キル・ビル Vol.2 : 映画評論・批評
2004年4月16日更新
2004年4月24日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー
「1」に批判的だった人も、見る価値はある
ああ、これだ。待っていたのはこの味わいだ! 2つに分けてなお2時間越えかい、と突っ込みつつも、「1」以上にタランティーノらしさが炸裂する展開にワクワク、ゾクゾクだ。
「1」に批判的だった人も、見る価値はある。直線的に突っ走っていた「1」とは、まったく違ったトーン。舞台はマカロニ・ウェスタンな世界となり、ザ・ブライドがさすらいの女ガンマン仕様になったというだけではない。タランティーノならではの、一筋縄ではいかない悪党キャラ、そのキャラが反映する独特のダイアローグがおいしいのだ。「1」に足りなかったのは、まさにこれ。しかも今回は血しぶき・残酷描写は影をひそめているし、奇天烈な日本描写に引くこともない。
もちろん映画愛、お遊びもいっぱい。香港カンフー・パートでショウ・ブラザース映画のキャラをパロったゴードン・リューの痛快さは格別だ! そして驚きはラスト、ビルとの最終対決のエモーショナルなこと! この2人の会話に交錯する愛と憎しみ、やさしさと残酷さ(ちょっとのマヌケさも)。2人の中に息づくマカロニ魂に隠し味のサムライ魂も効いて、猛烈にせつないのである。
「2」があって初めて、「1」も完成する。やはり1本の映画として見たかったとは思うなあ。
(若林ゆり)