ホーム >
作品情報 >
映画「イン・アメリカ 三つの小さな願いごと」 イン・アメリカ 三つの小さな願いごと
劇場公開日 2003年12月13日
解説
幼い息子をなくし、悲しみに暮れるジョニーとサラは、2人の娘クリスティとアリエルを連れ、アイルランドからニューヨークへ移り住む。幼い姉妹は、貧しいながらも新天地の生活に楽しみを見出し、同じアパートの住人でアーティストのマテオとの出会いから、家族は再生の道を歩む。「マイ・レフトフット」「父の祈りを」のジム・シェリダンが、実の娘2人と共同で書いた半自伝的物語を映画化。劇中でクリスティとアリエルを演じるサラとエマは、実際の姉妹。
2002年製作/106分/アイルランド
原題:In America
配給:20世紀フォックス映画
オフィシャルサイト スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る
2019年2月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
アメリカの貧困層の現実を移民の目から上手く描いた作品だ。実際の姉妹を配役として起用していることもリアリティを増している。『E.T.』を見事にストーリーの中に取り入れて、奇跡に対する信心深さもテーマとしていたようだ。
物語は10歳の娘クリスティンの目を通して描かれるのだが、「三つの願いごと」を奇跡のごとく扱って一家を幸せに導いていく。三つの願いごとというテーマ自体は古典落語や小説の中で語り尽くされているが、本作品でも二つ目までは"しまった!と思わせるくらいどうでもいいこと"に使われてしまう。「さてさて、3つ目の願いは何かな~?」と観客を想像させ、結局はハートフルな映画のため通俗的な欲を排除してしまう手法で観客の涙腺を緩ませてくれた。実際、3つ目の願いが、子供の命、マテオの命、病院の支払、どれに来るんだ~?とドキドキさせられた(笑)。
レイトショーのため映画館では一人でした。「デスペラード」は思いっきり一緒に唄ったぞ!(歌詞があやふやだったけど・・・)
見所は、オンボロクーラーを運ぶジョニーの姿。「矢でも鉄砲でも持ってこ~い!」て感じで、交通ルールを全く無視です。タクシーの運転手のシーンはデ・ニーロとかぶってしまった。
2018年2月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
ネタバレ! クリックして本文を読む
売れない俳優とその家族の再生の物語を監督であり脚本家である子どもの視線から描いた自伝的作品。娘二人が天使のように可愛い。
長男を失った悲しみを引きずる夫婦。死んだ弟に3つの願いを教えられた姉。家族4人で流れ着いた古いアパートメントには叫ぶ男が住んでいた。ハロウィンの日、心を閉ざし暴力的な生活を続けながら絵を描く男のもとを訪ねる姉妹。心の優しい彼に次第に家族付き合いをするようになるが男は重い病気を患っていた。
時を同じくして妻に命が宿る。しかしその命は身重の妻の命も揺るがす危険性があった。堕胎を進める医者の説得に反し命がけで出産を望む妻。入院費さえ払えぬ日々の中ついに新しい命が生まれる。
心の優しい男は死んでしまうのだが彼は家族の入院費の支払いも済ませていた。別れの挨拶をしないで死んでしまった彼が星になって手を振っているよ。そう妹に声をかける姉と父。手を振りながら死んでしまった弟の名を呼ぶ妹に父は涙する。息子の死を受け入れ癒される家族。後味のよいハッピーエンディング。
この映画が素晴らしかったのは姉妹の自然な演技や家族の絆、無償の愛を実践する男の姿もさることながら幼すぎる姉が語り部になっていることにあると思う。アメリカへの入国時、ぬいぐるみの賭け事、新しい命の誕生。家族の重要な局面で願い事を使う彼女。ほんの小さな彼女が全力で家族を支えていた。私が守ってきたんだから。その告白を聞いて涙する父。
実際に魔法のような願い事が真実かどうかはどうでもいい。この映画がファンタジックな優しさを持ちながらも単なるファンタジーではないリアリティーを持っていたのはこの語り部の視点の妙だと思う。
本当に魔法が効いたのか。子どもの思い込みなのか。真実はもっと深いところにある。彼女が家族を全身で支えていたことに違いはないのだから。そのことがわかるから鑑賞者はこのファンタジーに素直に涙できるんだと思う。いやあよかった。
2018年1月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
切なく暖かい家族の絆を感じる作品でした。
愛する息子を喪い、死の傷が癒えていないままアメリカへ引っ越してきた一家。
明るく振舞おうとすればするほど、妻の情緒が不安定になってしまいます。
娘は家族を気遣い、明るく笑顔でいようとしますが、本心は隠したまま…。
そんなある時、お隣に住む黒人のマカオと知り合った一家。
初めは怪しい男かと思っていましたが、とても親切で優しい人でした。
彼のお陰で崩れかけていた家族の形が、もう一度再生しようとしています。
最後のニューヨークの夜景と美しい月が、家族の傷ついた心を癒してくれていました…。
2013年3月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
総合:80点
ストーリー:75
キャスト:85
演出:80
ビジュアル:70
音楽:70
俳優としての成功を夢見てやってきたはずのニューヨークに待ち受けるのは貧困だけ。家族には埋めきれない過去の傷がありうまくゆかない現実に直面して辛いはずなのだが、それでも少女の目線から描かれる生活は家族愛があってどことなく救いがある。登場した家族はみんな魅力的だったが、特に長女のクリスティは素晴らしかった。
実際に演技を学ぶために妻と二人の娘と共にニューヨークにやってきた監督の自伝的作品ということで、 普通の映画にありがちな大成功もないしアメリカン・ドリームとは程遠い。また監督はフランキーという息子はいなかったけれど、本国でフランキーという弟を亡くしたらしい。それでも社会の底辺でその日暮らしをしながらも、異国の地で傷を浄化してささやかな希望を未来に抱いて再生されていく家族模様に癒される。決して派手さはなく、むしろ小さな話なのだが、そのために現実感があって心に染みる。実際に監督の経験から作られたのだからそれも当然かもしれないが、その小さな話をちょっと物悲しいけれど心の洗われる話にしっかりと仕上げた演出と演技が評価できる。
すべての映画レビューを見る(全6件)