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ロサンゼルスのチャイナタウンを舞台に、攫われた友人の婚約者を奪い返すため、怪しげなチャイニーズマフィアに戦いを挑むトラック運転手ジャックとその仲間たちの活躍を描いたオカルト・カンフー・コメディ。
監督は『ハロウィン』シリーズや『遊星からの物体X』のジョン・カーペンター。
主人公ジャック・バートンを演じるのは『ニューヨーク 1997』『遊星からの物体X』のカート・ラッセル。
く……くだらねぇっっ!!!💦💦
小学生がお話考えたのかと疑う、知能指数5くらいのヘンテコムービー。「オカルト」と「カンフー」、面白いものを2つのっけたらもっと面白くなるんじゃね?という、ハンバーグカレーとかコーラフロートとおんなじ様なノリで作られている。
いやーんおバカ。でも映画ってこういうので良い…というかこういうのが良いのよ〜〜💕
ロサンゼルスのチャイナタウンに潜む謎の妖術師。それに立ち向かうのはアメリカンなトラック野郎。こんな映画後にも先にも聞いた事ないぞ!
とはいえ、例えばキョンシーブームを巻き起こした『霊幻道士』(1985)とか、サモ・ハンが監督を務めた『妖術秘伝・鬼打鬼』(1980)とか、オカルト×カンフー的な作品は香港映画にはままある訳で、本作はそういった作品群から影響を受けた一本である事は間違い無いだろう。
この作品のユニークな点は…まぁユニークな点しかないのだが…主人公ジャックの造詣にある。
2,000年の時を生きる悪霊ロウ・パンやその腹心「嵐の三人組」、彼らと戦う魔術師エッグ・シェン、さらにはチューバッカの様な毛むくじゃらなモンスターまで、とにかくありとあらゆるヘンテコなキャラクターが登場するが、ジャック・バートンはただの気の良いトラック運転手。魔術なんかとは全く無縁の存在であり、それは映画が終わるまで一貫している。
彼は魔術師同士の抗争にたまたま巻き込まれてしまっただけの一般人に過ぎず、チャイナタウンに渦巻く陰謀とも無関係。なので当然、あれやこれやのオカルティックな現象は彼の理解の範疇を超えている。
本作における彼のセリフは、大体が「あれは誰だっ!?」「ここは何処だっ!?」「それは何だっ!?」に類する言葉。最初から最後まで全っ然事態を飲み込めていないという、新しすぎる主人公像が提示されているのである。
このジャックのポカーン感は、観客の心境と見事にシンクロしている。次から次へと出てくる超展開に脳みそがパンクしそうになるが、それはジャックもおんなじ。彼が観客と一緒の目線で困惑してくれるので、どれだけトンデモな展開になっても観客は置いてけぼりにならないのです。
実はジャックが命を賭けてロウ・パン一味とやり合う理由はほとんどない。愛車のトラックが盗まれるけど、それも保険に入ってるから何とかなりそうだし…。
それにも拘らず、友達の婚約者を奪い返すために敵地に乗り込む。最終決戦だというのに落ちてきた岩に頭をぶつけて気絶したりと、全く頼りにならない男なのだが、どれだけ意味不明な状況だろうがとりあえずなんかやってみるという、この無条件の行動力と快男児っぷりがジャックの魅力であり、彼を主人公たらしめている点である。
そんな主人公ジャックを演じるカート・ラッセルの演技がまた良い。アメリカンなボンクラトラック野郎をこれ以上なくコミカルに演じている。ルックスだけだと正統派アクションスターの様に見えるからこそ、一本抜けた演技がまた活きる。
カーペンター監督が彼を重宝するのもよくわかる、彼の好演こそがどんなSFXにも勝る本作の見どころである。
やりすぎ、バカバカしい、露悪的。ジョン・カーペンターらしさをふんだんに楽しめるB級コメディ。
とはいえ、武侠風なカンフーアクションは迫力満点。チャイナタウンの街並みはSF映画の様な雰囲気を携えており見応えがあるし、絶えず登場する魔術や不気味なクリーチャーなど、全く観客を飽きさせないおもちゃ箱の様な映画である。
『ゴーストバスターズ』(1984)に負んぶに抱っこなトンチキ邦題だが、面白さはむしろこちらの方が優っているのではないだろうか!?
興行的には大コケしてしまったが、年々その人気は高まり、今ではカルト映画としてその地位を確立。その後のエンタメ映画に大きな影響を及ぼしたという。
時代を先取りし過ぎてしまった、天才カーペンターの意欲作。より多くの人にこの作品を楽しんで欲しい。