劇場公開日 2003年12月13日

イン・アメリカ 三つの小さな願いごと : 映画評論・批評

2003年12月1日更新

2003年12月13日よりシャンテ・シネほかにてロードショー

この映画には美しい「天使」がひそんでいる

マイ・レフトフット」のジム・シェリダン監督の半自伝的作品。希望を胸にアイルランドからマンハッタン・ハーレムのボロアパートに移り住んだアイルランド人一家――売れない役者の父、元教師でウェイトレスをして働く母、幼い2人の娘たち――の過酷な人生を10歳の少女の目を通して描く感動のドラマ。

80年代初頭という時代背景を見事に使い、「E.T.」を脚本のプロットに巧みに引用しているのが絶妙だ(E.T.の物語がラストで効いてくる)。そしてマジック・リアリズムともいうべき「奇跡」が起こる! ハロウィーンで木の精や天使となった姉妹は、「トリック・オア・トリート」と叫んでボロアパートの住人たちからお菓子をもらおうとする。そこで出会う、生に真正面から向き合う黒人画家が、心にトラウマを背負った彼ら家族の運命をかすかな希望へ導く。また姉妹の手にかかると、アイスクリーム店のサンデーまでもが美味そうに見える。実際はアイルランドで撮られたらしいが、街並や背景が本物のハーレムにしか見えない。まさにマジカルな寓話だ。

この映画には映画史上もっとも美しい「天使」がひそんでいる。その可憐な天使たちの微笑みを見ているだけで、幸せな気分になる。

(佐藤睦雄)

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