フライト・リスク

劇場公開日:2025年3月7日

フライト・リスク

解説・あらすじ

メル・ギブソンが、アカデミー賞6部門ノミネートを果たした「ハクソー・リッジ」以来、9年ぶりに手がけた監督作。アラスカ上空1万フィート(約3キロメートル)を飛ぶ飛行機の中で繰り広げられる、命懸けの騙し合いを描く。

保安官補のハリスは、ある事件の重要参考人のウィンストンを、アラスカからニューヨークまで航空輸送する任務に就く。初顔合わせとなったベテランパイロットのダリルは、陽気な会話でハリスの緊張をほぐしていく。離陸した機体は、壮大なアラスカ山脈の上空1万フィートまで上昇。頼もしいダリルの腕前もあって、順風満帆なフライトになるかに思えた。一方、後部座席につながれたウィンストンは、足もとにパイロットライセンス証が落ちているのを見つける。そのライセンス証の顔写真は、いま飛行機を操縦しているダリルとは全くの別人のもので……。

パイロットのダリルをマーク・ウォールバーグ、ハリス保安官補をミシェル・ドッカリー、重要参考人ウィンストンをトファー・グレイスがそれぞれ演じた。

2024年製作/91分/G/アメリカ
原題または英題:Flight Risk
配給:クロックワークス
劇場公開日:2025年3月7日

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映画レビュー

3.5 B級シチュエーションスリラーと割り切って楽しむのが吉

2025年3月8日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

単純

興奮

メル・ギブソン監督作だから、マーク・ウォールバーグが出演しているから、と期待値を上げすぎないほうがいい。本編の9割方がアラスカ上空を飛ぶ小型輸送機(セスナ208Bグランドキャラバン)の機内で進行する、ちょっと変わったワンシチュエーションスリラー、しかも予算もそれほどかかっていないB級娯楽作と割り切って観るなら、相応に楽しめるだろう。

パイロットのダリル役でウォールバーグが1番にクレジットされているが、実質的な主人公は女性保安官補ハリス。演じたミシェル・ドッカリー、移送される重要参考人役のトファー・グレイスをあわせた3人のアンサンブル演技も悪くない。メルギブはバイオレンス演出も得意なはずだが、拘束されたダリルをハリスが何度もぶん殴るシーンは実際には当ててないのが見え見えで、やや迫力不足。それでも、コックピットでの取っ組み合いなどは機体が急降下する状況も相まって結構ハラハラさせられた(ところで、ほぼ真っ逆さまに落ちている機体の中で、気を失った人物が機内の後方に数メートル放り出される場面があるけれど、これは物理法則に反している。走行中の新幹線の車内で手に持っている物を放しても、後方に飛んでいかないのと一緒)。

機上のシークエンスは大きなスタジオの中で撮影されている。回転台の上にセスナを設置し、そのまわり270度の範囲を大型LEDパネルでぐるりと取りかこみ、そこに機内から目にするアラスカの山々や雪原といった景色の高精細映像を映し出したという。撮影のために何度もセスナを飛ばすことを考えれば大幅なコストダウンになったはずだし、キャストとクルーを揃えて飛ばしたのに悪天候で撮影できないというリスクとも無縁。ハイテクを活用する撮影技術の普及によって、B級スペクタクルのバリエーションも広がっていくなあ、なんてこともしみじみ感じた。

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高森郁哉

3.5 意外な緊張感有りました

2026年1月4日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

ミシェル・ドッカリーが兎に角良くて、集中します。
閉じられた空間での緊張感、何とも嫌なものですね。

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鈴木かごめ

1.5 役者時代に何してた?

2026年1月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

野球で例えるならば名選手が必ずしも名監督になり得る訳ではない

現役の時に培われたり感じた土台が人間性として映像に計算されない所まで映し出されるならば、監督として細心の注意をもって作る上げて欲しいもの

権力モノやドタバタものは諦めて、本人が潜在的に感じてた「差別」や「家族愛」みたいなテーマ(確かオーストラリアの田舎出身でしょう?)にした“アボガリプト”は傑作中の傑作を作れる人なだけに残念な作品にしか見えませんでした~😅

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Ducky

4.0 娯楽枠

2025年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

フライト・リスク──密室劇の緊張と、閉ざされた想像力

セスナ機という極限の密室で、時間と死が迫る。『フライト・リスク』(2025)は、メル・ギブソン監督が仕掛けたパニック・スリラーである。
この作品は、いくつかの型を巧みに組み合わせている。密室劇、パニック、そして「オフスクリーン・ナラティブ」──視覚を制限し、音声で世界を広げることで観客の想像力を最大化する手法だ。
電話や無線を通じて、見えない外界の脅威が忍び寄る構造は、『ウォー・オブ・ザ・ワールド』(2014)を想起させる。

主人公は保安官補マドリン。
しかし、敵役ダリルにマーク・ウォールバーグを起用したことで、視点は自然と彼に集まる。
これは『羊たちの沈黙』の型に近い。クラリスの背後にレクター博士がいたように、この作品も「異常者の存在感」で緊張を支える。
しかし惜しいのは、ダリルの過去が語られないことだ。彼はなぜモレッティに忠誠を誓うのか?なぜ殺すことに執着するのか?その心理の深淵は閉ざされたままだ。

物語は娯楽として完成している。
スリルは十分、プロットも破綻しない。アラスカという舞台設定が、FBIではなく保安官を捜査の中心に据える必然性を生んでいる点も面白い。司法取引をしたウィンストンの人物像もよく描かれている。

だが、この映画には「考える余白」がない。
観客に問いを投げる構造が欠けているのだ。
過去に私は『不都合な記憶』を評して「この作品そのものがAIによるテストだったのでは?」と想像した。そうしたメタ的な解釈の余地、本作には存在しない。

密室劇の緊張はある。
しかし、その密室は観客の思考まで閉ざしてしまった。
映画的技巧は確かにある。だが、思想的な射程は短い。娯楽としては優秀だが、哲学的深みを求める者には物足りないだろう。

『羊たちの沈黙』が、クラリスの等身大を「実際の事件」で着地させつつ、その背後にレクターという巨大な存在を横たえたように──この作品にも、それが欲しかった。

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