エミリア・ペレス(原題)

劇場公開日:

エミリア・ペレス(原題)

解説

「ディーパンの闘い」「君と歩く世界」「預言者」などでフランスを代表する名匠として知られるジャック・オーディアールが手がけ、2024年・第77回カンヌ国際映画祭で審査員賞と4人の俳優が女優賞を受賞した作品。メキシコの麻薬カルテルのボスが過去を捨て、性別適合手術を受けて女性として新たな人生を歩みはじめたことから起こる出来事を、クライム、コメディ、ミュージカルなどさまざまなジャンルを交えて描いた。

メキシコシティの弁護士リタは、麻薬カルテルのボスであるマニタスから「女性としての新たな人生を用意してほしい」という極秘の依頼を受ける。リタは完璧な計画を立て、マニタスが性別適合手術を受けるにあたって生じるさまざまな問題をクリアし、マニタスは無事に過去を捨てて姿を消すことに成功する。それから数年後、イギリスで新たな人生を歩んでいたリタの前に、エミリア・ペレスという女性として生きるマニタスが現れる。それをきっかけに、彼女たちの人生が再び動き出す。

カンヌ国際映画祭ではアドリアーナ・パス、ゾーイ・サルダナ、カルラ・ソフィア・ガスコン、セレーナ・ゴメスの4人が女優賞を受賞。特にエミリア・ペレス/マニタス役を演じたカルラ・ソフィア・ガスコンは、カンヌ国際映画祭において初めてトランスジェンダー俳優として女優賞を受賞した。

2024年製作/130分/フランス
原題または英題:Emilia Perez
配給:ギャガ
劇場公開日:2025年3月28日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第82回 ゴールデングローブ賞(2025年)

ノミネート

最優秀作品賞(ミュージカル/コメディ)  
最優秀主演女優賞(ミュージカル/コメディ) カルラ・ソフィア・ガスコン
最優秀助演女優賞 セレーナ・ゴメス
最優秀助演女優賞 ゾーイ・サルダナ
最優秀監督賞 ジャック・オーディアール
最優秀脚本賞 ジャック・オーディアール
最優秀作曲賞 クレモン・デュコル カミーユ
最優秀主題歌賞
最優秀主題歌賞
最優秀非英語映画賞  
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映画レビュー

3.5分類不能の痛快エンターテイメント。

2024年10月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

メキシコの敏腕弁護士リタ(ゾーイ・サルダナ)は難事件をさばいて名声を獲得するが、その才能を利用しようと考えた麻薬カルテルに狙われてしまう。そして拉致され連れてゆかれたアジトで、組織の大物ボスと対面する。ごつい巨体に刺青だらけの身体、あらゆる悪事に手を染めてきた冷たい目。いったい何を要求されるのかと怯えるリタに、ボスは「性転換手術を受けて女として第二の人生を送りたい」と予想の斜め上をゆくことを言い出す。

そして組織の莫大な資金にささえられてリタは世界中をとびまわり、テルアビブでボスが望む手術を受けられるよう手配する。手術は成功し、ボスは「エミリア・ペレス」として生まれ変わり、妻(セレナ・ゴメス)と子供二人を棄てて新たな土地で行き始める。しかし数年たつと子供への思いが断ちきれず、かれらの「伯母」として共同生活を送りたいとまたリタに持ちかける…。

この予測不能の物語が、あざやかな踊りと耳に残るメキシカン・メロディー全開で進行する痛快活劇です。「法廷犯罪スリラーLGBTQコメディ風味のスペイン語ミュージカル」と、まあ気持ちよいくらい全部盛り。

カンヌでの批評はあんまり良くなかったようだけど、カメラも編集も美術も照明も、すべてがきわめて周到に設計されているし、音楽もよくできている。ミュージカル映画の難所である「日常の世界から歌・踊りの世界への移行」も上手に処理されている。ミュージカル映画に、それ以上何を望むのか?

そしてエンディングの余韻は、ロシアの長大な小説のように悲劇性と祝祭感をないまぜにした見事なもの。そう、これは存分に人を楽しませながら寂しさも消えていない、古典的な童話なのです。

ゾーイ・サルダナにこんな才能があったなんてねえ。彼女はアカデミー女優賞候補にあがるんじゃないかな?

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milou

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