素晴らしき哉、人生!のレビュー・感想・評価
全66件中、1~20件目を表示
何度観ても泣ける自信がある名作
今から約80年前の作品。
カリグラフィーで記された紙が、一枚ずつめくられていくオープニングクレジット。もうそれだけで心を奪われる。
ニューヨーク州ベッドフォールズという小さな町に住むジョージ・ベイリーは、苦労して学費を稼ぎ、やっと大学に進もうとしていた。そんな折に父が倒れる。彼は、住宅金融の会社を継いで、ずっとこの町で過ごしていくことになる。
優しく正義感が強いので、友達には恵まれるが、溺れそうな弟を助けて左耳の聴力を失ったり、バイトしていた薬屋さんのミスを事前に止めたのに殴られたりと、小さな頃から割にツイてないジョージ。
それは大人になっても同様で、ジョージを快く思わないポッターの策略にはまり、自分には関係ないトラブルによって穴の空いた8,000ドルを、自分の生命保険で当てるしかないところまで追い込まれるのだが…という話。
彼を助けるために、天から遣わされたのは、2級天使で、クラレンスという名の小太りおじさん。
そのクラレンスの目線で、観客も一緒にジョージの半生を振り返る前半と、クラレンスがジョージの前に姿を見せて、自殺を止めてからの後半。
どちらもそれぞれに面白いが、あとは観てのお楽しみということで、内容に触れるのはここまで。
公開当時は、あまりヒットしなかったようだが、1970年代からは、毎年クリスマスになるとテレビ放映されてきた作品らしい。
自分も、何度観ても泣ける自信がある。
本当に名作だと思う。
ところで、今作は、放送大学の「231オーディトリアム」を録画視聴。
宮本陽一郎教授のコメントが最初と最後に入ったのだが、それがとてもよかった。
宮本教授は、コメントの中で「その感動がどのような力によって生み出されたのか。それを考えてみることは、ある国、ある時代の文化を知るための大切な窓となる」と語られていたが、その言葉にとても納得した。
映画の背景となっているその国のその時代の文化はもちろんのこと、その作品を観て感動している自分は、どの部分に感動しているのか考え直してみると、今の日本の文化的な状況との重なりで、見えてくるものが色々あると思ったのだ。(今作から何が見えてきたかは、個人的なことなので、ここでは触れない)
宮本教授が語られた、本作がつくられた1946年の背景と、監督のフランク・キャプラ監督のことは、なるほどと思ったので、少し書き残しておきたい。
まずアメリカは、第二次世界大戦中、女性の社会進出が経済を支えていたということ。それが、戦後になって1600万人の兵士が帰還することになり、彼女たちの仕事は、そっくり彼らに引き渡さないといけない状況になった。
そうしたことが、スムーズに行われるようにするためには、「文化の力を借りる必要があった」というのが宮本教授の話。
戦時中は、女性が腕まくりをして力こぶを握る「We can do it」というポスターが貼られて、国力を落とさないために、女性の社会進出が図られたが、戦後すぐにつくられた今作では、ヒロインは、家庭に入って子どもを育てる「良妻賢母」として描かれ、政府が望ましいと考える姿を描き出しているというのだ。
そんな今作の監督であるフランク・キャプラは、6歳の頃アメリカに移住してきたイタリア系移民だったとのこと。そんな出自もあってか、大戦中は、政府の求める戦意高揚映画の製作に取り組み、中尉まで出世して、アメリカンドリームを体現させてきたらしい。
政府から直接頼まれた訳ではないにしろ、キャプラのそういう時代の空気に敏感な部分が、民衆の心をつかむのかもしれない。
何気なく見える設定にも、そんな背景があるんだということに触れて振り返った本作は、より一層感慨深いものになった。
世界中で一番観られてる映画はこれかも知れない。(裏はとっては無い)...
世界中で一番観られてる映画はこれかも知れない。(裏はとっては無い)
世界興行収入ではなくて、つまり鑑賞された回数の事で TV視聴数、再生数、リピート数の合計は『素晴らしき哉、人生!』じゃないだろうか。
初鑑賞だった。130分と以外と長尺。
もちろん良い作品だが時代を感じさせる。
アメリカでは不朽の名作として毎年末にTV放映されることから評価が上がり、クリスマスにこの映画が流れるのは定番となり、アメリカで最も親しまれた作品としてよく知られる映画。
そしてアメリカではどの大学の映画学科でも、この映画を必ず見せて、学生の指針としているらしい。
なのにアメリカでは凶悪犯罪が止まらない。
※1946年当時は興行的には惨敗。第19回のアカデミー賞では作品賞を含めた5部門にノミネートされたが無冠に終わった。
※2003年のAFI選定「ヒーローと悪役ベスト100」ではジョージ・ベイリーがヒーローの9位に、ポッターが悪役の6位にランクイン。
2008年のAFI選定「10ジャンルのトップ10」ではファンタジー部門3位にランクイン。
2014年のアメリカの大手映画批評サイトRotten Tomatoesが発表した「2014年版クリスマス映画ベスト25」には第1位にランクイン。
リン リン リン☆【バラの映画】
クリスマス。絶望したジョージは自分の存在を消してしまおうと、橋に向かうと…。
ジェームズ・スチュワート主演、フランク・キャプラ監督。
観るべき映画リストの常連、1946年の作品です。
もしも世界が・・・だったら…?!
というストーリーは、結構ノッて観れました。
見習い天使さん、そうくるか!いいキャラです。
ジョージが優しいだけじゃなくて、けっこうな頑固者で、茶目っ気もあって。
人間らしいのが、魅力的です。
わかってても、ラスト、ちょっと泣いちゃったかも。
❀ ✿ ❀ ✿ ❀ ✿ ❀ ✿ ❀ ✿ ❀ ✿ ❀ ✿
〜バラポイント〜
一輪のバラが、ジョージとかわいい末娘を繋ぐ大事な物となっています。
モノクロ作品だけど、末娘ちゃんの可愛らしさから、勝手に明るい赤色をイメージしてました。
【バラの映画】
2015年、広島県福山市の市政100年の際、映画館を中心に集まった有志で、市花に因み小冊子〚バラの映画100選〛を編みました。
皆でバラに注目して観まくり、探しました。楽しい時間でした。
若い方から「ゴジラ対ビオランテ」が紹介され大拍手!
2025年、世界バラ会議に因んで、私選のバラ映画10を紹介します(一部レビュー加筆)。
アフリカの女王/アンタッチャブル/エド・ウッド/ゴーン・ガール/素晴らしき哉、人生!/ダ・ヴィンチ・コード/Dolls/プリティ・ウーマン/めぐりあう時間たち/めまい
語り継がれる不朽の名作を初見 が、あまり作品の魅力を感じられなかった
ちょっと気分が晴れないな〜という時に観る映画
年明けムービーは未来に希望が持てるようなそんな気持ちにしてくれる映画がいいな〜と思い、評価の高いこの映画をチョイス。
とある出来事がきっかけで自殺をしようと決意する主人公、そこに天使が現れて…
いいことをしていると自分に返ってくるよというメッセージもじーんときた。自分が存在していることには意味があり、自分なしでは存在し得ないこともある。確かにそれはあるかもしれん。人生、嫌で嫌で仕方がないという精神状態の時に観るのはあまりよくないけど(そんな綺麗事すぎるやろ!誰が助けてくれんねん!とか思ってしまいそう)、なんとなーくここ最近落ち込むことが多いな〜とかそんな時に観ると元気になれる映画やと思う。
主人公が追い詰められて周りのものにブチギレているシーンが…今の仕事を思い出してしまい、この生意気なク○女だのお前は馬○だの暴言を吐いてくる人たちにもこんな背景があるんかな?と思いつつ…ただこっちやってサンドバッグちゃうねんとモヤモヤした気持ちになった😅笑 このシーンでこの映画の評価はちょっと下がったかな?主人公、ええことしてるかもしれへんけど、追い詰められるとめっちゃ感情的になる最悪なやつやんと…
キリスト教的、アメリカ的、ハリウッド的
主人公ジョージ:聖ゲオルギオス ドラゴンを退治し異教徒の村を救い、またディオクレティアヌス帝による大迫害により殉教した聖人。
ジョージの妻メアリー:マリア様
2級天使クラレンス
→「天使にラブソングを…」のシスター・メアリー・クラレンスの由来か。邦題に“天使”とあるし。
酒屋の主人ニック:聖ニコラウス サンタ・クロース(英語セント・ニコラウスのオランダ語読み)のモデルとなった聖人。
店名マティーニ:聖マルティヌス 自分のマントを物乞いに与えた“マントの伝説”の聖人。
→ニックの店でマティーニを飲んだ後、天使クラレンスが遣わされる。
薬局のガウワーさん、銀行家の意地悪なポッターさん、「トム・ソーヤの冒険」など、他にも色々意味があるのだろうけどざっと見て理解できたのはこれくらいだな~(・・;)
夢も絶望も奇跡もこの映画の中にある。
バックボーンはアメリカの寄付社会・共助の精神?
<映画のことば>
一人の人生は大勢の人生に影響を与える。
その者が欠ければ、すべてが変わる。
わかったかね?
君の人生は素晴らしい。
それを捨てようなど、大きな間違いだ。
もちろん、評論子も住んだことがないので、その雰囲気はわからないのですけれども。
しかし、時あたかも「寛容の季節」のクリスマス。
孤立無援のジョージは、アメリカ社会が内包している共助(寄付精神)に救われたということで「人生だって、捨てたものではない」といったところでしょうか。
「One for all、all for One」(一人は皆のために、皆は一人のために)というのは、本来はラグビーのプレー精神を表すことばと聞き及びますけれども。
いずれにしても、本作のバックボーンには、「寄付社会」「共助社会」としてのアメリカがあることには、多言を要しないと思います。
そして、父子二代にわたってジョージが経営していた住宅融資組合というのは、日本になぞらえて言えば、「無尽」の仕組みらしいですね。
「無尽とは、一定の口数と給付金額を定めて加入者を集め、加入者が積み立てた定期的な掛金に基づき、抽選ないし入札などにより、順番に給付を受ける仕組みのこと」(日本無尽株式会社のHPから:三菱UFJ銀行のグループ会社?)
関東地方では無尽あるいは無尽講、関西地方では頼母子講(たのもしこう)あるいは単に頼母子と呼ばれることが多いようです(Wikipedia)。
そうであれば、本来はまったくの他人同士人たちが構成する相互扶助の組織という感じのようですね。
本作でも、相互扶助という、アメリカの国民性を暗喩するアイテムなのだろうと思いました。評論子は。
本作は、評論子が参加しているデスカフェで、2017年版が話題になったので、その鑑賞の前提として、まず本作を鑑賞することにしたものでした。
2017年版は未観ですけれども。
聞いた評では、同作は、また本作とは違った視点から描かれているようです。
1954年という製作年次をも併せ考えると、本作も、なかなかの良作ではあったと思います。
(追記)
聞くところでは、アメリカ国民の年間寄付額は、日本人30倍ともいわれ、彼我には格段の差があるようです。
それでも、日本にも(ささやかながら?)寄付の精神が根づいていることを、忘れてはいけないと思います。
「報恩仕法」という考え方のうちの「推譲」というのがそれで、江戸時代の篤農家・二宮尊徳が広げた考え方と聞きます。
[至誠]誠を尽くすという心の持ち方
[勤労]「至誠」を行動で表した状態
[分度]己の分を知り、贅沢を慎む(分に従って度を立てる=自己の財力に応じて予算を立て、合理的な生活設計を行う)
[推譲]至誠、勤労、分度に努めた結果として残った余剰を他に譲る。
別作品『飛んで埼玉』になぞらえて言えば、これは「神奈川県民」のバックボーンとも聞き及びますけれども。
そういう心がけは素敵だと、改めて思い起こさせてもらえた一本でもありました。評論子には。
<映画のことば>
友ある者は、幸せである。
キャプラ監督とジェームズ・スチュアートの名タッグによる言わずと知れ...
人生を捨てちゃいかん
意外とつまらなかった
I wanna live again
毎年クリスマス前には観ることと決めている。若かりし日の初見時は、明るいハッピーエンドが印象に残ったが、それだけ。中盤の描写が少し冗長に思えたのもあるが、それ以上に、後半の深い絶望や資本に絡め取られた世界の闇の濃さを理解できなかったからであろう。三度目くらいからこの映画全体に通底する愛情の深さに触れることができ感動を覚えるようになった。今では冒頭の祈りのシーンから涙無しに見れない。
それまでも名作を数多く生み出してきたフランク・キャプラ渾身の深い人間愛とその信頼が作品を通して一貫している。誠実で善良な主人公ハリー・ベイリー(ジェームズ・スチュアート)の「もう一度生きたいんだ(I wanna live again)」は、映画屈指の名台詞であるどころか、凡ゆる、挫折に苦しみ絶望を歩んでいる人々の心に響き渡る、最高の言葉でる。そして家族と友こそは最大の財産である。身近な人々皆を大切にして生きていきたい、この映画を観た全ての人間にそう思ってもらいたいと思うような、古き良きハリウッド映画最高峰の作品である。
映画で泣いた。
フランク・キャプラ監督の魔法‼️
全66件中、1~20件目を表示









