスですら、その意味は違っていた はずなのに、
国も人種も価値観も文化も飛び越えて、彼らはわかりあい、混ざり合うことができた。
正しさなんてなくて、誰もが同じだけ間違っている、同等の存在なのだから、
勘違いでも、夢でも、幻想でも構わない。思い込みで構わない。
それぞれの神がいて、それぞれの正義があって、それぞれの正しさを信仰して、生きてゆくしかない。
人を愛し、手をつなごう。酒を飲み、歌を歌い、花を手向け、罪を償い、魂を弔い、神の生誕を祝おう。
そして、人間らしく、死んでゆこう。
その死の瞬間までに、「救い」に辿り着けたなら、なんと幸せなことだろう。
この映画のあらゆる欠片に、少しでも美しさを感じたのなら、きっと、あなたも人間なのでしょう。
大島監督は何を伝えたかったのか
ミスター・ローレンス
ジャワの日本軍捕虜収容所での話で、キャスティングがすべて、と言ってもいい程みんなハマっている。
所長の大尉が坂本龍一、伍長がビートたけし、英軍捕虜がデビッド・ボウイなど、素晴らしい演技を見せる。
坂本龍一の音楽も名曲で、大島渚の代表作の一本となった。
大島渚だったら“南京大虐殺”をどう撮ったか?
某軍事大国の隣国軍事侵攻問題もあり、
支配と裁きの状況逆転や、
相互理解や寛容性にも触れた
この録画ビデオを取り出して改めての鑑賞。
それにしても、何度観ても、
デビッド・ボウイのキスシーンと
たけしの顔がアップの
ラストシーンには泣かされる。
原作では、ヨノイ大尉は懲役7年の刑の後、
4年後に特赦になり存命だったりと
幾つかの違いがあるが、
映画らしくエンターテイメント作品として
上手な脚本化と優れた演出力で
見事にまとめあげられていると感じる。
今回の鑑賞で改めて認識出来たのは、
セリアズ少佐が確信を持って
ヨノイ大尉の心のバリヤーを
解くことが出来るとあの行為を行ったこと。
そして、ローレンス中佐が
どんな観点で粗暴なハラ軍曹の心底に
人としての純朴な素養を見出して
あのラストシーンに繋がっているかが、
より理解出来たような気がした。
ところで、大和魂を否定して、
あたかもキリスト教精神社会の優位性を
描いたようなこの映画を
民族意識の高い方々はどう受け止めたのか、
上映阻止の動きは聞いていなかったような。
作品そのものの完成度がそんな声も
封じていたのだろうか。
それだけに今回改めてこの作品を観て、
異なる国家感、民族意識、信仰心を
交えてもエンターテイメント化出来る
大島渚だったら、
日本では途轍もなく高いハードルで、
多分に永遠のタブーとして
捉えられていると想像出来る
邦画としての“南京大虐殺”テーマ作品を、
抵抗する勢力も排して
唯一彼だけが演出出来たのではないか、
結果、どんな視点での“南京大虐殺”映画が
完成していただろうかと想像すると
叶うことの無い現在を残念に思えた。
セリフが聞きづらい(笑)、
TAKESHI凄え
最初から最後までハラ軍曹が持っていっていました、あの笑顔が凄く良いんですよね
坂本龍一さん演じるヨノイ大尉のあどけなく未熟ながらも上に立たなくてはいけない若者の葛藤もあったり
この人が音楽も手がけているなんて信じられないなと思いながら映画を見ていました。
デビッドボウイのカリスマ性もありで奇跡のような作品でした。
戦争映画はとても好きだけど、私の好きなシンドラーのリストに少し似たものを感じました。具体的にどこが似ているのか、他と違うのかを良い表せないのが少し残念です。もっと映画を見続けて自分の感じていることを少しずつ理解できるようになっていきたいです。
たけしの役柄がいかにも単純で熱血な日本人!って感じがして良い。怖...
メリークリスマス、ミスターロレンス。
多分、映画以上に主題歌が非常に有名な作品。劇中のメインキャラクターであるヨノイを演じた坂本龍一が、本作のために書き下ろした楽曲です。『メリークリスマス ミスターローレンス』というタイトルは知らなくても、誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
完全に余談ですが、この主題歌は個人的に非常に思い入れのある曲です。私は大学時代に未経験者ながらピアノサークルに入会しており、この主題歌は冬の演奏会では必ず演奏されていた曲でした。そのためこの曲を毎年聴いていて、私も頑張って弾けるようにと初心者ながら頑張って練習した曲の一つです。
主題歌は数えきれないほど聴いていたのに、そういえば実際の映画は鑑賞したことがない。それどころかどんなストーリーなのかも全く知らない。これは本末転倒です。由々しき事態です。
秋田県大館市にある映画館「御成座」で4K修復版が上映されると知り、クリスマス翌日12月26日に鑑賞です。
結論ですが、非常に楽しめました。日本軍の俘虜収容所での、日本軍とアメリカ人俘虜という立場の違う者たちの間で生まれたる奇妙な絆。当時の日本軍による俘虜収容所での凄惨な虐待をありありと描きつつも、彼らの間に生まれる仄かな友情を垣間見ることができる。本当に素晴らしい作品でした。内容を知らずに観たので途中で同性愛的な描写が出てきたのは面食らいましたが、それもまた本作の素晴らしい部分だと感じました。
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第二次世界大戦中、ジャワ島にある日本の俘虜収容所に、日本軍の輸送隊を襲撃したアメリカの陸軍少佐ジャック・セリアズ(デヴィッド・ボウイ)が収容された。セリアズは同じく俘虜であったジョン・ロレンス(トム・コンティ)と旧知の中であり、収容所で再会を果たした。収容所は粗暴な軍曹のハラ(ビートたけし)とその上司である陸軍大尉のヨノイ(坂本龍一)が仕切っていたが、セリアズの行動によって、俘虜と看守たちの間に奇妙な絆が生まれ始める。
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映画自体が間違いなく面白いんですが、映画の裏話を調べると更に面白いです。
劇中でメインキャラクターとして登場するキャストたちですが、ほとんどが当初予定されていたのキャスティングとは違うそうです。
ビートたけし演じるハラも、坂本龍一演じるヨノイも、デヴィッド・ボウイ演じるセリアズも、トム・コンティ演じるロレンスも。当初は他の役者がキャスティングされる予定でした。
しかしながら、スケジュールの都合や映画の内容(同性愛描写)が問題になってキャスティングが変更になり、本作のキャスティングになったそうです。
特にハラはビートたけしさん以外の人が演じるのが想像できないくらい、「ビートたけし=ハラ」っていうイメージが頭にこびりついてしまいましたね。当初は緒形拳や勝新太郎にハラ役のオファーがされてたらしいですけど、もしもこの役を彼らが演じていたら間違いなく、本作のイメージは全く別のものになっていたと思います。
ビートたけしさんは後のインタビューで本作への出演をきっかけに「映画監督をやりたい」と思うようになったと語っており、今や「世界の北野」と呼ばれるまでに映画に愛された北野武監督の根源ともいえる作品です。本作が無ければ、北野武監督の名作も生まれてなかったかもしれないんです。
また、ヨノイ役も別の俳優さんが候補に挙がっていましたが、候補の俳優さんが全員スケジュールの都合でNGだったため坂本龍一さんに白羽の矢が立ったとのこと。更に「役者として出演するから映画主題歌も作らせてほしい」と坂本さんからの申し出があったことで、本作の主題歌『Merry Christmas , Mr.Lawrence』が作曲されました。つまり、坂本龍一が俳優としてキャスティングされていなければ、この名作映画も名曲主題歌も生まれていたなかったんです。
これを奇跡と言わず何と言うんでしょうか。間違いなく、本作は歴史を変えた作品です。
結果論かもしれませんが、このキャスティングで正解だったのかもしれませんね。今となっては他のキャストが演じているのは想像すらできません。それくらい、全員ハマり役だったと感じました。
唯一気になった点と言えば、昔の映画でよくあるんですが、台詞の一部が聞き取りづらかったところでしょうか。音質の悪さもありますし、演じているのが本職俳優でないからか台詞が早口で発音がはっきりしてなくて聞き取りづらい。後半になるにつれて耳が慣れてきて聞き取れるようになりましたが、最近の映画に耳が慣れ過ぎてしまっている私は気になってしまいました。
まぁ、些細な不満点なんて気にならないくらい素晴らしい映画でした。ラストシーンで「メリークリスマス!メリークリスマス、ミスターローレンス。」と言うビートたけしさんの顔のアップが頭から離れないです。オススメです!!
懺悔
ハラキリ
日本人による作品にあって、過剰といってよいほどのオリエンタルな形式美や精神論を盛り込み、秩序を作り護ろうとする大尉の弱さ、遊離した不安や不信が際立つ。人としての幅を見せ、捕虜を赦したハラに実は救われ、他方、不安に駆られる。ハグされて後ろにのけぞり、髪を頂き、国に持ち帰って納めようとする姿に、気負うことに殉じた当時の若者への同情も感じる。本来あるべき日本人としての心をラストのタケシのアップに含ませる。
ハグした側が少しよく分からないところである。大尉にかつての自分か弟が重なる要素でもあれば、大尉に心を通わすのも理解できるが、英国での逸話は少しずれているように思える。
主題歌はこれまで色々とアコースティックなアレンジで慣らされてきたせいか、今聴いてみるとこんなにシンセが入っていたんだと驚いた。劇中の効果音にも機械的な音が入っていたが、この辺りは80年代なんだろう。
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