ゴッドランド GODLAND

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ゴッドランド GODLAND

解説

デンマーク統治下にあった19世紀後半のアイスランドを舞台に、布教の旅に出たデンマーク人牧師の過酷な旅路と異文化の衝突をスリリングに描いた人間ドラマ。

デンマークの若き牧師ルーカスは、植民地アイスランドの辺境の村に教会を建てるため布教の旅に出る。アイスランドの浜辺から馬に乗って遥か遠い目的地を目指すが、その道程は想像を絶する厳しさだった。デンマークを嫌うガイドの老人ラグナルと対立する中、思わぬアクシデントに見舞われたルーカスは狂気の淵へと追い込まれ、瀕死の状態でようやく村にたどり着くが……。

「ウィンター・ブラザーズ」「ホワイト、ホワイト・デイ」で知られるアイスランドの気鋭フリーヌル・パルマソンが監督・脚本を手がけ、2022年・第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品されたほか、世界各地の映画祭で数々の賞を受賞した。出演は「ウィンター・ブラザーズ」でもパルマソン監督とタッグを組んだエリオット・クロセット・ホーブ、「馬々と人間たち」のイングバール・E・シーグルズソン、「ウィンター・ブラザーズ」「MISS OSAKA ミス・オオサカ」のビクトリア・カルメン・ゾンネ。

2022年製作/143分/G/デンマーク・アイスランド・フランス・スウェーデン合作
原題または英題:Vanskabte Land
配給:セテラ・インターナショナル
劇場公開日:2024年3月30日

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映画レビュー

5.0厳しい大自然と信仰

2024年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

布教に来たデンマーク人の牧師が、アイスランドの過酷な自然環境に身を置くことで変容していく物語。自然と人間の共生について、宗教的な観点から見せてくれる興味深い一本だった。
人間の神への祈りは、このような過酷な自然環境の中でどれほど意味があるものか。この地で信仰を広める意味とはなんなのか。人の命に特別な意味はなく、大自然の一部であると自覚せざるを得ない環境、自然の気まぐれで人が死ぬような環境で、人は人間の神を信じることができるだろうか。
アイスランドには紀元1000年ごろには大陸からキリスト教が入ってきて、かつての自然崇拝は薄れていったようだけど、この映画の舞台となった19世紀にも、自然環境が人々の価値観に大きな影響を与えていたのではと思える。アイスランドは日本同様、火山大国であり、自然のあり方がこの土地の文化を決定づけているように見える。欧州大陸の信仰のあり方とは異なる価値観があることが浮き上がらせる作品だった
とにかくショットが全て美しい。見とれているうちにすぐに終わってしまう。時間を忘れて鑑賞できる素晴らしい作品だった。

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杉本穂高

4.0圧倒的なまでの没入体験映画

2024年3月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

これは圧倒的なまでの没入体験映画である。いざ見始めるとスクリーンの境界線を超えて引き摺り込まれ、あたかも自身がデンマーク人牧師と共に19世紀のアイスランドの荒々しい大自然を旅している気にさせられる。あの生きる意志すら根こそぎ奪い去ってしまう寒さ。大地の冷たさ。死を感じるほどの河の無慈悲さ。かと思えば噴火音と共に容赦なくマグマが流れ出す壮絶さ。これと比べれば人間の命なんて拭けば飛ぶような存在だ。カメラがゆっくり旋回するたび、360度回転しきった先でどんな情景が映し出されるのか、不安で堪らなくなる自分がいた。見知らぬ土地や文化での布教という意味ではどこか『沈黙-サイレンス-』と通じるものを感じるが、一方で言葉の通じない現地ガイドとの関係性が予想外の方向へ転じていく様には心のざわめきが高鳴るばかり。この複雑怪奇な顛末について、彼らの中でどんな心理模様が作用したのかいまだに私は答えが出せずにいる。

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牛津厚信

宗教は帝国主義の先兵

2024年8月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 予告編を観て、デンマーク人宣教師が極寒のアイスランドで布教する苦難の宗教映画かと思っていたら、他者を思いやれない自己中・牧師が荒野で自滅していく物語でした。アイスランドはデンマークの実質的植民地であった事を本作で初めて知り、ちょっとお恥ずかしい。独立は第二次世界大戦後だったんですね。

 アイスランドは宗主国デンマークをこんなに嫌っていたのかと思い知り、「宗教は帝国主義の先兵となる」という典型例を改めて観る思いがしました。宗教の持つ権威と独善性という意味では『エドガルド・モルターラ』にも通じるテーマです。

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La Strada

4.5神の下では皆平等、それがGOD LAND

2024年5月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

アイスランドの大自然の雄大さと、その中を生きる人々の人間臭さが表れた作品でした。
聖職者と信者も非信者も、神の下では皆人間として平等。卑しく、欲深く、傲慢で、無力で、弱い、それが人間。
アイスランドの過酷な自然環境に人は適応できるけど、神の采配に、裁きに人は適応する術がない。それは突然死や出会いや別れといった形で訪れ、人はなす術なく流れに身を任せることしかできない。
時折挟まれる自然の風景がそれを表していたような気がします。

公式HP掲載の情報ですが、主人公がアイスランドで出会う少女イーダ役の女優さんの将来の夢が「馬の調教師とパートタイム女優」だそうです。
パートタイム女優、そんな概念があるんだ、、とびっくり、映画外でも刺激を受けました。

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みぴん