オークション 盗まれたエゴン・シーレ

劇場公開日:

オークション 盗まれたエゴン・シーレ

解説・あらすじ

ナチスドイツに略奪されたエゴン・シーレの絵画「ひまわり」を巡って美術オークションの世界で繰り広げられる駆け引きの行方を、実話にインスパイアされて描いたフランス映画。

パリのオークションハウスで働く競売人アンドレ・マッソンは、エゴン・シーレ作と思われる絵画の鑑定を依頼され、元妻で相棒のベルティナとともにフランス東部の工業都市ミュルーズを訪れる。絵があるのは、化学工場に勤める青年マルタンが父亡き後に母と2人で暮らす家だった。シーレほどの著名作家の絵画はここ30年ほど市場に出ておらず、当初は贋作を疑うアンドレだったが、現物を見てシーレの傑作であることを確信。思いがけず発見された名画を巡り、さまざまな思惑を秘めたドラマが動きだす。

小説家・映画監督・コメディアンとして活躍するアレックス・ルッツが競売人アンドレ、「ジュリアン」のレア・ドリュッケールが相棒ベルティナを演じた。監督・脚本は、ジャック・リベット監督作の脚本や「華麗なるアリバイ」などの監督作で知られるパスカル・ボニゼール。

2023年製作/91分/G/フランス
原題または英題:Le tableau vole
配給:オープンセサミ、フルモテルモ
劇場公開日:2025年1月10日

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(C)2023-SBS PRODUCTIONS

映画レビュー

3.5【エゴン・シーレの”ひまわり”が、貧しい家の中で見つかった事で巻き起こる、様々な人々の欲望の形をシニカルテイスト満載で描いた作品。真の貧富の意味や、嫌味な男が人間性を取り戻す様も描いています。】

2025年3月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

幸せ

■パリの化学工場で夜勤シフトで働く青年マルタン(アルカディア・ラデフ)の家で、エゴン・シーレの”ひまわり”らしき絵が見つかる。
 オークション・ハウスで働く抜け目のない有能な競売人、アンドレ・マッソン(アレックス・リュッツ)は、その絵画の鑑定依頼を受ける。当初は贋作と疑ったアンドレだが、念のため、元妻で相棒のベルティナ(レア・ドリュッケール)と共に、マルタンの家を訪れる。
 現物を見た2人は驚き、笑い出す。それは間違いなく且つて、ナチス・ドイツが略奪したシーレの傑作”ひまわり”だったのだ。思いがけなく見つかったエゴン・シーレの絵画を巡って、さまざまな思惑が動き出す。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・冒頭から、アンドレ・マッソンがムッチャ自覚無き嫌な奴である。研修生のオロール(ルイーズ・シュヴィヨットィ)との会話は、彼が意図せずに上から目線で話す為、険悪である。
 そして、到頭”貴方が嫌い!”とまで言われて、職場を去られるのである。

・物語は、結構分かりにくい。オロールと本当の父親の関係なども描かれつつ、自信家のアンドレ・マッソンが、見事に騙されそうになって、酒浸りになったり、けれども、それをオロールに助けられたりするのである。
 ハッキリ言って、もう少し上手く脚本が書けないもんかなあ、と思いつつ、アンドレ・マッソンが酒をかっ喰らって、伸びている姿などを楽しく鑑賞する。(私も、相当に嫌な奴である。)

・だが、マッソンはオロールに詐欺に騙されそうになったところを助けられ、見事にオークションでシーレの傑作”ひまわり”を、高値で売りさばくのである。
 そして、彼は会社から、その報酬として会長職を提示されるが、それを断り会社を辞め、元妻と仕事をする事を決めるのである。

・今作で爽やかなのは、パリの化学工場で夜勤シフトで働く青年マルタンの態度である。高額で売れたのに、母のために家を買い、自分のためにはエレキギターを買っただけで”生活を変えたくない。”と言い、夜勤の仕事を続けるのである。
 宝くじに当選し、多額の金を手にすると身を持ち崩す人が多いという話は偶に聞くが、マルタン君は大丈夫だね。賢く、優しい青年であるよ。

 <今作は、エゴン・シーレの”ひまわり”のオークションを通して、真の貧富の意味や、様々な人の欲の形を多少シニカルに描いた作品なのである。>

<2025年3月23日 刈谷日劇にて観賞>

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共感した! 6件)
NOBU

4.0良質な作品

2025年3月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

知的

はじめエゴン・シーレの絵画鑑定依頼が弁護士のエゲルマンから来た時に偽物とアンドレとベルティナが疑ったのは、まず市場には出てこないからです。ましてやタブロー(油絵)などは、お目にかかれません。個人コレクターが圧倒的に少なく、主要作品は、ほとんどレオポルド・コレクションが所蔵しております。
前に東京でシーレ展がありましたが、ほとんどはレオポルドさんからの貸出しでしょう。

「オークション」予告編を観て面白そうと思い観に行きました。
過去に予告編を観て過度な期待に反した事が、ありました・・・「ジ⚪︎ーカー」「関◯領域」あぁ予告編の方が面白かったなぁ〜
今回は予告編通りに面白かったです。(とうとう私の予告編ジンクスは破られました)
しかし今回、映画評論家からは完全スルーですね〜まぁ、どうでもいいですけど
(ここで言う評論家とは町◯智浩さん、宇◯丸さん、コ◯ブキツカサさん)
彼らは「理想郷(村八分ホラー)」や「雄鶏鳴くころに(警察は何の役に立たないホラー)」のようなアクの強い作品を好むんでしょうね。正直この手の作品は苦手!
しかし「オークション」も視点を変えればシーレの「ひまわり」の来歴が
フランスが隠したい黒い過去・・・フランスの警察がナチスのユダヤ人狩に加担していた。そういえば前に日本の某大手新聞社がフランス政府(だったかな)に取材に行ったときに、◯◯美術館にあるシャルダン(17世紀頃のフランス画家・静物画で有名)の作品は、
ユダヤ人財閥◯◯家の所有だったそうですがナチスに・・・と言った途端、相手は
血相を変えて突然取材を打ち切ったそうです。
なんかうしろめたい事が、ありそうですね。
この映画では、その辺は当事者が亡くなったというところでサラリと流しました。
たまたま、その絵を引き継いだ若者は呪われた絵は遺族に返還したいという事で、
良かったわけですが。遺族であるワルベルグ家は別にお金に困ってそうでないのに、
オークションに出品したのは腑に落ちないなぁ・・・
余談ですが変な寿司の食べ方だな〜🍣

追伸:ジャック・リベット監督「彼女たちの舞台」に出てたロランス・コートが青年マルタンの母親役で出ていたとは全く気がつきませんでした。なんか雰囲気変わったなぁ〜
まぁ彼女が健在という事で星4つに繰り上げました⭐️

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共感した! 4件)
naoki

芸術か経済か

2025年2月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 フランスの田舎町の工員が持ち込んだ絵は時価数十億円のエゴンシーレ作「ひまわり」だったという実話に基づくお話。その絵が本物であるか否かは、それが価格を左右するからと言うだけの理由であり、エゴンシーレの人生とは何の関係もなく慾と経済原理だけが「芸術的価値」を決めて行く。

 現実には、この絵は2006年のオークションで1176万8千ポンド(22億円)で落札されている。この絵を発見した画商は、その芸術的価値故に興奮したのか、経済的価値故に震えたのか分からないよね。

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La Strada

4.0間違いなく引き込まれる

2025年2月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

さすがはパスカル・ボニゼール!ストーリー展開にそつがなく見応え十分な佳編。敢えて言うと元妻の新恋人の部分は蛇足か。
インターン役のルイーズ・ショヴィヨットはヴァーホーヴェンの「ベネデッタ」で修道女の一人を演じてた女優さん。私のお気に入りです。今回は不機嫌ハラスメントで虚言癖のある難キャラでしたが、すごく頑張ってました。

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sugar bread

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