ヒストリー・オブ・バイオレンスのレビュー・感想・評価
全22件中、21~22件目を表示
アレレ
クローネンバーグは映画を趣味に見始めた当初、これが名匠の作品か~。さっぱり、わからんな~。って観てました。純粋だったあの頃に戻りたい。
さてほぼ意味がわからん映画を撮る監督と認識が出来た今、急に意味が分かるようになってくるのも映画の不思議。この映画の意味は殴られたやつは覚えている。です。
暴力での紛争解決は中途半端では止まらないこと、過去は清算しにくいこと。これらはそれこそ自分が作ってきた映画こそそうなんじゃねえの。と言いたいところですが、それはさておいてこの作品、なかなか見ごたえのある映画になっています。なによりアクションシーンがなんかこう魅惑的で甘美なように演出されており、暴力の持つ魅力を十分に引き出しながらかつ暴力を否定的に扱うという離れ業、もしかしてクローネンバーグ本当に名匠だったのかもしれません。
絵に描いたような幸せな家族の光景に引き込みつつ、それらを一瞬で消し去る暴力の存在を匂わせる。シュワ様であれば家族の為に大奮闘して大団円を見せるわけですが、この場合はその解決方法になんとも言いがたい後味の悪さと不思議な爽快感。ついでに終わりなど来ないのでは無いかというそわそわした空気を漂わせつつ。時間が来ましたとばかりにタイムカードを押すかのような終わり。
因みに主人公は二重人格ではありません。それは息子が同級生を殴るシーンで説明されています。もとよりそっちよりの人間です。私の人間観ではなくて映画のコードの問題です。
思うにこの唐突なエンドは終了を表すのではなく、連鎖・継続を漂わせているのだと思います。つまりどこで切っても同じであるということ。主人公がこの先どうなるのかではなくて、人の歴史はどこを切り取っても~というやつでしょう。
けして万人に向く映画ではありませんが、クローネンバーグにしては比較的万人向けの良作です。
消した歴史
主人公を演じたビゴ・モーテンセンは、
妻に理不尽な扱いをされ、かなしい顔をするのがとても似合う、と個人的に思っているので
今回も妻に理不尽な目にあわされていて、すごく良かったです。
人格のスイッチの切り変わりがよく分からなくて・・・いまいち。
トムが自分の過去を否定したくて、二重人格だと思い込んでいる可能性も無きにしもあらずですが、本当に二重人格なら、もっとはっきり分かるようなギミックを取り入れても良かったのではないでしょうか。
最後、日本映画なら『お帰りなさい』と一言言えば締まるのですが
英語ならなんて言って終わりにするだろう、とワクワクしてみていたら、
呆気なく、すかされた感じです。
まあ、十分行動で『家族の許容』は伝わってきたから良いっちゃあいいのですけど。
トムはあれで最後と思って家族団欒に戻りました。
しかし、マフィアというものは、ゴキブリの様に一匹いたら二十匹いるものです。
全てを殺し切っていない、ということを彼は分かっているのでしょうか。次から次へと湧いてくるでしょう。
そこらへんは映画後の話になりますが、その見通しが彼にないのか、それとも私が彼の考えを理解できていないのか。
中盤から終盤にかけて彼の考えが全く分からなくなります。
表情を見て、ああ悲しそう、と思ったりはしますけど。思考がよく分からないです。
本当に衝動的に生きているだけ、なのかもしれない。
トムもジョーイもどちらも現実を見てないのかも・・・
トムは現状維持タイプ
ジョーイは快楽主義タイプ
ふうむ、事件解決には向いていないですね。
全22件中、21~22件目を表示