ザ・プレイヤーのレビュー・感想・評価
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堂々と描く映画プロデューサーの傲慢。
〇作品全体
物語の展開が、そのまま映画プロデューサーの役割を表現するような作品だった。
映画プロデューサーの役割が「シナリオライターの憎まれ役」という特殊なポジションであることが主人公・グリフィンを通して分かる。プロデューサー側からすれば毎月100件以上のライターの売り込みをさばかなければいけない事情があるが、ライター側からすれば自分の熱意を25語だけで語らなければならず、それが伝わらなければ切って捨てられてしまう。熱意をぶつける機会すらくれず、連絡もよこさないプロデューサーだと一方的に切り捨てられたような恰好だ。そんな力関係が、まずケヘインの殺害シーンで表現される。一方的にグリフィンに感情をぶつけ、そしてグリフィンの反撃によって息絶えるケヘインは、前述したプロデューサーとライターの関係性そのままだ。どれだけ熱量を伝えても返ってくる反応は少なく、ビジネスの上で推し量られてしまう。そしてその熱量が目障りであればドブ水に頭を叩きつけられるように切って捨てられる。物語のカギを握るショッキングなシーンだが、力関係から見れば当然の結末のように見えてしまう。「プロデューサーがライターを殺す」が比喩表現としても、実際の物語上での出来事としても存在しているわけだ。
ラストのハッピーエンドも、映画プロデューサーという役割が悪い意味で影響力のあることを表現する。グリフィンが作中でハッピーエンドを望むことを何度も口にするが、これは単なる好みではなくて「ハッピーエンドに捻じ曲げる力を持っている」ということの誇示だ。本作ラストのハッピーエンドはグリフィンにとって物凄く都合が良い。気に食わないライターを殺し、警察からは金の力でかいくぐって運良く逮捕されずに済み、ライターの女と幸せに暮らす。さらに自分の地位は守られ、もはや不審な手紙を送ってくるライターには余裕をもった返しをする。その「できすぎた気持ち悪いハッピーエンド」は、作中で制作が進む「強引にハッピーエンドに捻じ曲げられた作品」と重なって映る。どちらもプロデューサーの力を駆使して出来上がったハッピーエンドであり、そこには殺されたライターの真実も、物語を書いたライターの真意も存在しない。あるのは自己の利益を追求する欲望だけで、そのずるがしこさが鼻につく。
しかし、本作を見た後味はすごくすっきりとしたものだった。それは多分、グリフィンという登場人物の「プロデューサーとしてのブレなさ」が作品の中心を貫いているからだと思う。映画業界の中心に立つプロデューサーの存在を堂々と醜く描いた本作には、醜さだけでなく映像作品としての面白さも詰まっていた。
〇カメラワークとか
・8分ほどあった冒頭の長回し。映画関係者が忙しそうにせわしなく動き回る姿が印象的だが、グリフィンは優雅に車から降りて、そのあとは部屋からほとんど動かない。この誰が世界の中心として存在しているのかを知らしめるようなオープンニングだった。
〇その他
・アルトマン作品の主人公は傲慢なんだけれど、その傲慢さを派手に見せないところが好きだ。『MASH』のホークアイも終始好き勝手やってるけど、感情を派手に表に出さないからクールに見える。『ロンググッドバイ』は傲慢とは少し違うけど、自分の進みたい方向性を一貫して持っていて、それでいて強く主張しないのがかっこいい。本作のグリフィンも相当好き勝手やってるけど、「映画プロデューサーで居続けること」という軸をブレない範囲で維持し続けているのがかっこいい。やっていることは最低なんだけど。
新感覚
2つの会話をダブらせるという独特の演出。 そこから不思議な雰囲気が醸し出されている。映画監督の醍醐味は自分の雰囲気を醸し出すことにあるので これは素晴らしいことだ 。ただ、ストーリーはかなり 実験的で2時間は長いと感じた 。何で実験的映画でこんな長いものを作ってしまうのだろう? 1時間40分ぐらいだったらとっても面白かったのに。
皮肉混じりのサスペンス
長回しで始まり。『黒い罠』は未鑑賞。『ロープ』は見た。
そのほか様々な作品がセリフや壁のポスターに出てくるが、残念ながら見てないものの方が多く、きっとこれらの作品からの影響があるんだろうなあとは思いながら、やっぱりそこは分からず。これから見ていこうとモチベにするしかないですよねー。
『フリークス』は見たい。
ハリウッド的ヒット作の条件が途中で語られる。
サスペンス、スター、暴力、平和、愛情、ハッピーエンド、セックス、裸。たしかこんな感じ。
これらがことごとくこの映画にも散りばめられているのがうまい部分で、それでいてそれらの軽薄さを皮肉っている。
スターは馬鹿みたいにカメオ出演させまくり。取ってつけたようなセックス。彼女を乗り換え、罪も償わずに、なんちゃってハッピーエンド。
劇中劇も、結局は観客の反応に媚びに媚びて、ジュリアロバーツとブルースウィリスでハッピーエンドにしているのがクスッとさせる。ライターまでその気になってしまっている。
ロバートアルトマンはまだmashしか見ていないが、他の作品も見てみたくなった。じゃあ監督はどんな映画を作ってきたんですか、と確認したくなる。
時代を感じる
犯してしまった罪さえもエンタメに使えるとなれば、
金と引替えに利用する。
良心の呵責が生まれる時もあるものの、
1度難を逃れてしまうとあとは
喉元過ぎればなんとやら。
まさに生き馬の目を抜くような
恐ろしい世界だハリウッド。
もちろんフィクションだが
こういうこともありかねないと思わせる。
という流れをさらに最後になって、
観客へむかって舌を出してる作り手の顔が見えるかのようだ。
いっぱい食わされる・・・まあ
タイトルがタイトルなだけに
途中からうすうす予測はついてくるんだけど。
昨今男女差別や人種差別などを
是正しようとする動きの活発な
状況をみると時代を感じるものだ。
あくどい事をしてたものは
昔は良かったとうそぶくのだろう。
アルトマン印。カメオ出演の面々はもちろん、このメタ感が80年代後半...
アルトマン印。カメオ出演の面々はもちろん、このメタ感が80年代後半〜90年代という感じで、今見てもおしゃれな映画なのに懐かしさもある。
ハリウッドの黄表紙
やたらに人がドンドン出てきて、いつも何だかさっぱりわからないアルトマン選手、初めてまともでした。群像的ではありますが、中心になるストーリーが真ん中を貫いているからでしょう。
ハリウッドの裏側というより、次から次へと古典名作や新旧スターの名前とカメオ出演が続きますが、マニアックではなく有名ドコロが中心なので一般受けもします。
それでも、観た後調べたら「どこに出てたの?」みたいな人も大勢いましたね。
場面展開とテンポが非常によいです。終わり方もあれ?とは感じるもののスマートでした。
自転車泥棒?あー、まあいい映画だよね、暗いけど
カチンコが切られたかと思えば即座に室内からグワーっと遠ざかるカメラ。画面端から現れた車を横移動で追いかける。あ、これどっかで見たことあるな。そうか!オーソン・ウェルズの『黒い罠』だな!と心の中で小さくガッツポーズした次の瞬間、その場を横切った映画関係者の男が「『黒い罠』の長回しはいいよ」などと得意げに語り始める。
あるいは長回しの最中に意図的に画面の一部分をズームアップし、周囲の情報を遮断する手法。これはヒッチコックの『ロープ』だ。『ロープ』の頃は長回ししようとしてもフィルムの長さに上限があったから、ズームアップしている間に次のフィルムに入れ替えるというやり方で擬似的なワンシーンワンショット映画を作り上げた。しかしまたもやここで先ほどの男が現れ「『ロープ』は脚本は微妙だけど撮り方はいいね」などとのたまう。
シネフィル的欲望をことごとく粉砕するこの意地の悪さ。ロバート・アルトマンの映画が始まったんだな…という緊張感をもたらしてくれる。
本作ではハリウッド商業主義とイズムなき製作態度が彼らしい舌鋒で揶揄されている。
映画製作会社重役のミルは最低限の映画史観こそ備えているものの、そのせいでかえって己の浅薄さを露呈させてしまっている。彼がハリウッドセレブが一堂に会する式典で「次なるJ・ヒューストンやO・ウェルズやF・キャプラを輩出し〜」などという誰でも言えるようなスピーチを行うシーンは傑作だ。それに対して会場全体から拍手が沸き起こるのも軽率きわまりない。
そんな彼だが、ある日誤って一人の脚本家を殺してしまう。彼は来たるべき罰を恐れるものの、審判の日はなかなか訪れない。彼に嫌疑をかけ続けていたのはロス警察が無能だと嘲る隣町の警察たちだけだった。
一方ミルは20世紀フォックスから天下りしてきた新重役のリーヴィが気に食わず、彼に「無辜の女が策謀によって死刑に処される」というネオ・レアリズモ的映画の企画(しかも俳優は全員無名)をぶん投げる。こんな映画がハリウッドで成功するわけねえ!途中で頓挫して痛い目見やがれ!というほとんど小学生じみた悪意を新人に容赦なくぶつけるミルの愚かさに閉口する。
警官たちはミルをどうにか逮捕しようと躍起になるが、最後の切り札であった事件の目撃者はミル以外の人物を犯人だと断定した。これによりミルは晴れて自由の身となった。
月日は流れ、リーヴィは押し付けられたネオ・レアリズモ的脚本をハリウッド的ご都合主義でメチャクチャにしたゴミに作り変え「オスカー間違いなし!」と騒ぎまくる。はじめこそリアリズムが大事だと主張していた当の脚本家さえもがこの金のかかったゴミに手放しの賞賛を惜しんでやまなかった。
ミルはいつしか映画製作会社のトップに上り詰め、自分が殺した脚本家の元恋人と幸せな家庭を築いていた。美しい花と植物に囲まれた大きな白い家に高級車で帰宅したミルは、膨らんできた彼女の腹を優しくさすりながら家の中に入っていくのだった。〜THE END〜
ハリウッドなるものの圧倒的勝利を描き出すことで逆説的にハリウッドの空虚さを浮き彫りにした挑発的な作品だった。しかもこの映画全体を通してみたとき、「ミルが自分が犯した殺人の罪を償う」というハリウッド的カタルシスは何ら達成されておらず、きちんと作品そのものが反ハリウッド映画として成立している。
思えば序盤の『自転車泥棒』リバイバル上映のシーンは全てにおいて示唆的だった。貧乏な親子の辿る悲しい結末を沈痛な面持ちで最後まで見つめる脚本家と、終盤も終盤になってからヒョロッと現れ「いい映画だった」などと言ってしまえるミル。ここには映画というものに対するリスペクトの有無がはっきり現れている。そして脚本家は死に、ミルは会社のトップに上り詰めた。さて、ハリウッドの明日はどっちだ?
人間の変身
陽に最悪な男が2時間かけて陰に最悪な男に変わっていく様が見事に描かれる。
そしてアイロニーとブラックユーモアが通底にびっしりと敷き詰められていてそれもまた壮観。
映画とは、芸術とは、言葉とは、信頼とは、そんなものはない!と苦笑いするしかない痛快作。
殺された男が言った、あの女は最悪な女だ、が余韻で楽しませる。
果たしてこれはハッピーエンドなのか。
最高。
え??? そういうオチ???
あの女性が可愛そう。一生懸命やっていたのに。殺された人も。
もやもや…。
努力をしなければ生き残れない世界だけど、努力だけでもどうにもならない世界。うまい意味での転身も必要。…いいのか、これで?………お払い箱された方の気持ちを考えると、ブツブツ……。
映画が当たる要素の一つ・ハッピーエンドだそうだが、これハッピーエンドなのか?
大いなる茶番劇。
そう割り切ったうえで、その茶番をちゃかせるか、うなるか。それが評価の分かれ目。
サスペンスタッチで物語をひっぱり、それにまつわる主人公の表情も見ものです。
そして、物語以外の所でも、
正直、主要な役柄の俳優さんは、ロビンス氏・ゴールドバ―クさん以外は私の馴染みではなかったのですが、
あ、あそこにピーター・フォーク氏がいるとか、あっちこっちにたくさんの有名な俳優さんが…。
どこかで見たような方もゴロゴロ…。
ジュリア・ローバツさんも改めて演技のうまい方なんだなあと思った。
最後のオチを観るまで、ロバーツさんの演技に全て持っていかれたような印象すらあるほど。それに対してウィリス氏の演技のくさいこと。わざとですが。苦笑い~…。
ヒロインと主人公の出会いの場面とか、家を訪問する場面の意匠の美しさには息を飲みます。
カラオケ場面は郷愁と共に笑えた。
台詞も、あそことあそこでシンクロしているなってところもあって、凝っている。
有名な長回しとか、セットの美しさとか、シーンごとは職人芸的で素晴らしいんだけど、
トータルとして観るとあまり訴えるものがない…。ぶつ切り。作中にカット批判があるんだけど、それよりひどい。シーンのオムニバスを観ている感じ。主役の演技でどうにか繋がっているんだけど、その主役も「何やってんだぁ」的な方向に走っていくし…。
他のサイトのレビューに「浅はか」とかあったけど、計算なんだろうなあ。きっと。有名な監督だし、かなりの通っぽい人達が「おもしろい」と言っているし…。もやもや。(この監督の他の作品未鑑賞)
「内幕を描いた作品」とな。
監督の映画スタイル・人柄をご存じの方は絶賛。
そうでない方(私含む)は…。
映画は共同制作物というのを改めて再認識。
皆の力が結集して化学反応起こして傑作が出来る場合もあるし、脚本を制作が潰すとか、役者の演技を監督が潰すとか、そういうことあるって、改めて思い出しました。ハルベリーさんやトムクルーズ氏(『カクテル』)のラジー賞受賞も演技を演出や映像がぶち壊したゆえだったし。反対に良い脚本なんだけど、演技でぶち壊しになった作品もあるし。
と、わざと自分の映画を壊しているの?と思いたくなるような部分もあって、様々な意味でかなりおちょくっている映画。コメディとして観ればいいのか?
(ゴールデン・グローブ賞は「コメディ/ミュージカル部門で受賞)
カメオ出演している方々とか、映画のポスターや映画関連の小ネタチェックの為にまた観たくなるけれど、映画本体としては一回でいいやという感じ。
私には、シニカルすぎて、醜悪。
破城してしまっているような映画なのに、高評価をつける人がいる映画に仕上げているのはすごいと思うけれど。
やっぱり、なんでこれがいろいろな映画賞を受賞しているのかわからないけど、う~ん、ま、いっか。
最近はなんちゃって長回しが多いけど・・・フィルム時代の名作
冒頭では8分超えの長回しシーン。上手いこと撮ってるな~と思いつつも、カットだらけの映画への皮肉めいた台詞が面白い。邦画『カミュなんて知らない』ではこの映画の冒頭にオマージュを捧げる長回しがあったけど、会話の内容がかなり似ていると改めて気づく。
基本的にはティム・ロビンスが誤って殺人を犯したことのサスペンスなのだが、ハリウッドの内幕というか、脚本家への敬意と皮肉を同時に描いているかのようだ。ピーター・フォークに連れられてきたリチャード・E・グラント扮する脚本家が無実の罪で処刑される暗い映画を売り込むことが最大のテーマであり、ロビンスがFOXから引き抜かれたピーター・ギャラガーを陥れる目的で採用させたのに、試写が不評だったためにハッピーエンディングに変更するという結末が最高。無名の俳優を使うという前提もジュリア・ロバーツとブルース・ウィリスになってたからなぁ・・・こんなに風刺が効いているのによく出演したものだ。
ハリウッドライク=ハッピーエンディングというのは言葉通り。結局は商業主義の映画に落ち着いてしまうという、この映画のプロットそのものが風刺になってるわけだ。しかも犯罪者(しかも元愛人を捨てるし)がそのまま幸せになるなんて、かなりブラック。だけど、ポストカード・ビジネスの男は最後に謎となっているというオマケつき。
旅行中にロビンスが恋人となるグレタ・スカッキにヒットする要素を説明するシーンがあるけど、この映画にピタリとくる内容だった。笑いのパートは刑事のウーピー・ゴールドバーグに持っていかれた感がある。
チョイ出のカメオ出演が豪華すぎ!本人役として名前が出てくればわかるけど、役名なしの俳優も多くて困ってしまう。スーザン・サランドンなんて可哀想なくらいチョイ役。まぁ、デッドマンなんて呼ばれた主人公がそのまま『デッドマン・ウォーキング』に繋がっていくと考えると興味深いのですが・・・
他に類を見ない完璧なハッピー・エンドに、涙が止まらない…😭
ハリウッドにある映画スタジオの重役、グリフィン・ミルが引き起こしたとある事件と、その顛末を描いたブラック・コメディ。
主人公グリフィン・ミルを演じるのは『トップガン』『ジェイコブス・ラダー』の、後のオスカー俳優ティム・ロビンス。
殺人事件の調査を担当する刑事スーザンを演じるのは『カラーパープル』『ゴースト/ニューヨークの幻』の、後にショービジネス界のグランドスラム「EGOT」を達成することになるレジェンド、ウーピー・ゴールドバーグ。
👑受賞歴👑
第50回 ゴールデングローブ賞…作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)❗️
第45回 カンヌ国際映画祭…男優賞、監督賞❗️
第46回 英国アカデミー賞…脚色賞、監督賞❗️
第58回 ニューヨーク映画批評家協会賞…作品賞!
第8回 インディペンデント・スピリット賞…作品賞!
叛逆の巨匠ロバート・アルトマンが、商業主義に走る映画界への不満をぶちまける問題作!
ハリウッドを舞台にした現代劇ということで、65人ものスターが実名でカメオ出演を果たしている。
豪華カメオ出演らしいのだが、自分のような映画リテラシーの低い観客では、登場するスターに全然ピンと来ない😅
ピンと来たのはシェール姉さんとジェフ・ゴールドブラムくらい。あと刑事コロンボね。
『ダイヤルMを廻せ!』のポスターやヒッチコックの顔写真が大写しになるなど、おそらくヒッチコック作品のオマージュ要素も多いのだろうと思われるが、これも映画リテラシーの低い自分には伝わらないところだった。
メタネタもおそらくは多く仕込まれているのだと思う。
自分が気付いたところでは、ウーピー・ゴールドバーグ演じる刑事のスーザンが、オスカー像を持ってスピーチの真似事をやるシーン。
ここは本作が公開される前年のアカデミー賞において、『ゴースト/ニューヨークの幻』への出演により実際にオスカーを受賞したウーピーだからこそのネタなのだと思われる。
このように、本作は映画に詳しい人ほどニヤッと出来る要素が多く含まれている映画である。
『黒い罠』『卒業』『ロープ』『自転車泥棒』など、過去の名画についての言及も多く、特に『自転車泥棒』は物語のキーワードになっている。
これも『自転車泥棒』を観ていれば「なるほど!」となっていた可能性はあるが、自分は観ていないのでなんとも言えません…。
この映画、はっきり言って1時間50分は全然面白くない!
自分の映画リテラシーが低いから面白くないのか、とも思ったが、クライマックスの展開で全て腑に落ちた。
110分間の、長い長ーいフリ…からの、あのクライマックス!
まさにイピカイエー!な展開は、これが『キング・オブ・コント』なら優勝間違いなし🏆✨
爆笑してしまいました!🤣🤣🤣
ラスト15分を観るために、長い長い110分間を耐えなくてはならないが、その価値は大いにある。こんな映画観たことないもん。
大物プロデューサーのグリフィン。
彼の考える「良き映画」の条件は①サスペンス②笑い③バイオレンス④希望⑤ハート⑥裸⑦セックス。
そして彼がなによりも重視するのは「ハッピー・エンド」であること。
ハッピー・エンドこそが最重要ポイントであり、その前には「リアリティ」なんて不要だと考えている。
彼はまぁ言ってしまえば現代ハリウッドの権化。
表向きは「映画は芸術」という態度をとってはいるが、一番の感心事はその映画がヒットするかどうか。
試写会での観客の反応次第で、その映画のエンディングを変えることもある。
彼の仕事は1日125本もの脚本の持ち込みから、映画化するものを選ぶこと。選べるのは年間でたった12本。
12本/45,000本なのだから、とんでもない倍率である。
そんな仕事なので、当然ながら敵も多い。
そんな彼が、何者かから脅迫状を送られる。彼は疑心暗鬼から、罪のない脚本家を殺してしまう。そして、偶々出会ったその脚本家の恋人と恋に落ちてしまう。
そんな彼の罪がバレるのかバレないのか!?彼女との恋の行方は!?
…という、ベタといえばベタな内容。
本作はグリフィンの思う良い映画の条件が全て備わっている。
それにも拘らず映画は退屈極まりない。
サスペンスはだらっとしているし、ラブ・ロマンスも薄っぺらい上に飲み込みづらい。
もうこれは意図的に「ハリウッド的な良い映画」をおちょくっているとしか思えない。
「お前らの考えている映画論なんて、退屈極まりないんだよ!見せてやるぜオラっ!」
って感じで、とにかく定石を踏みながらもどこかズレているということが積み重なってゆく。
そして最後の「ハッピー・エンド」!
「一年後」から後の展開は全人類に見てほしい、正に完璧なコント🤪🎉こんなもん絶対笑うやろー!
こんなに悪意に満ちた「幸せな2人」からのTHE ENDは誰も見たことがなかっただろう。
作中でグリフィンが、ヒロインであるジューンに「君は真のアナーキストだ」と言い放つ。彼女は映画を全く観ないし本も読まない。
「真のアナーキスト」とはこの映画の精神そのものであり、また商業主義に塗れた現代において、映画も本も観る価値はない、という監督の強烈なメッセージであるとも受け取ることが出来る。
さらに、現代の映画界への批判に加え、懐古主義的な観客への批判も忘れない反骨精神が素晴らしい。
「オーソン・ウェルズとかヒッチコックとか昔の映画は良かった。今の映画?観てないけど。」
こういうスノビズムへの嫌悪感こそが本作の根底であり、だからこそ引用やカメオ出演、メタネタを多用しているのかもしれない。
「わかる人にはわかる。分からないやつはバカ。」みたいな姿勢をおちょくっているようにも感じられた。
21世紀に入り、商業主義の産物である安易な続編商法は、映画のユニバース化という新しいゾーンに突入している。
一長一短のある映画のユニバース化だが、間違いなく言えるのは、長く続けば続くほど新規参入が難しくなっていくということ。
「MCU」なんてドラマも始まってしまって、もはや新規参入不可能だろ、なレベル。
そして、過剰とも思える近年のポリコレ化。
観客の目を気にするあまり、逆に映画の持つ可能性を閉じていくことに繋がってはいないだろうか?
本作が作られてから30年経ち、映画業界の良くなったところ、逆に悪くなったところはどこなのだろう?などと考えさせられた一作。本質はあんまり変わっていないように思うけど。
つまらないことに意味がある、という映画界のパンク・ロック。
やっぱりジュリア・ロバーツとブルース・ウィリスは最高だぜ💥💥💥
毒気満載、くたばれハリウッド!
冒頭からスタジオを闊歩するソニー一行や実際の「卒業」の脚本家バックヘンリーが続・卒業の脚本を売り込むシーンなど面倒臭くなる予感がプンプンです。
ロバート・アルトマン監督自身もハリウッドの商業主義には嫌悪むき出しのお方でしたし、原作・脚本のマイケル・トルキンも家族ともども映画に失望していたらしく監督と思いが一致したのでしょう、劇中でも「自転車泥棒(伊1948)」のラストシーンが映されますが、それだけで胸が締め付けられますね、映画が弱者に寄り添っていたころの名作ですので失われた映画の象徴、メタファーなのでしょう。
それにしてもご両人は酷いブラック・ハリウッド物語を創ってしまいました。
アルトマン監督は脚本より役者の自発性を尊重する演出家でしたから脚本家と揉めることは日常茶飯事、反面、役者連中には熱烈なファンも多く劇中劇のジュリア・ロバーツはノーギャラ出演だったようです。ご本人のカメオ出演の多さも監督の人望の賜物でしょう。
一応サスペンス風ではありますが伏線の様で紛らわしい仕掛けばかりで困惑します、警備主任のウォルターがまるで目撃していたかのように主人公を問い詰めるのでてっきり黒幕と刷り込まれました、また頻繁に謎の尾行者が出てきたりで思わせぶりな演出が鼻につきます。皮肉にばかり力を入れず少しは娯楽性にも技の冴えを見せて欲しかったのですが刑事がウーピー・ゴールドバーグでタンポン振り回して大笑いでは端からサスペンスや社会正義など監督の眼中にはないと思ったら、案の定、無罪放免です。
脅迫者も別の作家と分かりますがいわば業界内輪のドロドロ感しか残りませんし、殺人者が社長にまで昇進し、捨てられた元彼女や間違って殺された作家、こともあろうにその彼女と結ばれハッピーエンド風で終わる酷さは後味の悪さ抜群です。
ジュリア・ロバートの劇中劇でも悲劇で終わるはずがモニター試写で不評、ハッピーエンドに一変、確かに観客はハッピーエンドが好物ですが興業優先で口を挟む上層部に辟易していたのでしょう、それなら見掛けだけハッピーエンドにしてやろうとのこのひねり、さすがアルトマン監督、毒気の処方に掛けては長けていますね、やられました。
ティム・ロビンス率いるハリウッド業界サスペンス! カメオ出演者も今...
ティム・ロビンス率いるハリウッド業界サスペンス!
カメオ出演者も今ではみんな大スター。
洋画ファンなら頷きながらきっと満足する1本!
カメオ出演が豪華過ぎる俳優陣
カットを割らずカメラの長回しから色々な人物を映し出し複雑な群像劇かと思えば中心の主役はT・ロビンス。
予想も出来ずに物語は進みT・ロビンスが嫌な奴に変貌し豪華なカメオ出演の俳優たちにラストは皮肉掛かっている。
映画俳優の名前に顔とある程度の映画知識があれば倍、面白くなる映画。
R・アルトマンだからこそ豪華俳優のチョイ役出演が可能に!?
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