エミリア・ペレス

劇場公開日:

エミリア・ペレス

解説・あらすじ

「ディーパンの闘い」「君と歩く世界」「預言者」などでフランスを代表する名匠として知られるジャック・オーディアールが手がけ、2024年・第77回カンヌ国際映画祭で審査員賞と4人の俳優が女優賞を受賞した作品。メキシコの麻薬カルテルのボスが過去を捨て、性別適合手術を受けて女性として新たな人生を歩みはじめたことから起こる出来事を、クライム、コメディ、ミュージカルなどさまざまなジャンルを交えて描いた。

メキシコシティの弁護士リタは、麻薬カルテルのボスであるマニタスから「女性としての新たな人生を用意してほしい」という極秘の依頼を受ける。リタは完璧な計画を立て、マニタスが性別適合手術を受けるにあたって生じるさまざまな問題をクリアし、マニタスは無事に過去を捨てて姿を消すことに成功する。それから数年後、イギリスで新たな人生を歩んでいたリタの前に、エミリア・ペレスという女性として生きるマニタスが現れる。それをきっかけに、彼女たちの人生が再び動き出す。

カンヌ国際映画祭ではアドリアーナ・パス、ゾーイ・サルダナ、カルラ・ソフィア・ガスコン、セレーナ・ゴメスの4人が女優賞を受賞。特にエミリア・ペレス/マニタス役を演じたカルラ・ソフィア・ガスコンは、カンヌ国際映画祭において初めてトランスジェンダー俳優として女優賞を受賞した。第97回アカデミー賞でも作品賞や国際長編映画賞をはじめ、非英語作品としては史上最多となる12部門13ノミネートを果たし、助演女優賞(ゾーイ・サルダナ)と主題歌賞の2部門を受賞した。カルラ・ソフィア・ガスコンもトランスジェンダー俳優として初の主演女優賞ノミネートとなった。

2024年製作/133分/G/フランス
原題または英題:Emilia Perez
配給:ギャガ
劇場公開日:2025年3月28日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第97回 アカデミー賞(2025年)

受賞

助演女優賞 ゾーイ・サルダナ
主題歌賞

ノミネート

作品賞  
監督賞 ジャック・オーディアール
主演女優賞 カルラ・ソフィア・ガスコン
脚色賞 ジャック・オーディアール トマ・ビデガン レア・ミシウス ニコラ・リベッキ
撮影賞 ポール・ギローム
編集賞 ジュリエット・ウェルフラン
国際長編映画賞  
音響賞  
メイクアップ&ヘアスタイリング賞  
作曲賞 クレモン・デュコル カミーユ
主題歌賞

第82回 ゴールデングローブ賞(2025年)

受賞

最優秀作品賞(ミュージカル/コメディ)  
最優秀助演女優賞 ゾーイ・サルダナ
最優秀主題歌賞
最優秀非英語映画賞  

ノミネート

最優秀主演女優賞(ミュージカル/コメディ) カルラ・ソフィア・ガスコン
最優秀助演女優賞 セレーナ・ゴメス
最優秀監督賞 ジャック・オーディアール
最優秀脚本賞 ジャック・オーディアール
最優秀作曲賞 クレモン・デュコル カミーユ
最優秀主題歌賞
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映画レビュー

5.0人間の変化とは

2025年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ジャック・オーディアールがミュージカルを撮るとは思わなかったが、彼の作品の中でも結構上位に好きかもしれない。これは人の変化についての物語だ、外見が変化する、あるいは本当の自分の外見を手に入れることで内面にまで変化が及んでいく。性適合手術を受けて女性として生活するようになって、マフィアのボスとして生きてきた時には思いもよらなかった慈善事業に精を出すようになる主人公。この変化は外見が導くように内面が変わっていったということなのか。ゾーイ・サルダナの歌唱パートにそれを示唆するようなセリフがあったが、これは変化なのか、本来の彼女の性質なのか。時にマフィア時代の狂暴さが目覚めそうになる主人公だが、人間は経験の蓄積によって形作られるのだとすれば、マフィア時代の恐ろしさもまた、彼女の一部を構成する要素と言えるか。
ゾーイ・サルダナの芝居は本当に素晴らしかった。彼女のベストパフォーマンスだと思う。彼女演じる弁護士の変化もまた面白い。人の本質と変化について非常に深いところまで切り込んだ作品だと思う。

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杉本穂高

3.5日本が舞台だと仮定したら、トンチキっぷりがわかりやすい

2025年3月31日
PCから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
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共感した! 15件)
村山章

4.0殻を破って突きつける予測不能なストーリー

2025年3月25日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

これはギャング映画か、それとも社会派、もしくは性差を超えた人間ドラマか。そんな線引きはどうでも良い。重要なのはすでに名匠の地位を獲得したオーディヤール監督がこの映画でさらに豪快に殻を破ろうとしているということだ。序盤からの予測不能ぶりには「あれ?オーディヤールではなくアルモドバル作品だったかな?」とクレジットを見返したくなるほど。しかし人が境界線を超え、過去と決別していく姿は彼の作品で絶えず描かれてきたテーマであり、今回の「彼女たちの物語」にも同様の気迫がみなぎる。その上、本作は時折、登場人物の心情をリズミカルな振り付けや歌声で吐露するミュージカルの側面も脈打つ。ゾーイ・サルダナの身のこなしや真っ直ぐな目線も本作の欠かすことのできない推進力だが、それに輪をかけてエミリア役のガスコンの人間的な迫力には圧倒されるばかり。賞レースの結果を意識しすぎることなく、ただただ身を委ねて楽しみたい一作だ。

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共感した! 23件)
牛津厚信

2.0罪滅ぼしといいつつ身勝手

2025年6月15日
Androidアプリから投稿

鑑賞した頃アプリが不調で書き込めなかったのですが、意外なほど高評価が多くてびっくりしました。
「リリーのすべて」や「わたしはロランス」もそうだけど、結婚してから昔からの気持ちが抑えられなくなってトランス手術する男の言動が、あまりにも身勝手で女性としてイライラします。
おまけにエミリアは過去の醜い所業で得た莫大な富を罪滅ぼしに慈善事業に乗り出すのはいいけど、そこで感謝とかされるのもなんだか納得できない。
自分は新しい恋のお相手とルンルンするくせに、嫁が他の男と結婚しようものなら相手を殺す勢いなのは、術前の医師と弁護士の会話「姿を変えても本来の人間性は変わらない云々…」というのが伏線になってたかな?所詮独占欲の強いチンピラにしか見えなかった。
最後も対立するギャングとか政治家に誘拐されるならまだしも、なんじゃそりゃな展開だし。
いきなり雪国に行かされたかと思えば呼び戻されて束縛されたり、嫁と子供が可哀想で仕方ない映画でした。
アカデミー賞取らなくて良かったです。これが取ったら怒り心頭ですよ。
ゾーイ・ザルダナとセレーナ・ゴメスがとても良かった、ダンスシーンも、それだけは良かった。

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kogeru