ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件

劇場公開日:2025年1月24日

ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件

解説・あらすじ

トニー・レオンとアンディ・ラウが「インファナル・アフェア」シリーズ以来、およそ20年ぶりに共演した作品で、1980年代の香港バブル経済時代を舞台に巨額の金融詐欺事件を描いた。

イギリスによる植民地支配の終焉が近づいた1980年代の香港。海外でビジネスに失敗し、身ひとつで香港にやってきた野心家のチン・ヤッインは、悪質な違法取引を通じて香港に足場を築く。チンは80年代株式市場ブームの波に乗り、無一文から資産100億ドルの嘉文世紀グループを立ち上げ、一躍時代の寵児となる。そんなチンの陰謀に狙いを定めた汚職対策独立委員会(ICAC)のエリート捜査官ラウ・カイユンは、15年間の時間をかけ、粘り強くチンの捜査を進めていた。

凄腕詐欺師チン・ヤッイン役をトニー・レオンが、執念の捜査官ラウ・カイユン役をアンディ・ラウがそれぞれ演じる。監督、脚本を「インファナル・アフェア」3部作の脚本を手がけたフェリックス・チョンが務めた。香港で興行ランキング5週連続1位となるなど大ヒットを記録し、香港のアカデミー賞と言われる第42回香港電影金像奨で12部門にノミネートされ、トニー・レオンの主演男優賞など6部門を受賞した。

2023年製作/126分/G/香港・中国合作
原題または英題:金手指 The Goldfinger
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
劇場公開日:2025年1月24日

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(C)2023 Emperor Film Production Company Limited All Rights Reserved

映画レビュー

4.0スコセッシ映画との呼応、ゼメキス風VFX添え

2025年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

興奮

知的

まず驚かされるのが、香港市場最大規模の企業犯罪とされる実際に起きた事件が本作のモデルになっていること。また映画ファン的な注目ポイントは、「インファナル・アフェア」で宿敵同士を演じたトニー・レオンとアンディ・ラウが20年ぶりに共演する点と、「インファナル~」3部作で共同脚本を手がけたフェリックス・チョンが監督・脚本を務めている点だろうか。

トニー・レオンが演じる主人公チンのモデルになった陳松青(英名ジョージ・タン)は、シンガポールで破産したのち1970年代後半に香港で起業、わずか数年で数十億ドル規模の企業グループ佳寧集団(キャリアン・グループ)を築き上げる。しかし急成長の裏で、不動産取引がらみの不正会計、インサイダー取引、贈賄といった具合に数多くの犯罪が行われてきた。ただしこの事件について、中国語圏以外では意外なほど情報が少なく、Wikipediaでは中国語版で「陳松青」「佳寧集團」「嘉寧事件」があるのみ(ブラウザの翻訳機能などを使えば概要はつかめる)。日本語メディアでは、Business Insiderの「トーマス・クック、リーマン、パンナム…歴史に残る9つの企業崩壊」と題された翻訳記事で短く紹介されていた。

さて、稀代の詐欺師チンの不正を暴こうと執念を燃やすのが、汚職対策独立委員会(中国語名:廉政公署、英名Independent Commission Against Corruption: ICAC)の捜査官ラウ。このICACは日本の観客の大半に馴染み薄と思われるが、職能としては検察庁に属する特別捜査部と内閣府の下部組織である公正取引委員会を足した感じだろうか。ただしICACの場合は独立した委員会で、責任を負うのは首長(映画の舞台となる時代では香港総督、返還後は香港行政長官)に対してのみ、銃の携行も許可されているので、作中で描かれるように凶悪犯とも直接対決する強い執行力を伴うようだ。

「インファナル・アフェア」での役どころはトニー・レオンがマフィアに潜入した警察官ヤン、アンディ・ラウが警察に送り込まれた構成員ラウだったので、本作での正義漢と悪漢を入れ替えた配役も心憎い。さらに、詐欺の手口により財界で成り上がっていくピカレスク映画のスタイルに、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」との類似点、さらには同作のマーティン・スコセッシ監督との縁に思いを馳せる観客も多そうだ。スコセッシといえば、「インファナル~」をハリウッドでリメイクした「ディパーテッド」を2006年に監督。そして2013年のスコセッシ監督作「ウルフ・オブ~」と似た物語要素を持つ今作「ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件」を、今度はフェリックス・チョン監督が作った。なにやら「インファナル~」キャスト・製作陣とスコセッシ映画との創造的な呼応が続いているようで、映画ファンとして嬉しいポイントだ。

ハリウッド映画との関連でもうひとつ。70年代末から80年代にかけての時代を再現したレトロ感のある映像にキャラクターを合成したり、開発事業を拡大させるチンが“大物”になっていく象徴的な姿をミニチュア風の動く街並みと対比させて表現したりといったVFXの使い方が、ロバート・ゼメキス監督の「フォレスト・ガンプ 一期一会」や「マーウェン」などを想起させ、70億円以上とされる製作費のぜいたくな使いっぷりに驚きつつ羨ましく思った。

ただし、2大スターの再共演という点では、アンディ・ラウが演じた捜査官が相対的にキャラクターが弱く、「インファナル~」の宿敵同士が命懸けで対峙する迫力に比べて対決の見せ場が少々物足りない。

懐かしいポイントとしては、チンの絶頂期のどんちゃん騒ぎでボーイズ・タウン・ギャングのカバーバージョンの「君の瞳に恋してる」(Can't Take My Eyes Off You)が流れるシーン。日本でも1982年頃から大ヒットして、ディスコや街中で、テレビやラジオでしょっちゅう流れていたのを思い出した。あの曲が日本と同様に香港でもバブリーな記憶と結びついているのかと思うと、ちょっと親近感がわいた。

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高森 郁哉

4.0レオンとラウの立場が逆転したかのようなキャスティングが心憎い!

2025年1月16日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

興奮

幸せ

香港ノワールの傑作「インファナル・アフェア」(2002)、続くシリーズ「インファナル・アフェアII 無間序曲」、(2003)「インファナル・アフェアIII 終極無間」(同)以来20年ぶりにトニー・レオンとアンディ・ラウが共演したというだけでも映画ファンにとっては胸アツな作品ですが、2020年代に入り、香港映画が新たな潮流に入ったことを証明するような象徴的な一本でもあります。

1980年代の香港バブル経済時代を舞台に巨額の金融詐欺事件を描く金融エンタテインメント。「インファナル・アフェア」では警察官役がレオン、マフィア役がラウでしたが、本作では詐欺師役をレオン、捜査官役をラウが演じており、立場が逆転したかのようなキャスティングが心憎いです。

社会の必要悪とは何なのか。はじめは明確に異なる立場であったはずの二人が、やがて正義と悪が曖昧になっていくことで、信じていたものが少しずつ交わっていく。いつしか二人は写し鏡のような関係となり、入れ替わってもおかしくない、一人の人間から分裂したような男の生き様は、「インファナル・アフェア」でも描かれていました。同3部作の脚本を手がけたフェリックス・チョンが本作の脚本と監督を手掛けており、未見の方は是非見比べてください。

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和田隆

3.0金融無間道

2025年8月7日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

興奮

難しい

トニー・レオン×アンディ・ラウ! 『インファナル・アフェア』以来約20年ぶりの共演。
それだけでも激アツなのに、監督は『インファナル・アフェア』で脚本を務めたフェリックス・チョン、スリリングな香港年代史…。
期待されていたようで、本国香港では大ヒット。多くの賞も受賞。
時代設定は『インファナル・アフェア』(1990年代)を遡り…

イギリス植民地時代も終わりを迎えた1980年代の香港。
トニーは、海外でビジネスに失敗し香港に戻り、悪質詐欺でのし上がっていく男。
アンディは、彼を追う捜査官。
15年に及ぶ二人の男の攻防。

『インファナル・アフェア』とは逆にしたキャスティングが難い。
ワルだけどスマートなカッコ良さを併せ持ったトニー。
対するアンディは抑えた演技で信念と正義感を貫く。
初共演から20年余、二人のキャリアはさらにアップ。
特にトニーは、『HERO』『レッドクリフ』などヒット作に出演し、海外進出も果たし、ようやくハリウッドデビューとなったMCU映画『シャン・チー』ではさすがの存在感。
アンディも、ジャンル問わず主演助演問わずの安定ぶり。個人的には黒幕役でサプライズ登場した『唐人街探偵』の新作が早く見たいぞ!
全く衰えぬどころか円熟を増した二人の再共演と演技バトルはやはり本作最大の見所。

フェリックス・チョンの演出は、ノリノリナイスな選曲センスや意外やユーモアやトニー演じる男のユニークな武勇伝で、シリアス&スリリングな中にも緩急を付け、エンタメ性充分。
『インファナル・アフェア』に続くまた新たな名作を生み出した!…と言いたかった所だが、

どうしても点数低めなのは、やはりその金融世界設定。
証券取引場でのお金の動き、何をどうやって罠に嵌めたのか、詐欺の手口…。話がお金の動きにまつわると途端にこんがらがってくる。そこに人間関係も絡み…。
何分昔からお金の動きに疎く、こういう世界の作品は苦手で…。
『インファナル・アフェア』の方が良かった…とは言わないが、分かり易さやドラマチックさはあった。
本作もエンタメ性、80年~90年代の雰囲気、香港二大スターの熱演などは良く見応えあったが、やはり苦手意識は変えられなかった。

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近大

4.0目の保養!

2025年8月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

トニー・レオンとアンディー・ラウ好きにはたまらんです。絵も良い!アホっぽいのも最高!

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unpyon

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