素晴らしき哉、人生!のレビュー・感想・評価
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ディケンズの「クリスマス・キャロル」を逆にしたような話
総合70点 ( ストーリー:70点|キャスト:70点|演出:65点|ビジュアル:55点|音楽:60点 )
この作品を観て、チャールズ・ディケンズの小説「クリスマス・キャロル」を思い出した。その中では強欲な爺さんが亡霊に会って自分の人生を振り返り、幸せの意味を考える。だけどこの映画では、善良な男が天使に会って自分の不幸な人生を振り返り、実は幸せがあったことを見つけ出す。そんな文学的な物語性を感じた。
反対に劇中に登場する強欲爺さんのポッターには何も訪れることはなく強欲のままだ。だがもしジョージが生まれていなければ町はポッターに支配されていた。ジョージがやはり生まれたことになって帰ってきたからといって、ポッターはそのままで、問題が解決してめでたしめでたしというわけではない。だがやはりジョージが帰ってきたことで、これからも彼は大成功はしなくても幸せが傍らにあり、町の人々の支持を得ながらみんなのため町のために貢献していってくれるのだろうという希望も見えた。
名作と呼ばれるのにはそれなりの理由があるものです
1946年アメリカ映画。130分。アメリカ映画の父、フランク・キャプラ監督の代表作中の代表作でございます。全米映画協会(AFI)によると、本作は数あるアメリカ映画の中で20位(ちなみに「スミス都へ行く」は26位)となっております。 内容は、夢を追おうとするごとに不慮の人生の出来事が起こり諦め続けてきた男の物語。彼は他界した父の後を継いで不動産会社の社長になるが、たえず強欲な町の権力者にいじめつづけられる。そんな彼は中年になったときにいよいよ絶望の淵に立たされクリスマスに自殺しようとするが、そこに天使が現れる。こんな按配でございます。 映画が始まってすぐに宇宙での天使たちの会話シーンがあるところなんかは、当時の映画からすればきっと荒唐無稽きわまりない描写だったと思います。そうやってあり得ない話を展開させていくのですが、それでも観ている者にとっては結構切実にうつる「ありえない話」なものになっているのです。 本作を観ると、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズをはじめとする多くのアメリカ映画が、この作品の影響をすごく受けているのが分かります。ジェームス・スチュワートのどじな演技はかなりの必見。 1946年製作という時代背景を考えても、本作はなんとも粋なメッセージ性を持った作品だったと想像します。語り継がれる作品というのは、それでいて時代の枠を超える力がある。そんなお手本(というのはおこがましいが)のような作品だと思いました。 クリスマスにぴったりの作品です。
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