ニッケル・ボーイズ

配信開始日:

解説・あらすじ

1960年代アメリカに実在した少年院を舞台に黒人の少年が体験した過酷な状況を描いて全米で話題を集め、ピューリッツァー賞を受賞したコルソン・ホワイトヘッドの長編小説「ニッケル・ボーイズ」を映画化。

ジム・クロウ法という人種差別的内容を含むアメリカ南部諸州の州法が存在した1960年代のフロリダ州タラハシー。真面目で成績優秀なアフリカ系アメリカ人の少年エルウッド・カーティスは、ある時、ヒッチハイクで乗せてもらった車が盗難車だったことから、運転手の共犯として警察に逮捕され、有罪判決を受けてしまう。未成年のエルウッドは更生施設「ニッケル・アカデミー」に送られ、そこでターナーという少年と出会う。ニッケル・アカデミーでは黒人の少年たちに対する信じがたい暴力や虐待、運営者たちの腐敗が横行しており、そのなかで生き抜くためにも、エルウッドはターナーと友情を育んでいくが……。

エルウッド役はNetflixドラマシリーズ「ボクらを見る目」のイーサン・ヘリス、ターナー役は映画「ザ・ウェイバック」などに出演したブランドン・ウィルソン。共演に「別れる前にしておくべき10のこと」のハミッシュ・リンクレイター、「グラディエーターII 英雄を呼ぶ声」のフレッド・ヘッキンジャー、「ブラインドスポッティング」のダビード・ディグス、「ドリームプラン」のアーンジャニュー・エリス=テイラー。監督・脚本は、これまで主にドキュメンタリーを手がけてきたラメル・ロス。Amazon Prime Videoで2025年2月27日から配信。

2024年製作/140分/アメリカ
原題または英題:Nickel Boys
配信:Amazon Prime Video
配信開始日:2025年2月27日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第82回 ゴールデングローブ賞(2025年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
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2月27日(木)よりPrime Videoで独占配信開始 (C)2024 Amazon Content Services LLC. All Rights Reserved.

映画レビュー

4.0視点を共有し、共に感じ、掘り下げること

2025年3月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

これは60年代初頭の米南部を舞台にした物語だ。登場人物やエピソードはフィクションではあるものの、ニッケル校の実態は、実在のドジアー男子学校での出来事と一致する。つまりリアリズムや告発という位置づけを持つのだが、しかし本作は単に事実を伝えるのではない。むしろエルウッドとターナーの「第一人称としての視点」を際立たせたアーティスティックな構造で語られる点に留意したい。食堂シーンでふと二人の視点が反転することに象徴されるように、彼らにとっての「I」と「YOU」は運命論的にいって極めて不可分のもの。そして彼らのみならず「主人公」と「観客」もまた、じっくり視点を共有し、同じ心の機微を感じ合う関係性にある。そういった意味でも、本作はアフリカ系アメリカ人の記憶として線引きするのではなく、時折映し出される発掘作業のように一緒になって記憶を掘り下げゆく物語。やや分かりにくいラストの反転もしっかり噛み締めたい。

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牛津厚信

4.0移動するPOVショットが映し出す恐るべき矯正施設の実態

2025年2月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

1962年のアメリカ、フロリダ州のタナハシー。人種差別が露骨なこの時代に、未来に夢を抱く少年のエルウッドは、たまたまヒッチハイクで乗った車が盗難車だったために、矯正施設のニッケル・アカデミーに送られる。そこは、施設内でも人種差別が当たり前で、人種によって暮らす空間が区別され、黒人少年たちは言われのない暴力に耐えながら、日々、死の恐怖と闘わなければならなかった。これは、アメリカ南部に於いて19世紀後半から20世紀初頭まで施行されていた"ジム・クロウ法"の下で、必死にもがき続けた少年たちの物語だ。

カメラはエルウッドの主観から、途中で他者の主観に移り、時には主人公の背後に回る等しながら、観客をその場に居るような錯覚に陥らせる。また、随所にその時代のニュース映像や、エルウッドが崇拝するシドニー・ポワチエ主演の『手錠のまゝの脱獄』(1958年)のタイトルクレジットを映し出す。特に、徐々に施設で行われていた残虐行為の実態をリポートする本物のニュース映像が物語る壮絶な歴史の暗部は衝撃的で、観ていて言葉を失う。

でも、エルウッドは生まれながらに人間としての尊厳に溢れ、ジェーン・オースティンの『プライドと偏見』を愛読する知的な青年だ。そこに救われるし、作り手たちの強い怒りと静かな抗議が観る者の心に深く伝わる理由でもある。

歴史の検証を手掛かりにした新たな差別撤退を謳う本作。本年度のアカデミー作品賞候補10作の中の1本に選ばれたのも納得だ。

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清藤秀人

3.0表現の前衛さが、語るべき歴史を追い越した?

2025年3月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

難しい

 狭い舞台小屋で、球場全体や野球の試合を描写するのは難しいので、スタンドの一角にだけを切り取った会話劇に仕立てた着想は秀逸。学生が抱える不完全燃焼や、好きが行き違う淡い恋模様も甘酸っぱい。
 ただ予算の制約があるとしても、映画にはダイアモンドに居る選手達を映せぬ物理的制約はない。実際映画では、主要人物以外にも吹奏楽部や多くの観客が映し出される。にも関わらず、選手だけを頑なに映さないのには違和感もある。狭い芝居小屋では云わずもがなだったexcuseが、映画版には必要な気がした。

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LittleTitan

3.5色々と解説必要。

2025年3月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

カメワークが主人公エルウッドやターナーの目線なので、とても興味深く観ていたが、何しろ視界が狭くて全体像が分かりにくく、ストーリーを把握しにくい部分もあったので、解説記事を読んで、やっと色々分かった。
映像として見せずに、見る者の想像力に任せる描写も多くて、難易度高い。

生き抜いた少年は誰だったのか。

分からないままでも作品としては価値のあるものだったが、解説を読んで色々合点がいったし、より感動的に感じた部分もあったので、Yahooの「徹底解説」という記事でも鑑賞後読むとスッキリするかも。

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クリストファー