シカゴ : 映画評論・批評
2003年4月15日更新
2003年4月19日より丸の内プラゼールほか全国松竹系にてロードショー
ゼタ=ジョーンズのビッチぶりに拍手
ビッチを演じれば、おそらくハリウッド・ナンバーワンのキャサリン・ゼタ=ジョーンズ。その彼女が本領を発揮したのがこのミュージカルだ。
浮気した夫と自分の妹を殺し、そのあとすぐに舞台に立って歌い踊る。しかも豊満なボディをフルに見せつける大迫力で。まさに<ショウ・マスト・ゴー・オン>を体現したようなこのオープニングから、われわれの目は彼女に釘付けになる。刑務所に入ってからの女名主状態も、ビッチの面目躍如で何とも小気味いい。それは、ああ、ビッチに憧れちゃうかも……何て女性が出てきても不思議じゃないくらいだったりする。
それに比べると、主演のレニーはひ弱過ぎて存在が薄く、なぜ彼女がオスカーにノミネートされたか不思議なほど。実際、本当に踊り歌うのもフィナーレだけで、ほかはモンローを気取った(って胸のほうはちがいますが)つぶやくような歌と、申し訳程度のタップを踏むだけだ。まあ、それがまたキャサリンを引き立てることになっているのだけど……。
演出のほうは、退廃や官能とはほど遠いが、構成が巧み。唐突に歌い出す、あの違和感を払拭したのは偉い。つまり、ミュージカルが苦手な人もOKということだ。
(渡辺麻紀)