ぼくとパパ、約束の週末

劇場公開日:

解説

自分の好きなサッカーチームを決めるため、ドイツ国内のスタジアムを巡る自閉症の少年とその父親の旅を実話に基づいて描き、本国ドイツで100万人を動員するヒットとなったヒューマンドラマ。

幼い頃に自閉症と診断された10歳のジェイソンは、生活に独自のルーティンとルールがあり、それが守られないとパニックを起こしてしまう。ある日、クラスメイトから好きなサッカーチームを聞かれるも答えることができなかった彼は、ドイツ国内の56チームを全て自分の目で見てから好きなチームを決めたいと家族に話す。父ミルコは息子の夢をかなえるべく、ドイツ中のスタジアムを一緒に巡ることを約束し、多忙な仕事の合間を縫って週末ごとに旅をしていく。

父ミルコ役に「100日間のシンプルライフ」のフロリアン・ダービト・フィッツ。「5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生」のマルク・ローテムント監督がメガホンをとった。

2023年製作/109分/G/ドイツ
原題または英題:Wochenendrebellen
配給:S・D・P
劇場公開日:2024年11月15日

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(C)2023 WIEDEMANN & BERG FILM GMBH / SEVENPICTURES FILM GMBH

映画レビュー

4.0「普通」じゃない大変さ、受容することの大変さ

2024年11月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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ニコ

4.5自分を知り相手を理解し成長していく姿に感動した

2024年11月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

こういう映画体験ができるから、映画鑑賞はやめられない。
まるで宝石を掘り当てたかのような気持ちで、映画館を後にできた。

幼い自閉症の息子をもった家族の話しは、過去幾度となく見てきたけれど、基本は周りの理解や、受け入れる側に視点を向けたものが多かったが、今作は自閉症のジェイソン自身の成長も描かれている点がすごく良かった。

自分がなぜパニックになってしまうのか。
なにが苦手でどういう行動が不快なのか。

周りに理解してもらうには、まずは自分が自分を理解して、それを相手に伝えられるようにならないといけない。
これはジェイソンに限らず、すべての人に言えることだと思った。

ジェイソンが自分で決めたルールにがんじがらめになり、パニックになるのも、ルールを簡単に曲げられて臨機応変に動ける人にとっては理解し難いし、面倒くさいと思ってしまう。
けれど、彼の頭の中で起こっている戦争を理解し、寄り添い、寛容してあげることで、お互いがポジティブな関係になれる。

ジェイソンと共に週末にサッカースタジアムを巡るお父さん自身も、息子を理解し、妻の大変さを理解し、自分のことを理解できた。親子だけれどひとりの人間と人間だ。お互いが旅を通してぶつかりながらも成長していく姿は、本当に胸を打つものがあった。

ジェイソン親子は今もスタジアムを回っていて、ジェイソンは今チューリッヒの大学で物理学を学んでいるとのこと。
本当に素敵な家族の形を見せてもらった。
予告を見て、直感的に響くものがあったら、それを信じて見に行ってほしい。

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AZU

3.5両親の無上の愛に感動

2025年1月4日
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ひでちゃぴん

4.0よく練られた実話ベースの物語

2025年1月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

本年、劇場鑑賞一本目。
自閉スペクトラム症の本人と、家族と、周囲の反応がとてもリアルで、よく練られているなぁと思ったら、エンディングで実話ベースの話だとわかり納得。本人の言葉の一つ一つになるほどと思わされ、父の関わり方、母の関わり方、それぞれから学ぶところが多かった。
劇的な変化は起きないのだが、ジェイソンが段々と自分のトリセツを周囲に伝えられるようになったり、こだわりを新たな考え方で置き換えられるようになったりしていくところがジーンとくるし、すれ違いながらも親子の絆を深めていく様子は素直に心温まる。また、祖父の関わり方も、その距離感を含めて、とてもよかった。

サッカーについては、スタジアム観戦の経験もなく詳しくないのだが、推しチーム探しの旅は、とても楽しそうで、ドイツの鉄道もとても魅力的だった。

<以下、この映画をきっかけに考えたこと>
*ちょっとだけネタバレ含みます。

本編から少し離れるかもしれないが、自分は、バス停での老婆に対する母のセリフが、一番考えさせられた。

何かしらの権威や立場を笠に着て、相手を屈服させようとする態度は、多くの人がNOと答えると思う。
そういう面で言うと、バス停での場面は、老婆が「年齢の差」からくる優位性を無言で笠に着てジェイソンや母に屈服を求めたと言える。
それに対して、見方によっては、母も、ジェイソンの「障害」を笠に着て、老婆をねじ伏せたようにも見える。

自分自身も、最初は、老婆に怒り続ける母の態度にちょっと引き、なぜそこまで強く主張できるのかという思いだった。
だが、母が老婆に投げかけた「そっちこそ何様?」の言葉にハッとさせられた。
自分も老婆同様に、譲れないジェイソンに対して「それはわがまま」と思っていなかったかと突きつけられた気がしたからだ。
母の言動に対する最初の違和感の原因は、自分が画面上から、自動的に「老婆=弱者」ととらえ、その立場から一連のやり取りをみていたためだろう。
ただ老婆は、身体の動く若い人たちに比べるとマイノリティだが、彼女自身は、こだわりなく席を譲ることが可能(自閉症的な特性はない)という点ではマジョリティでもある。
その点からすると、母の主張は、「その人自身にはどうにもならないことに関わるマイノリティの立場の者の訴え」であって、何ら非難を受けるいわれはない。
物事をみる側が、今回の自分のように「老人は大切にすべき」のようなわかりやすい一方的な見方のみに立っていると、母の言動のような非難を受けるいわれのない行為も、マジョリティ側が優位性を笠に着ている行為と同様に見えてしまう。
わかったつもりになっている自分も、よくよく気をつけないと、頭が硬くなってヤバいなということを感じさせられた。
まあ、母もあそこまで叫ばなくてもいいかもしれないが、自分もあの立場だったら、余裕を失って叫んでるかもしれないし…。

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sow_miya

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