戦雲(いくさふむ)

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戦雲(いくさふむ)

解説

「標的の村」「沖縄スパイ戦史」の三上智恵監督が、沖縄など南西諸島の急速な軍事要塞化の現状と、島々の暮らしや祭りを描いたドキュメンタリー。

日米両政府の主導のもと、自衛隊ミサイル部隊の配備や弾薬庫の大増設、全島民避難計画など、急速な戦力配備が進められている南西諸島。2022年には台湾有事を想定した日米共同軍事演習「キーン・ソード 23」と安保三文書の内容から、九州から南西諸島を主戦場とする防衛計画が露わになった。

三上監督が2015年から8年間にわたり沖縄本島、与那国島、宮古島、石垣島、奄美大島などをめぐって取材を続け、迫り来る戦争の脅威に警鐘を鳴らすとともに、過酷な歴史と豊かな自然に育まれた島の人々のかけがえのない暮らしや祭りを鮮やかに映し出す。

2024年製作/132分/G/日本
配給:東風
劇場公開日:2024年3月16日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
プロデューサー
橋本佳子
木下繁貴
撮影
上江洲佑弥
編集
青木孝文
監督補
桃原英樹
CG
比嘉真人
音楽
勝井祐二
語り
山里節子
イラスト
山内若菜
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映画レビュー

歌や祈りだけでは平和は成り立たないが

2024年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 「沖縄 x 基地」と言うと真っ先に頭に浮かぶのは「辺野古・普天間の米軍基地」問題でしょう。しかし現実には、沖縄本島よりさらに南西300~500 km に位置する宮古・石垣・与那国などの先島諸島では、自衛隊による基地化・ミサイル配備が着々と大規模に進行しています。しかも、それはマスコミでもあまり報じられていません。本作は、本土に蹂躙されて来た沖縄の歴史と現在を発信し続けて来た三上智恵監督による「知られざる基地問題」のドキュメンタリーです。

 「離島の要塞化、そして、島民の切り捨てが既にここまで進んでいるのか」
 「島民を守る為にのお題目で配備された自衛隊基地は、実際には『本土を守るための多少の犠牲』の橋頭保なんだろうな。80年前の沖縄と何も変わっていない」

という事を思い知らされ慄然とします。しかも、辺野古ほどニュースとして取り上げられてもいません。でも、本作を観終えて僕の心に湧き上がった「戦雲」はその現実故だけではありません。

 三上監督の作品は、『戦場ぬ止み』『標的の島』『沖縄スパイ戦史』とこれまで続けて観て来ました。少なくとも僕が観た回はどの作品もかなりのお客さんが入っていました。本作も、公開から1週間ですが満席でした。しかし、これまでと同じく今回も観客は殆どが年配の方ばかりで、平均年齢は60歳程度だったでしょう。日曜日なのに、40代の方すら殆どおられなかったと思います。

 これが、日本のドキュメンタリー映画の現実であり、そのまま沖縄問題の現実と言えないでしょうか。元々関心のある人が視線を向けるだけなのです。この様な作品に若い人を呼び込めるようになった時、基地の問題も押し戻せるのではないでしょうか。でも、それにはどうしたらよいのか、情けないですが僕にはさっぱり分かりません。

 作中で山里節子さんが仰っていた

 「歌や祈りだけでは平和は成り立たないけど、それがなければ成り立たない」

の言葉にすがるしかないのでしょうか。

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La Strada

5.0堅苦しい作品ではなくて、見やすかった

2024年6月16日
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鑑賞方法:映画館
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natsu

4.0再び捨て石にされる沖縄

2024年5月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

難しい

青く澄み渡る空、太陽の光を反射して輝くエメラルドの海、日本が誇る緑の楽園たる南西諸島の島々。
そこがいま軍事拠点として次々と要塞化されている。緑の大地が切り裂かれ物々しい火薬庫やミサイル基地として整備されつつある。昔これらの島々を旅した身としてはその有様に愕然とさせられる。そしてそこに住む住民の方々のつらさはいかほどか、想像に難くない。

島嶼防衛のためと与那国島に警備隊を常駐させたのを皮切りにあれよあれよと自衛隊基地を建設、そしてミサイルの搬入まで、住民たちの理解を得ぬままに事が進められてきた。

島嶼防衛などとただの口実に過ぎない。これだけ島々に散らばった島民たちを守るなど不可能に近いからだ。目的は他にあった。そう、今何かと叫ばれている「台湾有事は日本有事」だ。
与那国島は台湾から111キロの地点。そしてこの島からなる南西諸島一帯を対中国攻撃の拠点として南西シフトを作り上げるためだ。
防衛のためではなく軍事拠点として利用するためにミサイル基地としたのだ。多くの住民が居住するにもかかわらず。

「台湾有事は日本有事」、この言葉を散々聞かされてきた国民はああ、そうなのかと何の疑問も抱いてないのではないだろうか。
これを言い出したのはすでにこの世を去った元首相である。彼は台湾が与那国から近いという理由で中国が台湾に武力攻撃を始めれば、日本も巻き込まれるからとこれを言い出した。しかし日本から近距離で行われた朝鮮戦争で日本が巻き込まれた事実はない。
そもそも1972年の日中国交正常化で日本は国としての台湾とは国交を断絶し、現在は非政府間での交流をしているに過ぎない。日本にとっては台湾は国ではなく中国の一部なのだ。アメリカも中国は一つとして台湾の独立に対しては消極的姿勢を見せている。台湾と中国の問題について首を突っ込むことは内政干渉になりかねない。ではなぜ台湾有事は日本有事なのか。その理由はアメリカの対中政策にある。

アメリカはアフガンイラク戦争で多額の戦費を使ったため議会から軍事費削減を求められており、東アジア地域での軍事活動は制限されている。そのために対中戦略に関して日本を利用したいのだ。アメリカが軍事費削減を余儀なくされる中、その分日本に負担してもらおうというわけである。アメリカのための戦争に日本が利用されているだけのなのだ。

同盟国のアメリカが行う戦争に加担するということ。専守防衛しか認めていない日本国憲法の下ではけして認められるものではない。
安倍政権下で閣議決定のみで憲法解釈が捻じ曲げられて集団的自衛権が認められた。その解釈変更に基づいて政権は既成事実を作ろうとしているが、現在日本全国ではこの安保法制に対して違憲訴訟が提起されている。歴代の内閣法制局長官をつとめた人々も明らかに違憲だと述べている。

そもそもが憲法解釈を閣議決定のみで決めてしまうというのは民主国家ではあるまじきことだ。国会で過半数の議席を有しているから最終的には多数決で決せられるという理由で国会での審議を省略したといいたいのだろう。しかし、密室で行う閣議決定と国会で審議を行うこととはまるで違うのだ。国会での審議は国民をもその議論に巻き込むことができる。憲法解釈変更は世論を巻き込んでその是非が問われるべきものなのだから。

まさに今この国は民主国家として危機に瀕している。これら重要法案が閣議決定のみで次々と決められ、そして沖縄をはじめとする南西諸島の人々の民意を無視し続け、有無を言わさぬ基地建設で人々の生活を破壊している。
基地誘致の賛成反対で住人たちが分断され地域社会が破壊されてゆく様は原発誘致の問題とまさしく同じだ。

だがそれもこれも日本が戦後アメリカの傀儡国家として歩んできた当然の成り行きなのかもしれない。いまの日本はとても主権国家とは呼べない。まさにアメリカの51番目の州なのだ。軍事同盟だけではない。今までも年次改革要望書の通りに日本はアメリカの草刈り場として国を売り渡してきた。
現在の少子化による人口減少などはお隣の韓国同様アメリカからの要望通りに規制緩和をしてアメリカに対して市場開放してきた結果なのだ。結果韓国も日本も人口減少は止まらない。このままアメリカに骨の髄まで食い尽くされてしまうんだろうか。
今は沖縄の人々が目に見えて被害を被ってはいるが、本土の人間たちも同じ末路をたどることになるやもしれない。現に今行われている辺野古基地建設は現代の土木技術では不可能な埋め立て工事だ。すでに当初予算の全部をつぎ込んで20%しか工事は進んでいない。まさにサクラダファミリアのようにいつ終わるとも知れない公共工事に国民の血税が延々と注ぎ込まれる。しかしいくら注いだところでこのマヨネーズ地盤を埋め立てることは困難だ。

沖縄は第二次大戦末期、本土決戦に備えるための時間稼ぎとして持久戦を強いられた。まさに捨て石にされたのだ。
亡くなったのは民間人12万人、兵士9万人とも言われている。しかし多くは生きて虜囚の辱しめを受けずの戦陣訓通り自害を強いられたり、米軍のスパイという容疑をかけられ日本兵に殺された者も多かった。ひめゆり学徒隊の悲劇も忘れられない。
まさにこの世の地獄を体験した沖縄の人々に今もあの時と同じような試練を与えようとする国家とはいったい何なのだろうか。

今、若い自衛隊員の中にはアニメを見てあこがれから入隊したとか、まさに前述の台湾有事は日本有事を信じて入隊するものが多い。日本の過去の大戦の歴史もよく知らないのだろう。
そんな彼らに向かって戦争体験者のおばあさんは言う、平和への道をふさいだのは誰かと。

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レント

2.5なし崩し的に基地がつくられる

2024年5月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

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トダー・オートマタ