スーパーマン リターンズ : 映画評論・批評
2006年8月8日更新
2006年8月19日よりサロンパス・ルーブル丸の内ほか全国松竹・東急系にてロードショー
“風の感触”を肌に感じるようなエロティックさがたまらない
ブライアン・シンガー監督は相当なスーパーマン狂らしい。例の、星空を文字がビュンビュンすっ飛んでいくアバンタイトルを用意し、ワクワク感を一気に盛り上げるのだ(ジョン・ウィリアムス作曲のあのマーチだ)。父役だったマーロン・ブランドの声で“再演”させるなど、旧シリーズ(78年・80年)へのオマージュもふんだんだが、もし旧作が未見の場合でも、スーパーマンの超人パワーを体感できるように脚本がよく練られている。
物語は「II」の5年後で、“恋人”ロイス・レインがシングルマザーになっていた、というプロットがすっばらしい! 「スパイダーマン」の専売特許だった“恋のジレンマ”が主題になって、物語にユーモアをもたらすからだ。また序盤、美人には見えないロイス(ケイト・ボスワース)が“息子”の存在により、神々しくも美しい“母”になっていく。
宿敵レックス・ルーサー(ケビン・スペイシー)のコミカルで優雅な身ぶりも見ものだが、やはりスーパーマン/クラーク・ケント(ブランドン・ラウス)の英雄的活躍に血がたぎる。墜落する飛行機を救出する場面の猛烈なスピード感はスゴイの一語だし、大都会メトロポリスの上空を、ロイスとともに2人で飛行するシーンの、“風の感触”を肌に感じるようなエロティックさがたまらない!
(サトウムツオ)