「中身も満タンにしてくれた街」カーズ movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
中身も満タンにしてくれた街
赤い車が出てくるという事以外何も知らずに鑑賞。
主人公ライトニングが最初とにかくめちゃやなヤツ!
傲慢で自分勝手で。スピードは確かに速いけど、ファンがいるのが不思議なくらい。なにが、カチャー!だ?!
誰に育てられたらこうなるのか知りたいレベル。
チームメンバーにも愛想をつかされたり、自分が蒔いた種で困った事になったりして、迷い込んだラジエータースプリングという廃れた街。
昔はドライブの立ち寄りどころとして繁盛していたが、高速が走った事により通過点となり過疎化。
その街をライトニングはめちゃくちゃに破壊し、道の舗装を直す指示をされても早く街を出てレースに向かう事しか考えず雑な作業をするのだが、ミーハーでもファンでもない、ごくごく普通の一般人の視点をこの街のキャラクター達が担い、ライトニングに正論を示しつつも彼の態度を見守っている。
都会から来て居着いた弁護士ポルシェがいたり、判事や警察がいたりと、社会的にライトニングより上の立場で制裁できる存在が集まっているのがポイント。彼らの指示はライトニングにとって絶対ながらも、村社会のあたたかみもある。若造で幼い人格なところを責めずに、ライトニングの身勝手さに呆れつつも
「彼は良いものを持ってる」
なんて言ってくれる他人、なかなかいないよこのご時世。
そして、新人ライトニングが喉から手が出るほど優勝したいピストンカップを3度も制した存在が実は街に。
故障後戻ったらレースには居場所になかったと言っていたが、実力はそのまま。ラジエータースプリングの、4WDで運転するべきと思うようなむき出しの粗いデコボコ道でライトニングを鍛えてくれる。なんと親切な!
そして、柳沢慎吾みたいなキャラのレッカー車メーター。出っ歯でピントが外れたことをよく喋る気が抜けたキャラだが、ライトニングの友達になってくれる。二台連れ立って草むらで眠る農機を驚かせてひっくり返したりして遊ぶのだが、なぜか憎めない。
最後は、ピストンカップで優勝間違いなしのところで、スピンしたライバルを助けに行って2番になるという子供向けお決まりの美談オチ。
一切人間が出てこず、擬人化された車達が繰り広げるアニメーションが面白かった。