スパイダーマン2 : 映画評論・批評
2004年7月1日更新
2004年7月10日より日劇1ほか全国東宝系にてロードショー
スパイダーマンの悩める心に胸がキュンキュン
2億ドルを注ぎ込んだだけはある凄いアクション&VFX――予告編を見ていると、いかにも夏のVFX超大作だった。
ところが!その実態は2億ドルかけた青春ドラマ。ただでさえ普通(以下)だったピーターくんの人生に次々と問題が起こり、悩める日々を送ることになるのだ。その姿は等身大。恋に悩み、学業に悩み、アルバイトに悩み、自分のぶきっちょさにうんざりする。わたしたちが「わかるよ、その気持ち」と共感出来ることばかりである。
あのスーパーヒーローがそれでいいのか。いや、いいんである。それこそがスパイダーマンのスパイダーマンたるゆえん。<あなたの親しき隣人>というスタンスをあくまで死守して、その魅力に肉薄する。かつてコミックのスパイダーマンに心を重ねたサム・ライミだからこそ出来た技なのだ。
それにしてもいい。驚くほどいい。VFXバリバリの超大作なのに、それを忘れてピーター/スパイダーマンの悩める心に胸がキュンキュンしてして、セリフのひとつひとつに目頭が熱くなるなんてもう最高である。続編の重圧に負けず、2億ドルの製作費をモノともしなかったサムくん、あなたは本当に素晴らしい。心からありがとうを言います!
(渡辺麻紀)