劇場公開日 2005年12月17日

男たちの大和 YAMATO : 映画評論・批評

2005年12月13日更新

2005年12月17日より丸の内TOEI1ほか全国東映系にてロードショー

あの時代の魂への賛歌を戦艦大和の威容とともに

バーチャルな戦争をモチーフにした福井晴敏ものは、いずれも亡国を憂う三島由紀夫の亡霊のような人物が現れて平和ボケした日本を挑発し、最終的には、なりふり構わず「生きる」ことこそ尊いと謳い上げた。

戦後60年の真打として登場する本作は、まったくもって対照的。戦争を知る世代がリアルな死とは何かを伝えようとする熱き想いに満ち、俳優陣にみなぎる緊張感は素晴らしい。あの時代、必死に青春を送ろうとした純粋な魂への賛歌を、戦艦大和の威容とともに堂々と描くタッチは感動的ですらある。現代の中高生にとってみれば、いわば“太平洋上の「バトル・ロワイアル」”だ。

だが、愛する人を守るためという大義に隠れ、青少年を戦場に引きずり出した権力を糾弾する気配は微塵もなく、あの戦争の意味も問わない。むしろ「日本が生まれ変わる先駆けとして見事に散る」ことの美に酔いしれてさえいる。つまり、命そのものよりも、命を懸けて守る価値のあるもの(=国)を肯定している。これは、表面的に反戦を唱えながら、結果的にナショナリズムを強化する高度なプロパガンダ映画だといえよう。角川春樹復活の狼煙には危険な匂いが立ち込め、だからこそ彼の面目躍如である。

清水節

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