劇場公開日 2004年4月24日

キル・ビル Vol.2 : インタビュー

2004年4月16日更新

「『Vol.1』よりもイイ」と評判の「キル・ビルVol.2」。その様相は「Vol.1」とはガラリと異なっているという。直前まで編集作業に追われていたタランティーノ監督が、やっと完成した「Vol.2」を語った。そして「Vol.3」の可能性も……!? さらに、「レザボア・ドッグス」のMr.ブロンド役でタランティーノ・ファンにはおなじみのマイケル・マドセンのインタビューもお届けしよう。(聞き手:若林ゆり

クエンティン・タランティーノ監督インタビュー
「ザ・ブライドとビルの関係には、俺って人間が投影されてるんだ」

クエンティン・タランティーノ監督
クエンティン・タランティーノ監督

ギリギリまで編集作業で缶詰状態になっていたタランティーノが、やっと「Vol.2」について語ってくれた。

「これは俺にとって、エクスプロイテーション映画のオデッセイなんだ。俺がやりたかったのは好きなジャンルのスタイルをできるだけ取り入れて、すべてを一緒にするっていうこと。で、フィルムのタイプを変えてシークエンスごとに白黒にしたりカラーにしたりアニメにしたりしたけど、それは俺が頭がいいといった点をひけらかすためにやったわけじゃない。俺にとっては、そういうことが可能な世界をまず作るのが大事だったんだ。この映画はなんでもアリっていう状況を創り出すことがね。確かにテクニックやルックやジャンルは変わっていくけど、それらの間にはちゃんと感情の流れがある。この映画が語るのは、はザ・ブライドというキャラクターの旅だからさ。『Vol.2』を見てもらえれば、それがよくわかると思うよ」

こうしてチャプターごとにガラリと色を変える「キル・ビル」は、2本の映画として完成。「Vol.2」はマカロニ・ウェスタンと香港カンフー映画のカラーがたっぷり楽しめる、「Vol.1」以上にタランティーノらしい大傑作だ。彼にとって、カンフー映画における憧れのヒーロー、ゴードン・リュー(リュー・チャーフィ)との仕事は「やってていちばん興奮した」ところだったという。

パイ・メイ役のゴードン・リュー(左)は 「Vol.1」ではクレイジー88のリーダーを演じていた
パイ・メイ役のゴードン・リュー(左)は 「Vol.1」ではクレイジー88のリーダーを演じていた

「今回、彼にパイ・メイをやってもらって正解だったよ。ショウ・ブラザースの製作したカンフー映画で、ゴードン・リューはいつもヒーローだったんだ。いつもパイ・メイみたいな悪役と戦ってたわけさ。だから彼がカムバックしてパイ・メイとして登場するっていうのは、あのジャンルや彼のキャリアに対する最高のオマージュになったんだ! 本当はこの役、俺が自分でやるつもりでトレーニングもしたんだけどね。吹き替えだけ自分でやろうと思ってた時期もあったんだけど、時間が経つにつれてゴードン・リューの演技に惚れ込んじゃってさ。それで俺は、初めて彼に自分自身の声で、アメリカで演技させた男になりたいと思うようになったんだよね」

観客にとって最大のお楽しみは、タランティーノならではの濃いキャラクターとセリフがふんだんに用意されているところだろう。「Vol.1」とはまるで違うトーンで、深く複雑に展開する「Vol.2」に「待ってました!」と叫びたくなるファンも多いはず。しかもビルとザ・ブライドの関係には、サムライ魂とロマンティックな要素が生きている!

ザ・ブライドとビルの関係は?
ザ・ブライドとビルの関係は?

「1年半脚本を書いている間にアイディアはいろいろと変わったけど、その間ザ・ブライドと一緒に俺も旅してたんだ。彼女に恋してたからさ。ビルとの間に何が起こるか、俺自身もワクワクしながら書いてたね。ここで起こるのは、ただの派手なアクションじゃないってことはわかってた。2人が心のやりとりをするってことはね。この2人には、かなり俺って人間が投影されてる。そう、俺ってけっこうロマンティックな人間なんだよ!」

「Vol.3」の予定は?

「いろんなサブストーリーが頭の中に出来上がってるから、可能性はあるよね。まずはコミックブックでやろうかなって考えてるよ」

インタビュー2 ~マイケル・マドセン インタビュー
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