WALK UP

劇場公開日:

WALK UP

解説

韓国の名匠ホン・サンスが、都会の4階建てアパートを舞台に芸術家たちが織りなす人間模様をモノクロームの映像でつづった人間ドラマ。

映画監督のビョンスは、インテリア関係の仕事を目指す娘ジョンスとともに、インテリアデザイナーとして活躍する旧友ヘオクの所有するアパートを訪れる。そのアパートは、1階がレストラン、2階が料理教室、3階が賃貸住宅、4階が芸術家向けのアトリエ、そして地下がヘオクの作業場となっていた。ワインを酌み交わしながら、和やかに語り合う3人。やがてビョンスは仕事の連絡が入ったためその場を離れるが、戻ってくるとジョンスの姿が見当たらず……。

アパートの階をひとつずつ上がるごとに物語は4つの章に分かれ、ビョンスと彼を取り巻く4人の女性の人間模様は予測不能な方向へと展開していく。「それから」「夜の浜辺でひとり」のクォン・ヘヒョが映画監督ビョンスを演じ、「あなたの顔の前に」のイ・ヘヨン、ホン・サンス作品の常連俳優ソン・ソンミ、チョ・ユニが共演。

2022年製作/97分/G/韓国
原題または英題:Walk Up
配給:ミモザフィルムズ
劇場公開日:2024年6月28日

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映画レビュー

3.5シンプルな構造に滲む語りのマジック

2024年6月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

いつもながらのホン・サンス映画といえるし、でも、翻って考えると彼ほど「いつも」という言葉が意味を持たない監督は他にいない。彼の映画は大抵は二人か三人が織りなすシンプルな方程式であり、あるいは固定カメラと長回しの会話劇。本作でもその特徴を踏襲しつつ、かと思えば、小さな4階建てアパートを上へと昇っていく。昇るたびに、時制と関係性は微妙に様変わり。作品の要となる「映画監督」という役どころはいつもながら、側から見ると尊敬すべき豊かな人間のようでいて、実のところ情けなく、だらしがない。本人も自分の性根に気づいているのに、もはや流れる川のように、どうすることもできない。すなわち、彼らは昇る。それに合わせて、我々は主人公の心をズンズン降りていく。そうやって彼という人間を深く知る。その上、章が変わると「あれっ?」という展開がじんわりとにじむ。ほら、いつもどおり。我々はホン・サンス映画の魅力と沼に抗えない。

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牛津厚信

ちょっと変わった?

2024年8月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 モノクロ撮影の固定カメラによる長回しを多用し、特別な波乱のない物語を淡々と撮るというスタイルは毎度変わらないのに、心の裏側をくすぐる様な味わいにまんまとして遣られ、公開毎に足を運んでしまうホン・サンス監督の新作です。  自身の分身と思しき映画監督はこれまでも作品中に度々登場していましたが、これほど物語の中心となる作品は初めて観ました。そのせいなのか、カッコ付ける場面は勿論、自身の弱さすらをも男の魅力に見せるが如き撮り方が目に付き、「狡いなぁ」と感じてしまいました。ホン・サンスはもっと突き放したドライさが持ち味じゃないのか。彼に何かあったのか? それとも、何かあったのは僕の方なのか?

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La Strada

3.5【今作は、いつものホン・サンス監督の自身の姿を反映させたかの如きモノクロ会話劇と思いきや、そのスタイルは踏襲しつつ、一捻りさせた不思議な作品構成に驚く作品である。】

2024年8月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

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NOBU

4.0トイレの音が上の階とかぶった つぶやきシロー

2024年8月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

【鑑賞まえの予想】 四階建てで起こる珍事件の映画らしい。 うちのアパート(三階建て)でも、住民のすったもんだは たびたびなので、どんなものかと鑑賞を決めました。 興味津々ですね。 戸建てにも「お隣さん問題」はあるし、 階層建てにも、入居者同士の独特のトラブルは起こるんです。 タワマンのマウント闘争ならずとも、 上の階と下の階とで 「物理的な上下関係」が「メンタルな上下関係」に影響を与え合うわけですよ。 本作品の目の付け所が面白い。 シチュエーションが「四階建て」というこぢんまり感が、既視感もあってリアルだからだろうね。 「パラサイト 半地下の家族」では、山の手の豪邸と下町の低層住民の対立を、地形の標高とソサエティを重ねて魅せてくれた韓国ムービーでした。 今回はそこをギュッと凝縮しての四階建てストーリーらしいです。 さて、どんな物語を展開してくれるのでしょうか。 ・・・・・・・・・・・・・ 【ドン引きの映画体験】 しかーし!! 「ホン・サンスという事件」は 評判も興行収入もどうでも構わないらしく、 売れない映画監督=主人公の引きこもりを長々と見せてくれましたね。 こんなに長く感じた映画も 僕は初体験でして、つまり、固定カメラで「延々とテーブルを挟んだ会話シーン」だけの実験映画です。 この日の気温は35℃、 やっと涼しい館内に腰を下ろし、照明が落とされると スクリーンでつまらない会話劇を見せつけられるという趣向。 寝落ちして目が醒めても、安定の 「あいも変わらずさっきと同じ光景」が流れています(笑) 監督のボヤキと、女たちの退屈しながらも煮えきらずにワインに付き合う光景だけが、無限に続くわけでね。 でもこんな面白みにも気付きましたー 女たちは勝手にドアを開けて(暗証番号を押して) ずかずかと自分都合で入室して来るし、 また自分都合で、女たちは仕事や、用事や、友人とのお茶のために 外の世界と行ったり来たりをするのだけれど、 監督の男だけはこの四階建ての小惑星から足を踏み出せない。 階段を登って上階に幕が移動すれば、こんな彼にもなにがしかの変化があるのでは!と観ている僕の激しい欲求にも関わらず、 わずかの期待は全て裏切られて振り出しに戻る結末とは・・ 呆れ。 堕ちた星の王子さまが、様々な女たちにしだれ掛かりながら、次の来訪者を待つ。 それだけの97分でした。 ・・・・・・・・・・・・・ 【退屈という魔法】 で、 館内では、10数名ほどのお客さんが爆睡しているのが可笑しくって、そこを狙った催眠映画なのだと気付いた時はもう遅かった。 中途退場者続出。 エンドタイトルが流れると、肩を怒らせて大股で席を蹴るお客さんの列。 僕としてはホン・サンスはもう観ないとは思うが、一生忘れない作品になった事だけは確かで、 首を振りふり家路につきました。 ちなみに、 うちのアパートは三階建て。 階段が割と急なもので、えっちらおっちらと 訪問者の皆さんは登っているうちに何か錯覚をするらしくて 二階の僕の部屋のドアをノックしてくれます。 早朝、 「ちょっと!起きてんのか?」 「いるんだろ」、 「ドンドンドン!! 」だ。 (上の三階に寝坊すけの土方が住んでいるのです w)。 集合住宅では、漏れ聞こえる騒音問題も鬼門ですよね。 スピードラーニングを買ったら、1年後にはアパートの住民がみんな英語ペラペラになっていたという笑い話もありますねからね😁 確かにここは小世界の小宇宙です。 上映中はあんなに苦痛だった白黒映像が、帰途、小さな思い出し笑いと共に、不思議な後味になって蘇る・・ ハチミツ漬けの朝鮮人参は あとから来ます。よーく噛めと。 ホン・サンス、恐るべし。

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きりん