「三段落ち。」スパイダーマン3 三遊亭大ピンチさんの映画レビュー(感想・評価)
三段落ち。
「スパイダーマン3」見ました。
シリーズ前作のファンです。特に2は、娯楽作としても、一つの映画としても最高の仕上がりだった。結論から言うと今作は、同スタッフ&キャストで作ったとは思えない程つまらない。
まず、どう見ても話を詰め込みすぎた。全ての展開が唐突で、細かい部分のツメが甘い。サンドマンの扱いも本当に適当だし、キャラがブレブレのピーターもイマイチ。あとはヴェノムが明らかに不要だし、何と言ってもエドワードがヴェノムだったというズッコケたくなるご都合主義。まともな人間に見えたのはMJとビーグルの副編集長くらいだった。
ツメが甘いと細かい部分の粗が露出する。スパイダーマンは顔バレしてないのが不思議なくらい無防備にマスクを取ったり、アパートの自室から飛び出したりする。サンドマンが脱獄からラストまで囚人服みたいのを着てるのは明らかにあり得ない。飛来した黒い物質の正体が曖昧だとか。そしてやっぱり気になるピーターとハリーの体の強度と格闘センスの何故。
あとは笑いに関して。ビーグルの編集長がブザーでビックリする下りは本当に面白かった。ピーターがグウェンを連れて、MJが勤めるジャズクラブで立ち回るシーン。あそこの滑稽さは僕に言わせればコメディだけど、多分作り手側からしたら違いますよね。あとはピーターがリズミカルに街を闊歩して古着屋に入るシーン。このような複数の場面で感じたのだが、笑うべきなのかそうでないのかが分からない。どちらにしろ上手くないし、笑えない。本当にどうかしてる。
どうかしてると言えば、黒スパイダーマンVSサンドマンの地下鉄のシーン。貯水タンクのネジがポンッと外れてーのサンドマンの顔ドンッのヤツ。ダサすぎるって。
ヒーロー映画として良かった点はある。人命救助シーンは緊張感があって見応えがあるし、戦闘シーンもスピード感があった。尤も、助けた命がグウェンだってのは笑えない。戦闘シーンもカメラが近いしコロコロ動くしで酔いそう。
大いなる力には大いなる責任が伴う。超人気作の続編という大いなる責任とプレッシャーが、迷走を生んだのでしょう。