劇場公開日 2001年11月3日

「🎦メメントと📺ビーチボーイリバーサイド(アニメオンエア版)を一緒にすることは間違いです(笑)」メメント mark108helloさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5🎦メメントと📺ビーチボーイリバーサイド(アニメオンエア版)を一緒にすることは間違いです(笑)

2025年3月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

難しい

15年振りの再見。この作品の難解さはその構成の難解さもさることながら(参照解説サイト①)、実はそれだけだと完全に説明できない点がいくつも指摘されてしまうと言う難点がある(参照解説サイト②)。結果サイト②であるようにこれを全て辻褄合わせるには、レナートの妄想だった説に至りがちになる。

①【映画掘り下げ】「メメント」の超難解な謎解きをすっきりさせる地図を描いてみました。(参照解説サイト①)

②映画『メメント』解説&考察 ※ネタバレ有り(参照解説サイト②)

ただこれは、ノーランの立ち位置を非常に誤らせる事にになるので、指摘をしておく必要があるのであるが、ノーランの作品制作の根底にあるのは1900年代初頭の哲学思想である実証主義、ケンブリッジ派などと呼ばれるラッセル、ホワイトヘッド、ウィトゲンシュタインなどの哲学潮流に影響を受けたマッハやアインシュタイン、ボーア、そしてのちのオッペンハイマーなどに通じる思想的背景がある事を知っておく必要がある。
ご承知のようにボルツマンの熱力学、ノイマンのフラクタル理論、シュレーディンガーの量子力学など、20世紀の最先端科学の理論の未解決部分であるマクロ力学とミクロ力学の大統一理論への期待がベースにあり、それゆえノーランの映画作品はシュールリアリズム芸術論やフロイトやユングなどの夢理論など、全てマクロ力学とミクロ力学の矛盾へのアプローチになっている時代背景を色濃く反映しており、その統一理論の一表現として🎦インターステラー、🎦テネット、🎦インセプション、🎦オッペンハイマーなどの映画に首尾一貫した理論として流れている事が分かるのである。
唯我論をモチーフにした作品では最近、📺誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる、と言うソン・ホヨン脚本によるネットフリックスのドラマが、同様のテーマで良く表現された作品がありこれと併せての鑑賞をお勧めしたいところだ。

ただ、この🎦メメントの難解さは、そのテーマ性の前に技法として設定された主人公の特殊な立ち位置を本来時間軸上に進む映画と言う表現形式に10分づつの現実を(あくまでの主人公目線の)時間軸所に逆に配列し、更には現実をカラーに、想像・思念・過去?をモノクロのシーンとして配置し、それをパッチワークのように編み上げ、時間軸上に流す(すなわちマクロ力学、熱力学的な処置)、さらにそこまでロジカルに解析したところで起こる矛盾を、今度はミクロ力学、夢解析などの手法で包み上げると言う、誠に手の込んだ作風として仕上げてるので、これはもう映画の内容と言うより映画技法自体の革命と言っていいチャレンジブルな表現形式になってる事を理解する必要があるのである。
このアイデアは最近はやった中國SF📖三体のテーマでもあり、詳しくはネタバレになるので後に別のノートに詳しく書くとして、先端科学が芸術の表現形式に劇的な変化をもたらせている好例と言えるのである。

mark108hello