少年(1969)
解説
実際に起きたの事件にヒントを得た大島渚の名作のひとつ。戦争で人生を棒に振ったと思い込んでいる酔いどれの父親と、気の強い後妻、少年と幼い弟の4人は当たり屋で生活費を稼ぎながら日本を縦断する。この犯罪に呵責の念を感じるが、少年にはなにもいえない。やがて一家は逮捕されるが……。日本を騒がせた当たり屋家族の顛末を叙情性あふれるロードムービーとして描いた作品でベネチア映画祭でも高く評価された。
1969年製作/97分/日本
実際に起きたの事件にヒントを得た大島渚の名作のひとつ。戦争で人生を棒に振ったと思い込んでいる酔いどれの父親と、気の強い後妻、少年と幼い弟の4人は当たり屋で生活費を稼ぎながら日本を縦断する。この犯罪に呵責の念を感じるが、少年にはなにもいえない。やがて一家は逮捕されるが……。日本を騒がせた当たり屋家族の顛末を叙情性あふれるロードムービーとして描いた作品でベネチア映画祭でも高く評価された。
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2025年1月18日 四国から北陸、旅館を渡り歩いて車に撥ねられる。痛くないように、ほとんどが車の横に接触するように・・・最初は母親だけだったが、少年はやがて自ら当たり屋の中心に・・・
母親が夫との子を孕んで、仕事(当たり屋)で修理工の男に当たったときから、夫婦のきずなは揺らぎ始める。旅をするにしても、別々の宿をとるようになったのだ。母親が男好き?そんな雰囲気も匂わせながら。
雪の北海道にたどり着いたとき、3歳のチビがふらふらと道路を歩き、それを避けようとした車が横に逸れ、同乗者が死亡。そのときの少年の心は悲しみと自省の念があったのか?時折、挿入される白黒映像が彼の心象風景を表していたが、この終盤にきて、子どもらしい心に戻ったようで、大人には理解できない・・・
低予算のATG作品なので、事故のシーンや、最後の死亡事故なんてのは現実離れしていて残念。そして、実際に起こった事件とも比較するようなナレーションと映像で締めくくるが、高度成長期の中の貧困というものをもっと強調できればいいのに・・・
車への当たり屋で金を稼ぎ、高知から北海道まで日本海側を転々とする親子4人。その手口は手馴れたもの。少年とは10歳の男の子で母親の当たりを見て自らもやることに。継母であるが、冷静に甘えることもなく、暴れることもなく、両親に従っている。両親とも離婚経験や親子関係が悪く育っており、貧しい荒れた生活は引き継がれていくのか。
雪の深いある日家族喧嘩の中、少年の弟が道路に飛び出しそれを避けようとした車が横転して事故。乗っていた少女が死亡する。それは少年のみが目撃する。このシーンがそんなに衝撃的に描かれていなくて、横転して止まった様子で事故死になるような状況でないのが、印象を薄くしているが。
この後も夫婦は別れるとか当たり屋はやめるとか、少年をめぐって喧嘩を繰り返す。少年はそこを飛び出し雪の深い道を自分が死んだらいいと歩き出すが、その後を小さな弟が追いかけてくる。二人で雪の中、語るシーンが何とも切ない。アンドロメダとつぶやく弟。
結局、警察に逮捕されてしまう家族であるが、少年はあくまで嘘をつきやっていないという。
2013年11月09日@広島市映像文化ライブラリー
赤い靴が落ちている.以前に交通事故の現場を目撃したときにも印象的だったのは,そこに落ちている靴だった.正確に言うと交通事故の被害者の体は既に救急車の中にあって,いくつかの痕跡が残っている状態だった.縁石に乗り上げたSUVと道路の真ん中で横倒しになっている郵便局のスーパーカブ.こちら側の歩道には三人組の女性がいて,癇癪を起しているひとりの背中をふたりがしきりにさすっている.その中でひときわ存在感を放っているのは,片方だけ残されたベージュのスニーカーだったことを思い出す.
靴が残されているという事だけで,多くのことを物語っている.交通事故と関係ないところであったとしても,それは想像力に多くのエクスキューズを残す.家であれば靴の数と種類で交友関係が分かるし,通常ではあるはずのない場所に靴が存在していると,それは死のにおいを感じさせる.ビルの屋上に外向きに並べられた靴や,池に浮かぶサンダル.手袋や帽子,上着だったらもっと安全な想像が働くのだけれど,靴の存在による不穏さからは逃げられない.