スパイダー 増殖

劇場公開日:

スパイダー 増殖

解説・あらすじ

逃げ場のないアパート内で繁殖・凶暴化した毒グモが巻き起こす恐怖を描いた、フランス製パニックホラー。

パリ郊外のアパートで暮らすエキゾチックアニマル愛好家の青年カレブは、珍しい種類の毒グモを手に入れる。心配する店員をよそに自信満々でクモを自宅に持ち帰ったカレブは、一時的にスニーカーの空き箱にクモを入れておくことに。スニーカーの転売で日銭を稼ぐカレブは、同じアパートの住人トゥマニにスニーカーを売るが、その直後、トゥマニは原因不明の突然死を遂げる。警察は未知のウイルスが発生していると判断して建物を封鎖し、住民たちは閉じ込められてしまう。一方、カレブのもとから逃げ出した毒グモは驚異的なスピードで繁殖していき、住民たちを襲いはじめる。

監督は、本作が初長編となる新鋭セバスチャン・バニセック。第35回シッチェス・ファンタスティック映画祭で審査員賞を受賞した。

2023年製作/106分/G/フランス
原題または英題:Vermines
配給:アンプラグド
劇場公開日:2024年11月1日

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映画レビュー

3.5リアルなホラーでなく、移民問題を暗喩した社会派スリラーとして観られるべき映画

2024年11月6日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

怖い

ジャンル的にはモンスターが人間を襲うパニックホラーになるだろうが、科学的な観点や登場人物らの言動については気になる部分、腑に落ちないところが多々ある。外敵が人間の環境にクモが適応進化したからといって、たった1匹から1日程度であれだけの数に増殖するには繁殖サイクルがせいぜい数時間でなければならないし(実際には特に繁殖が速いハエの仲間でも1サイクルは10日~2週間程度)、個体が大型化するにも栄養価の高い餌を大量に摂取して超高速で消化し体を形成する必要がある。爬虫類やクモなどの節足動物の生態と飼育に詳しいはずの主人公カレブにしては、有毒かもしれない未知のクモを雑に保管して毒グモ大量発生の元凶を作る(カレブは爬虫類園を作るのが夢だが、そもそもクモは爬虫類じゃないし!)。最初の犠牲者が出て原因不明のうちに建物が封鎖されるが、住民たちは携帯電話もネットも使えるのに毒グモ被害を行政やマスコミなどに必死に訴えることもしない。たとえ出口がすべて封鎖されたとしても、普通の集合住宅なのだから2階や3階の窓から飛び降りて脱出しようと試みる住民が皆無なのも変。

本作で長編デビューを果たしたセバスチャン・バニセック監督が語るように、都市郊外の公共住宅などに多く住む移民や低所得者らへの差別が、暗喩として本作に込められている。そうした人々を、外見だけで忌み嫌われるクモでたとえたという。原題の「Vermines」はフランス語で“害虫”を意味する。外国人の移民や難民を社会の害虫や寄生虫のように見下し、問答無用で排除すべしと主張する人々が一定数いるのもフランスに限った問題ではないだろう。そうした含意を念頭に置いて鑑賞すると、見え方もまた少し変わってくるかもしれない。

余談めくが、舞台となった印象的な設計の建物は、パリ郊外に実在するピカソ・アリーナ(Arenes de Picasso)という集合住宅。巨大な円柱状の構造部分は地元からカマンベールと呼ばれているそう。マニュエル・ヌニェス・ヤノフスキーというスペイン人建築家が設計し、建築好きにはかなり知られた建物らしい。グーグルマップで「ピカソ・アリーナ」と日本語で検索してもちゃんと表示され、航空写真の3D表示を選択してぐるぐる回転させて眺めると面白いです。

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高森 郁哉

4.0アニマルパニックの新たな秀作

2025年6月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

驚く

 個人的にはヒッチコックの鳥に匹敵するような面白さがあったと思う。
こう書くと褒め過ぎかもしれないけれど、恐怖の演出が非常に的確で、不気味な影が鏡越しにもぞもぞと動いたり、服の陰に気配を感じて恐る恐るめくってみるが…いない……いややっぱりいた!といった王道の見せ方が、テンポよく畳みかけるように描写されており、その手堅い手腕にはとても好感が持てた。
 クモがたった一日で大繁殖したり車と同じ大きさに巨大化したりと、ホラーにリアリズムを求める人には肩透かしを食らう作品かもしれない。しかしそうしたありえない設定を演出の力技でねじ伏せて物語るというのもやはりホラーの魅力の一つだと思うので、そういうことを加味しても星4は決して過大な評価ではないと思う。
 販売元がアルバトロスということで(いい意味で)期待せずに見始めたのだけれど、(これまたいい意味で)期待を裏切られ、いい映画体験ができた。

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荒川ラリー

3.5ゼノモーフ並みの繁殖力

2025年3月16日
iPhoneアプリから投稿

フランス製モンスターホラーなんて物珍しいが、良くも悪くも人物描写が丁寧な"フランスらしい"映画だった。下手に巨大化するよりも断然こちらの方が怖かったが、ツッコミ所は多々あり、リアリティさはある様な無い様な微妙な所だ。人間が自然の領域に踏み込んではいけないという教訓としてのメッセージ性もあるにはあるが、本作でメインと言っても良い位のテーマは移民問題である。登場人物らには複数の人種が登場し、彼らに共通するのが"貧困"であるのだ。エキゾチックアニマルを愛でる主人公もその1人。あまり表立って人に話せる様な仕事は出来ず、どこか哀愁漂う様相である。それを取り巻く人々の描写は過剰なくらい丁寧であり、アメリカ産B級ホラーの様なその場のノリで撮ってるのではと疑いたくなる様な作品とはレベルが違う。気になる所はクモが1日そこらで数が爆増する所だ。異常な位の生命サイクルで驚いた。また、人をすっぽり覆える位の大きさに成長する個体も多く、そんな奴らがうじゃうじゃいるビジュアルショックは中々だが、火星から来たクモじゃあるまいしと思ってしまい、恐怖を超えて笑ってしまう。
エキゾチックアニマル好きな主人公が絶対役立つだろうと思いきや本推しは爬虫類であり、あまり活躍せずに終わってしまい、憎めないキャラだが心のどこかで"こうなったのってお前のせいだよな?"がチラついてしまうが、まぁパニック映画の楽しみは存分に味わえ、うじゃうじゃ祭りに痒みを覚えながら楽しめる作品だ。

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Mina

3.0それなりに怖いけど、もう一捻りほしい

2025年3月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

中東の砂漠から輸入された蜘蛛が、哺乳類も餌にする凶暴なVermines(有害動物)だった!
🕷️
それなりに怖いし、パニックに陥れるホラーではあるが、終盤に予想を裏切るような展開を期待してしまった。助かるにせよ、助からないにせよ、もう一捻りほしかった。
蜘蛛や昆虫の生態にも詳しい身からすると、非現実的なまでに早すぎる増殖速度に、SF?オカルト?的でいいから、何らかのexcuseを加えて欲しかった。

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LittleTitan