男たちの大和 YAMATOのレビュー・感想・評価
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あそこまで大物を並べる必要はなかった気が
思ったより戦争美化しておらず、悲惨さ、哀しさがメインで描かれていたのでちょっと安心しました。でも、あのテーマなら戦艦大和じゃなくてもよかったような気もします。
大和そのものは、実物大のセットということでしたが、ちょっと作り物っぽく見えました。なぜでしょうね?
大物俳優がたくさん出てくるんですが、あまり個性を発揮していたようには思えません。あそこまで大物を並べる必要はなかった気がします。
戦後60年。たった60年…。
今年(2005年)は、戦後60年に当たります。戦争当時をリアルタイムで生きておられた世代で、存命されておられる方々も年を追うごとに少なくなってきています。そして、当然のことながら戦争を知らない我々の世代が、詳しく知りもしないで当時の戦争を『あれは日本が悪かった』などと、好き放題に論じています。国家がどうとか、体制がどうとかそんなことを度外視して、最前線で戦った人々の思いを観てください。
こういう映画が作られると、『戦争を美化している』とか『日本はまた、軍国主義へ戻ろうとしている』などという声が必ずどこかで聞かれます。でも、この映画の中で戦っている兵士たちは、『他国を侵略してやろう』などと考えていた訳ではなく、皆『この国を、愛する人々を護りたい』そう思い、戦って散って逝ったのです。もし、この映画を観て『日本も、もう一度軍備を増強して、戦争をすべきだ!』などと考える輩がいたら、そいつは頭の構造がオカシイただのアホだと思います。何をどうこねくり回そうと、我々が繁栄の上に胡坐をかいていられる、この現代は当時の日本人の多大な犠牲の上に成り立っているということを、決して忘れてはならない…、そういったことを改めて感じさせられる映画です。
冒頭にも書きましたが、今年は戦後60年です。そう、たった60年前の日本では、10代半ばの青少年たちが、『死ぬ覚悟はできている』と言って銃座に座り、敵戦闘機からの機銃掃射も恐れずに戦っていたのです。今の日本の若者に、そんなことができますか?簡単に他人を傷つけ、『生きている実感が感じられない』などとヌカす連中に…。俺も偉そうな事を言ってますが、実際には“死ぬ覚悟”などなかなか出来ないでしょう。弾が当たれば、誰だって痛いんです。彼等も本当は恐かった、恐ろしかったはずです。でも『愛する人を護りたい』という気持ちが、彼等を強くしたんだと思います。
決して戦争を肯定するつもりはありません。しかし、過去に起こった全ての戦いを過ちとして、それを起こした者たちを後世の者が一方的に断罪することなど、あってはならないことだと思います。少なくとも、この日本という国においては…。
この映画、観ていて幾つかの難が有ります(編集が荒かったり、脚本に“?”を感じる処が有ったり…)。しかし、現代の日本人が忘れかかっている“大和魂”(決して、戦うということのみに限定されるモノではない)を思い出させてくれる映画だと思います。試写が終った後、年齢層の高かった会場のどこかから拍手が沸き起こったのが印象的でした。
決して悪くはないが、あまりに古風すぎるのでは?
松山ケンイチやその恋人役の蒼井優など、若い世代の好演が光る1本。が、ところどころで挿入されるナレーションやテロップが、あまりに古めかしくて頭がクラクラした。あと、反町、中村、鈴木京香(この人は、何を演じても一緒)は、演技に力が入り過ぎで興ざめ。
決して悪い映画ではなく、気合いの入った戦闘シーンなど見所も多いが、現代のシークエンスは明らかに蛇足。時代という抗えない壁を前に、散らざるを得なかった少年兵たちの姿が物語の根幹なのだから、「余計なことをしちゃったなぁ」というのが正直な感想。
しかし、角川春樹というタイクーンは、現在の日本映画界に必要な存在だと痛感したのも事実。マーケティングばかりが先行し、意欲的な企画がなかなか生まれにくい状況の中、稀代の大ボラ吹きである彼の旗ふり、いや最後の狂い咲きに期待したい。 あ、順調に狂った感じで「蒼き狼」は大ゴケしましたが(笑)。
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